皆さん、初めまして。 本日は、ご多忙の中、 お時間いただきありがとうございます。 私は、アクセンチュアのコンサルティング部門で、 インダストリーコンサルティングというグループの 統括をさせていただいております、中村と申します。 よろしくお願いします。 本日、この場、15分くらいお時間をちょうだいしまして、 主に弊社で精神・発達障碍者の雇用をしておりまして、 その中でどんなことをしているのか、 そこでどういうテクノロジーを活用し、 今後どのようにそれを展開していくのか、 そのあたりをお話させていただければと思います。 ご質問等ございましたら、 チャット欄にいただければ、 この講演の中でお答えできないこともあると思いますが、 責任を持ってお返し、メール等別の手段でお返ししたいと思いますので、 何なりとお問い合わせいただければと思います。 そもそも、我々がアクセンチュアという、 1万5000人の日本法人の中では、 まずは法定雇用率を遵守するとともに、 より多くの障碍をお持ちの方を雇用していこうと思っておりまして、 身体障碍をお持ちの方、 そのあたりを中心にこれまで雇用をしておりました。 一方で、発達障碍をお持ちの方の雇用状況が進んでいなかったり、 一方で、スライド右側にありますように、 平均賃金が非常に低いと。 これがその、個々人のパフォーマンスが問題なのか、 企業として適切な働く環境をご用意できていないのか、 その辺り、分析をして、少し、 我々としてはここにチャンスがあるんじゃないかなと 考えているところでございます。 投影しているスライドは、こちら、 ハリウッドの例なんですけれども、 設立して6年ぐらいのスタジオなんですが、 技術者全員が発達障碍をお持ちの方で、主に、 視覚が非常に強いので、フィルムを最後に ゴーライブするときの最終の確認で、 小道具が映っていないかとか、 エキストラが映っていないかとか、 そういう最終的なチェックをすることに 発達障碍の方が活躍し、 これは定型発達の方に比べて 非常に高いパフォーマンスを発揮していると。 または、イスラエルの軍隊なんですが、 非常に有名なUnit9900というところで、 何をやっているかというと、 衛星写真を見ながら、 他国の軍事拠点の衛星写真をずっと定点観測して、 変化があったらすぐにそれをレポートすると。 他国の軍事拠点で変化があるということは、 それは何らかの戦争の準備、 または軍事的な準備を意味しますので、 なかなか普通の方では目につかない、 または気づかないところを発見できると。 こういう海外の事例を見ると、 環境さえ整えれば、 非常に高いパフォーマンスを発揮いただけるのではないかなと。 これは、社会モデル的な考えで、 だとすると、環境をつくれていないことが、 環境が障碍を生み出していると。 環境をつくるというのは、 企業側の責務でありますので、 企業の経済性という観点では、 経済的なパフォーマンスが低い方、 それを障碍と呼ぶと、 障碍は企業がつくっているのではないかなと。 そんな反省・自省から、 発達障碍の方を積極的に雇用し、 環境をつくろうという営みをスタートしてございます。 2019年の秋に、2つの拠点を立ち上げまして、 これは、いろいろ議論した結果、 1つのワークスペースに集めて、 サテライトという形で業務を遂行するというのが よろしいということで、 今、合計50名で、来年、 再来年に向けては100名体制にしていこうというところで、 雇用をしてございます。 コロナ以降、アクセンチュア社内で、 これは、全社員を対象にして、 基本的には、全ての業務をオンライン、 在宅でやってございます。 これは従業員の身体的な安全を優先してございます。 弊社の場合は、1万5000人、全社ですね、 Teamsをフル活用していまして、これは、 オンラインのミーティングだけではなくて、 チャット、またはプロジェクトの管理、 ファイルの管理、これを含めて、 全てTeamsに統一してやっておりますし、 もちろんこの、発達障碍をお持ちの方、 アクセンチュアサテライトと呼んでいますが、 アクセンチュアサテライトの業務も基本的に Teamsですべて完結してやってございます。 この拠点、目指したことは2つございまして、 成長と貢献を働き手の観点で 充足していただくということを目指してございます。 これまで、多くの就労支援とか、 企業内での雇用等々を見学、分析、収集すると、 どうしても、企業目線での障碍者雇用というのが、 個人的には非常に、メッセージとして多く目につきました。 法定雇用率を達成するとか、 適切な働く場所を提供するとか、 全て主語が企業であるというのが、 何か、個人的にはあまり好きではなかったと。 私も含めて、労働というのは喜びであり、 人生の多くの時間を投下することであり、 そこには自分が成長する、 昨日より今日、今日より明日、成長するとか。 