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Microsoft Azure の見積もりの考え方

見積もりの基本概念や料金計算ツールを活用した見積もりアプローチ

ビル外観 一面窓ガラスのイメージ

パブリック クラウドでは多様なサービスが提供されており、そのサービスの利用料金は、一般的に各サービスの利用時間やリソースのスペックや処理するデータ量等に基づいて課金されます。

Microsoft Azure では、ご利用予定のサービス費用試算のための「料金計算ツール」を提供しています。本料金計算ツールをご利用いただくことで、要件に基づいた各種サービスのコンピューティングリソースやデータ容量から Web 参考価格を用いたクラウド利用料金の見積もりが可能です。料金計算ツールは Microsoft Azure が提供している IaaS および PaaS に対応しています。

※本情報の価格はいずれも別段の表記がない限り、参考価格となります。
※貴社の最終的な購入価格は、契約やお客様のリセラー様により決定されます。

クラウド サービスの見積もりにおけるポイント

クラウドサービスの見積もりを行うにあたり、前提として押さえておくべきポイントをご紹介します。

  • アーキテクチャが決まらないと見積もりはできない
  • サービスにより計算方法が異なる
    • スペック別 x 使用時間 (例 : 仮想マシン)
    • 性能/容量別 x 使用時間 (例: ストレージ)
    • 機能別 x ユーザー数 (例: Azure AD)
  • 複数のサービスを組み合わせることで、1つの機能が構成されることがある
    (例:仮想マシン=コンピュート+ディスク+IP アドレス等)
  • 1つのサービス内で複数の課金対象要素がある
    (例:Azure Backup = Backup サービス費用+ディスク容量)
  • リージョンによって単価が異なる
  • 全てのサービスが有償とは限らない
  • サービスを明示的に作成していなくても課金対象となるリソースがある
    (例:データ送信、トランザクション費用)
  • サービスのパブリック・プレビュー版と一般提供版では価格が異なることがある

クラウドサービスを利用する上での見積もりとは、要件に対して利用するサービスを構成し、各サービスのスペックやデータ量・ユーザー数などから利用料金を試算することになりますので、基本的な見積もり作業としては、要件にもとづいたアーキテクチャを決定した上で、利用サービスを選定し、見積もり作業に着手することが基本的な取り組みとなります。また上述のとおり、各サービスにより課金の計算方法やパラメータが異なりますので、各サービスの概念を理解した上で取り組むことが重要なポイントとなります。

サンプル アーキテクチャをもとにした見積もりの例

本項では具体的な見積もり作成イメージを掴んでいただくため、サンプル アーキテクチャにもとづいた見積もり例をご紹介します。

以下のサンプル構成イメージとしては、可用性を考慮した IaaS ベースのアプリケーションに対して、ユーザー環境からは閉域網でのアクセス、運用保守拠点など外部サイトからはインターネット VPN アクセスを前提としています。また、Azure 内部からは Firewall 制御による安全なインターネットアクセスを想定しています。

サンプル構成イメージ
上記アーキテクチャで利用を想定している主な有償サービスは次のとおりです。
# サービス

1A

1B

仮想マシン

管理ディスク

2
Azure Backup
3
Azure Load Balancer
4
VNet Peering

5A

5B

ExpressRoute

ExpressRoute Gateway

6
VPN Gateway
7
ネットワーク帯域幅

8A

8B

Azure Firewall

Public IP アドレス

1A: 仮想マシン(VM)

仮想マシン本体の見積もりでは、「インスタンスのサイズ単価 x 時間」が基本の課金概念となります。以下イメージは料金計算ツールからの抜粋です。

料金計算ツール 仮想マシンの見積もり
  1. リージョンの選択
  2. OS イメージの選択
  3. インスタンス サイズの選択
  4. 稼働時間
  5. 予約インスタンス・Azure ハイブリッド特典

仮想マシンのインスタンスは広範なユーザーの要件に対応すべく、バースト可能な B シリーズ、汎用的な D シリーズ、高いメモリ対 CPU 比で構成された E シリーズ、GPU を搭載した NC/NV シリーズなど、多様なタイプをご提供しています。最新の情報は「Virtual Machines 料金ページ」を参照ください。

なお、仮想マシンは CPU と RAM のみとなりますので、別途ディスク料金の見積もりが必要となります。

予約インスタンス: クラウド サービスでは、利用を特定期間コミットすることでコストの削減が可能なサービスがあります。Microsoft Azure の仮想マシンでは、予約インスタンス(Reserved Instance)として、1 年もしくは 3 年の利用を前提に予約インスタンスによる割引適用が可能です。料金計算ツールでも試算が可能です。より詳細な予約インスタンスに関するご紹介は「Azure Reserved Virtual Machine Instances」を参照ください。

Azure ハイブリッド特典: 有効なソフトウェア・アシュアランス(SA)付きの Windows Server 及び SQL Server ライセンスを所有されている場合、その SA の特典によりこれらライセンスを Microsoft Azure 上でお得に再利用することができます。予約インスタンスと Azure ハイブリッド特典を組み合わせることで、投資の価値を最大限に活用することが可能です。Azure ハイブリッド特典の詳細については「Azure Hybrid Benefit」及び「Azure Hybrid Benefit についてのよくあるご質問」を参照ください。

