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2023/04/03

PLM の導入により製品データの統合管理を実現。基盤として Azure を選択し、グローバルな協調設計を推進

製品データの多拠点での管理や共有、設計変更プロセスの自動化。設計開発業務の DX は、多くの製品をより短期間で市場に投入できる、新製品開発能力の強化をもたらします。

イーグル工業株式会社は、PLM (Product Lifecycle Management) ソリューションとしてシーメンス社の Teamcenter を導入し、その基盤に Azure を採用することで、さまざまなイノベーションを実現しました。エンジニアリング チェーンの最適化に、Azure はどのように寄与しているのでしょうか。

Eagle Industry

システムの食い違いがグローバルな協調設計を妨げていた

イーグル工業はメカニカルシールの大手メーカーであり、同社が製造する回転機器の液漏れを防ぐ装置は、自動車業界においては世界トップシェアを誇り、その他建設機械や船舶、航空機、プラント、発電所などもグローバルで利用されています。

電気自動車のモーターに適したテクスチャ メカニカルシールや、建機の燃費を向上させる油圧ハイブリッド装置など、同社の製品は、あらゆる産業がカーボンニュートラルを目指す上で欠かすことができないものです。

イーグル工業は、金型運用管理のペーパーレス化や RFID による在庫管理など、スマート ファクトリーの実現に向けた取り組みを進めています。その一方で、同社のエンジニアリング チェーン最適化については次のような課題があったと、イーグル工業株式会社 技術本部 PLM プロセス部 部長の手嶋芳博氏は振り返ります。

「図面の検図や承認を判子でしていたり、図面を紙で管理していたりと、設計プロセスの多くの場面で非効率な手作業がありました」(手嶋氏)

また、多拠点間でのコラボレーションをする際に、データ共有についても課題があったと、イーグル工業株式会社 技術本部 PLM プロセス部 副部長のフローリッヒ ダニエル氏は続けます。「私たちは世界中にグループ会社がありますが、それぞれが独自にツールセットやインフラを運用していました。そのためデータの共有や活用がとても非効率だったのです。例えば、日本で設計された CAD データをインドにメールで送るといったことが行われていましたが、これは安全かつ効率的なやり方とは言えません。設計部門ごとのシステムがバラバラで、大きなプロジェクトであってもコラボレーションが困難だったのです」(フローリッヒ氏)

イーグル工業が本格的な PLM 導入に踏み切ったきっかけは、イーグル工業の子会社である EagleBurgmann Japan からでした。

「最初は EagleBurgmann Japan で、3D CAD データを管理するために Teamcenter を使い始めたのがきっかけでした。この PLM は 3D CAD データだけでなくすべての技術データやプロセスの管理を一元的に行えるためイーグル工業でも導入することが判断されたのです」(フローリッヒ氏)

Teamcenter は、シーメンス社の提供する PLM ソリューションです。製品のライフサイクルにおいて、組織内のすべての人々が必要な情報を必要な時に利用することが可能になります。EagleBurgmann Japan では当時オンプレミスでの運用でしたが、グローバルに拡張する上で、クラウドでの利用が検討されました。そして、イーグル工業が PLM の基盤として採用したのは Microsoft Azure でした。

Azure のメリットを深く理解し、PLM 基盤として採用

Teamcenter を利用するために、Azure を選択した理由について、イーグル工業株式会社 経営企画室 IT 一部 インフラ一課 横山賢一氏は次のように説明します。

「普段業務で使用している OS が Windows でしたので、真っ先に Azure が最適だと考えました。同時期に Microsoft 365 の導入も検討していたので、親和性に優れていると判断したのです。現在は Microsoft 365 E5 Security や Microsoft Dynamics 365 Sales も利用しているのですが、認証基盤を Azure Active Directory (Azure AD) で統一することができ、シングルサインオンの環境で相互連携も容易です。

また、工場は年に 1 回、電気を止めて設備を点検する法定停電があります。そのため、工場にサーバーを置いていた頃はシステムを停止しなければならなかったのですが、今では全社的なシステムの大半を Azure に移行したので、そのロスはなくなりました」 (横山氏)

既存の発想にないシステム導入には不安がつきまとうものです。Azure を重要な IT インフラ基盤として選択できる、イーグル工業におけるクラウド ファーストの考え方は、どのように醸成されていったのでしょうか? イーグルブルグマンジャパン株式会社 企画管理本部 IT 部 IT 一課 課長 岡﨑慎吾氏はこう答えます。

「今回、PLM の基盤として選ぶ前から Azure の活用は進めていました。Azure はスモール スタートが可能であり、なおかつスケール アップが容易なインフラでした。利用状況に応じてサイジングできるので、不要なコストを抑えることができます。大きなメリットの 1 つとして、ちょっとした開発環境や検証環境をすぐに用意できるようになったことが挙げられます。オンプレミスでの検証環境の構築には多くの費用と時間がかかっていましたが、Azure を使い始めた途端、いろいろな仕組みをすぐテストできるようになりました。Teamcenter もその 1 つです。最初は 50 人程度のユーザー数でしたが、今では 1,000 人ほどのユーザーがいます」(岡崎氏)