または、チーム、会社、社会などに貢献する、 この2つが働く喜びではないかなと、 そんなことを考えまして、それをその、 発達障碍をお持ちの方が感じることができないのは、 非常に非合理であり、 もったいないことであるのかなと思いまして、 弊社のサテライトオフィスというのは、 働き手が成長と貢献を充足する。 もちろん、貢献の中の一番の貢献対象が アクセンチュアであるという、 しっかり経済的に自立し、 働く喜びを感じていただく、 そんなところを目指して設計してございます。 大きく何をやったかというと、 6つぐらいございまして、 そのうちのいくつかを、 かいつまんでご紹介できればと、 そんなふうに思います。 体制としては、アクセンチュアの中で、 左側に書いてあるのが社員で、 そこにスーパーバイザーがいて、 スーパーバイザーのリードがいると。 その右側には、サポートチームを置いて、 ジョブコーチが斜めから支援して、 定期面談したりとか、障碍、 または個々人の特性を共有したり、 あとは、課題抽出したり、 行動をしっかり記録して、 業務を改善していくという、 真ん中に支援するチームがいるというのが 非常に特徴かなと思っています。 私どもがそこの真ん中のCCJチーム、 CORPORATE CITIZENSHIP Japanチームというところで 業務を見て、右側の事業部から仕事を切り出し、 サテライトに仕事を提供している、 こんな体制をつくってございます。 仕事については、仕事が大きなボリュームがあるのか、 また、それが発達障碍の特性に合っているのか、 例えば納期に余裕があったりとか、 定型化できたりとか、定常的に発生するとか、 いくつかの観点で全社員から、全社から仕事をとってございます。 例えば出張の申請とか、名刺の入力の代行とか、 経費入力みたいな入力業務から、 だんだん右下にいくと、 例えばウェブのリサーチをして、 お客様の人事情報や組織の改編の情報をやったり、 あとは、簡単な分析、加工をやったり、 あとは、弊社テクノロジーが一つの生業でございますので、 AIにくわせるデータをつくったり、 それをチェックしたりですね。 だんだん高度な業務というのもやってきてございます。 COVID以後、弊社でもオンラインのセミナーであったり、 動画のコンテンツが非常にふえていまして、 動画を静止画に直して、問題の表示があるかないか、 またはクライアント固有のものが入っていた場合は それを修正したりする、 そんなようなことをさせていただいてございます。 「成長」を促すという意味では、 従業員の皆様の個人別の稼働率というのを 取っておりまして、投影しているスライド、 これは、ある1週間の稼働率をとったものでありまして、 全体の1週間の業務のうち、 何パーセントが本業務にしっかり関われたのか、 トレーニングとか、その他の一般の アドミニストレーションの業務とかに どれぐらい時間を費やしたのかというのをとっていて、 例えば稼働率が非常に低かったり、 高いところから低くなった方には、 どの辺が原因なのか、それは環境が悪いのか、 仕事が悪いのか、または本人の行動特性・behaviorに 問題があるのか、そんなところを深堀りできるように してございます。 こういうところをどんどん 高度化していくというところで、 弊社としては、行動分析学・ABAという手法を 取り入れてございます。 これはいろいろなメディアに紹介されている、 奥田健次先生を弊社の顧問に招聘しまして、 非常に著名な方で、特に発達障碍、自閉症の行動を 変容するというところに知見がある方で、 その方にオペレーション全体の再構築をしていただくと、 一緒にご支援いただく、 ご指導いただくということをやっています。 どんなことをやるかというと、今までに増して、 個人の作業を、まず正しく測るということですね。 それは、行動そのもの、例えば何時間作業をしているのか、 または、アクション量、何文字打ったのか、 それが本人としてどれぐらいのボリュームを こなせているのかというのとか、 あとは、エラー数がどれぐらいあったのか。 今これ少し複雑なロジックを 1点やったんですけれども、 仕事の難易度を加味して、 パフォーマンスをつくって、 それをスコア化して、 作業が終わった瞬間に個人のパフォーマンスが どれくらいなのかを正しく計測できるような 仕組みをつくってございます。 それに対して、2番目に書いてあるのが、 インセンティブを付与していくと。 これはゲームでいうドラゴンクエストみたいな ロールプレイングゲームを参考にしまして、 例えば難易度が高い、または業務ボリュームが多いものが 従業員に振られると、それが喜びに変わるように、 難易度の高い敵と戦うと、非常に大きな経験値とか、 ボーナスがもらえるという景気づけにしたりとかして、 あとは、パフォーマンスの中には、 当然エラー数というのも加味されていますので、 エラーがないようにやろうというような モチベーションが内発的に湧くような仕組みというのを入れて、 今、少しずつ展開をしてございます。 