一般社団法人日本支援技術協会の田代といいます。 どうぞよろしくお願いします。 では、これから障碍のある人の就労に役立つ 先端技術について、お話しさせていただきます。 まず、日本支援技術協会の事業について 紹介いたします。 当協会では、障碍のある人の快適な生活に役立つ 情報支援技術の普及のために 次のような事業を行っています。 1つ目は教育事業です。 展示会や研修会、体験会の企画運営をしたり、 支援技術を地域でコーディネートできる 人材を育成する活動を実施しています。 後ほど、もう少し詳しくお話しいたします。 2つ目は研究・開発事業です。 企業が支援技術製品を開発するのに協力しています。 アドバイザー的なことや 実証試験のお手伝いなどを行っております。 そして、先端技術を用いた支援技術製品の モデル開発にも注力いたしております。 こちらが本日のメインのお話ですね。 後ほど詳しく紹介いたします。 さて、教育事業では昨年度まで アシスティブテクノロジー・アドバイザー育成研修 というのを実施しておりました。 これは令和元年度・2年度の 厚生労働省からの委託事業で、 障碍のある人のICT利活用を 推進・サポートできる人材を育成するための 学習プログラムを開発するという事業でした。 おかげさまで、パイロット版ですがeラーニングによる 学習システムが完成し近日公開される予定です。 また、この成果を踏まえて3年度は 認定試験実施に向けて準備中でございます。 次に、研究開発事業では Accessibility Developer Communityを 日本マイクロソフトの協力を得て運営しております。 ここでは支援技術に関心のある エンジニアと研究者を対象に オンラインとオフラインで様々に情報共有しています。 具体的なアウトプットとして、マイクロソフトの AI for Accessibility プロジェクトに応募する案件を 創出することを目指しています。 では、研究開発事業の中で先端技術を用いた 支援技術製品のモデル開発を 幾つか実施してきましたので、紹介させてください。 1つ目は、わたしのバスです。 これは視覚障碍のある人を想定して 開発したソリューションです。 バス停にあるバスの位置情報が見れなくても、 スマートスピーカーに音声で話しかければ いつも乗るバスがどこまで来ているか、 あと幾つの停留所でやってくるのか、 音声でお知らせしてくれます。 こちらはMicrosoft Azureの Cognitive Servicesを利用して開発しました。 有り難いことに2019年3月に 第2回東京公共交通オープンデータチャレンジにて、 最優秀賞を受賞いたしました。 ただ、現在メンテナンス中でサービスを停止しています。 また、マイクロソフトの Mixed Realityデバイス、HoloLensを利用し、 対面する相手とのコミュニケーションを サポートするアプリも開発しました。 製品名をHolo AirTEXTとしています。 これは対面する相手とのコミュニケーションを サポートするアプリです。 次のような困りを抱えている人を想定しています。 1、気持ちが散漫になって 対面する相手に集中できない、 2、話し言葉が記憶に残りにくい。 または、話し言葉を聞くことが難しい、 3、相手の感情を読み取るのが苦手、 それら3つの困りを解決、軽減するために 次のような機能を持ったアプリを制作しました。 1、話者を認識すると話者以外がグレーアウトします。 2、AIを利用した音声認識により 相手の声がテキストに変換され、表示されます。 さらに後で読み返せるよう 書き出しも可能となっています。 3、AIを利用した感情認識により 相手の感情をインジケータで表示します。 画面の右下の快・不快の表示です。 こちらもMicrosoft Azure Cognitive Servicesを 利用しています。 さて、次はこの度、皆様にぜひお見せしたい 最新の開発物です。 まだ開発中ですが、紹介いたします。 製品名をM.Rコンパスといいます。 先ほどのHolo AirTEXTと同じく Mixed Realityデバイスを利用したアプリです。 こちらはHoloLens 2を利用し 移動に困難のある人を視覚的に支援し、 目的地までナビゲートすることができるものです。 もう少し詳しく言うと、 空間上に仮想の道案内を出せるナビシステムです。 HoloLensでルートや目印を設定し、実行しますが、 実はiPhoneで空間上の案内を確認することもできます。 また、文字やビデオも空間に設置可能ですので 付加情報を提示することも可能です。 さらに、視覚的な案内にとらわれず、 音のみでのナビゲーションも可能となっています。 それでは、実際に装着した状態で M.Rコンパスのルート設定とナビゲーション実行は どうなっているのか動画を見ていただきます。 まず設定ですが、今、登録というモードにしました。 HoloLensで見ている映像なのですが、 現実には何にもないところにアンカーと呼ばれる 仮想のポイントを設置しています。 映像に出ている四角い箱がアンカーで、 例えば、曲がり角などで設置していくわけです。 そうすると、ナビゲーションの 矢印の向きを変えられます。 白い三角が並んだのがナビゲーションするルートですね。 今、目的地のソファを設定するところですかね。 こうやって空間上に仮想のキーボードを表示して、 入力作業もできます。 設定しているルートをたどって、確認して、 経由地にテキスト情報を入れて、 注意喚起をしたりできます。 スタート地点も目的地として 名前を今つけてますね。 デスクかな。 じゃあ、これで設定は完了ですかね。 ソファからデスクまで、デスクからソファまでの ナビゲーションができるはずです。 じゃあ、これでモードを切り替えて 案内モードにしてみます。 目的地にソファを選んで、スタート。 実行されると、オレンジ色の矢印が出て カチカチ音が鳴るのですけども、 実は、行くべき方向に向いたときに 音が大きくなるようになっています。 ソファに着きましたね。 今度はデスクに戻ってみましょう。 経由地でも音と表示が出ます。 デスクに戻ってきましたね。 見ていただいたように、 基本的にHoloLensで実行するサービスですが 案内モードについてはiPhoneでも 実行可能となっているところがいいところですね。 音の強弱を利用したナビゲーション方法も面白いですね。 いかがでしたでしょうか。 HoloLensとAIを使った支援って、 様々な可能性があると思いませんか。 さて、最後にもう1つ。 同じくHoloLens 2を装着して、障碍のある人の 作業現場で視覚的な支援が実現できるアプリを Microsoft Dynamics 365のGuidesで開発中です。 こちらは近日中に具体的な発表ができると思います。 楽しみにお待ちください。 本日は、ありがとうございました。