岡崎氏はまた、Azure の安定性を評価します。

「バックアップは Azure Backup により細かな設定が容易にできますしリストアも高速で簡単です。またセキュリティも強固です。Azure はトラブルがほとんどなくて助かっています。もしトラブルが起きた場合も、柔軟な権限設定が可能ですので、IT 保守が不在の場合でも、担当者の判断で再起動することができます」(岡崎氏)

このようにクラウドの特性を深く理解していたイーグル工業およびイーグルブルグマンジャパンは、2019 年から 2020 年にかけて、Teamcenter on Azure の導入を進めていきました。

「当時は Teamcenter が Azure に対応したばかりでしたので、先行事例もなく、イーグル工業での導入は手探りの中で進める必要がありました。ロードバランサーはどうすべきか。冗長化構成の設定は何が最善か。SIer とともに試行錯誤した記憶があります。この経験をもとに、イーグルブルグマンジャパンへはスムーズに横展開することができました」(横山氏)

ビジネス プロセスのデジタル化に成功。サーバー削減によるコストダウンも

Teamcenter on Azure は、CAD データや設計仕様、製品仕様、包装仕様など、製品に関するすべてのデータを一元管理することができます。このソリューションの導入は、イーグル工業グループに大きな変革をもたらしてくれたと、フローリッヒ氏と手嶋氏の両名は笑みを見せます。

「Teamcenter の扱う領域は非常にクリティカルなビジネスプロセスであり、そのインパクトは計り知れません。我々はすべてのエンジニアリングに必要なデータを、Teamcenter で共有できるようになりました。それは単にデータを容易に探し出せるというだけでなく、ワークフローによる自動化やデータ同士をリンクできたということです」(フローリッヒ氏)

「日々の仕事がガラッと変わりました。お客様からの注文を営業が受けて、それをもとに見積もりや図面を作成するという流れにおいて、これまでは手書きやメールでやり取りして、承認の判子をもらって……とやっていたのですが、それらをすべて Teamcenter 上で完結できるようになりました」(手嶋氏)

また、当初の課題としてあげられていた、グローバルでのコラボレーションや、ナレッジの活用においても、既に成果が上がっていると手嶋氏は続けます。

「Teamcenter を Azure クラウド上で展開したおかげで、グローバルでプロジェクトに取り組む事が可能になりました。実際、アジア各国で大きなプロジェクトがあったときは、各国のデザインセンターで設計した後、日本の設計部門でチェックして承認するという連携ができています。また、情報のデジタル化によって知識が属人化することなく、世界中で利用することができるようになりました」(手嶋氏)

さらに Teamcenter on Azure は、イーグル工業におけるサーバー保守運営のコストも削減しています。

「オンプレミスで運用していた時代は、子会社にもサーバーを設置し、現地の IT 担当者を雇って保守する必要がありました。しかし今は、Azure 上で稼働している Teamcenter に接続すれば良いのです。そうしたサーバーの費用や保守運営のコストはすべて不要となりました」(フローリッヒ氏)

エンジニアリング DX に欠かせない Azure

現在、イーグル工業では、各国のグループ会社への Teamcenter on Azure 導入を進めています。

「エンジニアリング プロセスのすべてを世界中でデジタル化することは、短期間でできることではありません。あらゆるプロセスやデータをTeamcenter に載せ、また、CRM や ERP と連携させていく。我々は10 年かかる旅の途中にあります」(フローリッヒ氏)

最後に横山氏は、今後も Azure を使った設計開発業務の最適化を進めていきたいと展望しました。

「たとえば CAE (Computer Aided Engineering) の分野においても、大規模な解析の必要が生じた時などに Azure を利用するようになっています。今後もクラウドの長所を活かしつつ、エンジニアリングのDX を進めていきたいと思います」(横山氏)

イーグル工業グループでは、設計開発プロセスにおける情報をTeamcenter on Azure に一元化したことにより、誰もが単一のシステム内で作業し、必要な情報を取得できるようになりました。新製品の開発能力が強化された同社は、未来に必要な製品の数々を社会に提供してくれることでしょう。

“普段業務で使用している OS が Windows でしたので、真っ先に Azure が最適だと考えました。同時期に Microsoft 365 の導入も検討していたので、親和性に優れていると判断したのです。現在は Microsoft 365 E5 Security や Microsoft Dynamics 365 Sales も利用しているのですが、認証基盤を Azure AD で統一することができ、シングルサインオンの環境で相互連携も容易です”

横山 賢一 氏, 経営企画室 IT 一部 インフラ一課, イーグル工業株式会社

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