これは、今、Excelのマクロ、 VBAでつくっているんですけど、 スライドで左側でごらんいただくと、 作業開始というのを押し、中断するときは中断をし、 作業を完了すると作業完了というボタンを押していただくと、 裏側には、どの従業員がどんな案件をやって、 開始日は、開始時間は何かというのを細かに 記録するというのができているんですね。 それを、右側のようなグラフで パフォーマンスをどんどん実施していくと。 作業時間が増えた、減った、アクション量がどうだったか、 ミスが増えたかというのを集計してもらいます。 例えばこの方、これはサンプルですけれども、 作業量は多いけれども、ミスが増えてしまっているので、 ここの10のところに何か課題があるんじゃないかと。 ここの課題にディープダイブして、 まず、その方のやり方が合っているのかどうか、 または、行動に問題があるのかというのを、 スーパーバイザー、ジョブコーチと一緒に 解決に当たるということをしてございます。 これを業務のレベルとボリュームに関して、 難易度をつけながら、先ほど申し上げた、 少し複雑なロジックをかませているんですけども、 作業時間をやった場合、それを標準時間で割って、 ただ単に、長い作業がいいというよりは、 みんな一般的な平均、標準的にやる時間に対して、 どれぐらい多かったか、低かったか、 それのちょっと偏差値的なところを入れて、 それをパフォーマンスの評価に仕立て上げていく というようなことをしています。 このパフォーマンスの評価に応じて、 ポイントがもらえると。 なので、これがゲーミフィケーション的に、 作業完了というボタンを押すと、 Excelのポップアップがお疲れさまでしたというふうに出て、 それに対して右側ですが、どれぐらいの経験値がたまって、 その経験値が、ある一定のところまでいくと、 ポイントがもらえるようなオペレーションになっていまして、 そのポイントを弊社の特殊な社内ポイントみたいなものが あるんですが、それにかえて、 それで、例えばAmazon券にかえたり、 弊社の福利厚生プログラムにリンクしたりとかですので、 ベースの給与以外に、難易度の高い仕事を ミスなくたくさんやると、どんどんレベルが上がって、 個々人の楽しみに還元できると、 そういうことを取り入れて、いわゆる、 一辺倒な、あれやれ、これやれとか、 課題改善に加えて、多くやり、ミスなくやると、 自分のスキルが上がると、自分に還元される、 そんな仕組みを入れることで、 働き手の皆様が自ら仕事のパフォーマンスを上げたい、 そういうような動機づけを行い、これが非常に、 パフォーマンス向上に起因してございます。 ですのでこれを、今、パフォーマンス改善の イメージでインセンティブを入れた後に、 右側のように、トータルのパフォーマンスがぐっと上がって、 こういう例が非常に出てきてございます。 このあたりのオペレーションも、 仕事をつくる、またはこういうノウハウを 入れることに加えて、これを仕組み化して、 システムでテクノロジーで使えるのが みそかなと思ってございます。 我々自身も、これまでExcelのマクロで できるんだというを驚きを持って見て、 非常に複雑な処理をしていますが、 きれいに分析が、トラックと分析が できるというところを上げています。 これ今、マイクロソフト様と いろいろお話をさせていただいているんですが、 マクロがおばけになりすぎて、 だんだん機能が落ちて、スピードが落ちてきて、 あとはこれを全社に広げたいなと思っているんですが、 その展開というのがなかなか難しいので、 MyAnalyticsとか、Workplace Analytics、 その他、幾つか、統合な分析環境基盤を導入して、 非常に高度に使えるようにして、 パフォーマンス向上を全社員に 適用していきたいなと思っています。 あとは、今後、いくつかのお客様から 非常にお問い合わせをいただいております。 なかなか障碍者の雇用をうまくできているところというのが、 まだまだなくて、この営み、弊社だけでやるということを もともと考えていなくて、弊社の中では、 アクセンチュアサテライト自体、 利益貢献をしていて、 収益も上がっているようになってきていて、 大きくいうと、社会の福祉を受ける立場から、 納税者になっていただくというのが 大きなコンセプトでございますし、 弊社で雇用できるのはたかが100人強でございますので、 これを外に磨き込んで展開していきたいと思ってございます。 ですのでこの、弊社やったノウハウ、 プロセスというのをテクノロジーにのせて、 パッケージとして外に展開していきたいと、 そんなふうにアクセンチュアとしては考えてございます。 本日はそちらを、少し駆け足でございましたが、 ご紹介させていただきました。 大島さん、私からのプレゼンテーションは 以上で終わらせていただきます。 ありがとうございます。