1B: ディスク(管理ディスク)

仮想マシンにマウントするストレージを Azure では「管理ディスク」と呼びます。管理ディスクの見積もりでは、「サイズ単価 x 月」が基本の課金概念となります。

料金計算ツール 管理ディスクの見積もり
  1. 管理ディスクのレベル: Premium SSD、Standard SSD、Standard HDD から選択*
  2. ディスク サイズ: 規定のディスク サイズから選択
  3. トランザクション数: 課金対象は Standard SSD、Standard HDD のみ

*より上位のサービスとして Ultra Disk も提供しています。

管理ディスクは、それぞれのレベルで異なる IOPS やスループット性能を提供しています。管理ディスクの各レベルに関する最新の情報は「Azure IaaS VM 用のディスクの種類の選択」を参照ください。

トランザクションとは、ディスクへの読み取り、書き込み、削除処理等を指し、課金は「単価x トランザクション数 (10,000 ごと) 」となります。なお、トランザクション課金は、Standard Disk (SSD/HDD)に対して行われ、Premium SSD には課金されません。

管理ディスク料金及びトランザクション課金の最新情報は「Managed Disks 料金ページ」を参照ください。

2: Azure Backup

本項では、仮想マシンに対するバックアップ ソリューションとして Azure Backup を活用した例を前提にご紹介します。

Azure Backup の課金に関する基本概念は「(月額単価 x バックアップ対象数)+(ストレージ単価 x 容量)」となります。本項では課金の構造をご説明するため、料金計算ツールではなく、価格詳細ページを例に説明いたします。Azure Backup の料金単価の最新情報につきましては「Azure Backup 料金ページ」を参照ください。

a:月額単価 x バックアップ対象数

Azure Backup の単価です。仮想マシン インスタンスのバックアップ サイズにより異なります。

例: 1.2 TB の場合、3,360 円 (1,120 円 x 3)

Azure Backup の料金単価

b: ストレージ単価 x 容量

ストレージ容量はバックアップの冗長性により異なります。リージョン災害を想定したバックアップ要件では、GRS(地理冗長)もしくは RA-GRS(読み取り可能な地理冗長)でのバックアップ保管を選択してください。

ストレージ単価 x 容量の表

Azure ストレージの冗長性に関する詳細情報は「データの冗長性」を参照ください。

なお、Azure Backup のストレージについては、費用にストレージ トランザクションおよびネットワーク費用は Azure Backup の料金に含まれています。 また、Azure Backup では初回はフルバックアップ、その後は増分バックアップを取得しますので、バックアップ ポリシーにもとづいた容量計算が必要です。料金計算ツールではバックアップ保持期間やデータ増分などを考慮した容量の概算が可能です。ご活用ください。

3: Azure Load Balancer

Azure Load Balancer は、バックエンドの複数仮想マシンに対する負荷分散用途だけではなく、今回の構成のように、仮想マシンの可用性を高めるため可用性セットや可用性ゾーンで複数インスタンスの構成を構築する場合にも利用します。Azure Load Balancer は、無償の Basic と有償の Standard の 2 種類のレベルが利用可能ですが、前述のような可用性要件への対応として複数ゾーンへ仮想マシンを分散させる場合には、Standard が必要です。それぞれのタイプの違いについては「Azure Load Balancer の SKU」を参照ください。

Azure Load Balancer Standard の見積もり概念は「ルール数+データ処理量」です。

料金計算ツール Azure Load Balancer の見積もり
  1. リージョンを選択
  2. レベル(SKU): Basic (無償) または Standard (有償)
  3. 負荷分散規則: 受信トラフィックを分散する方法を定義する規則です。この規則数に対して課金が発生します。
  4. データ処理量: インバウンドとアウトバウンドの処理済みデータの量

Azure Load Balancer の最新の価格情報については「Load Balancer 価格ページ」を参照ください。

4: VNet Peering

Azure では、仮想ネットワークのことを「VNet」と呼称します。システムの VNet 設計においては、異なるリソースを別の VNet に配置しながら、アーキテクチャ上の考慮として VNet 双方を Azure のバックボーンを使用し相互接続することがあります。この VNet 同士の接続を VNet Peering と呼びます。VNet Peering を採用する場合には送受信ともにデータ転送料が発生します。

VNet Peering に関する、課金の基本概念は「ピアリングする VNet 両端の送受信データ転送量に課金」です。

VNet Peering の見積もり
  1. 両端の VNet のリージョン
  2. VNet1 のデータ転送量(データ送受信)
  3. ピアリング対象の VNet2 のデータ転送料(データ送受信)

VNet Peering の最新の価格情報については「Virtual Network の価格」を参照ください。

5: ExpressRoute と ExpressRoute Gateway

ExpressRoute は、オンプレミス環境と Azure を閉域接続するためのネットワーク サービスです。ExpressRoute の見積もりでは、ExpressRoute と ExpressRoute Gateway の 2 つのサービス コンポーネントを考慮する必要があるため注意が必要です。また、Azure 側のサービスだけでなく通信事業者側での費用も発生するため、通信事業者からの見積もり取得が必要です。

ExpressRoute 概念イメージ

5A: ExpressRoute

ExpressRoute の見積もりの基本的な概念は「サイズ(帯域/Premium アドオン)+ 送信データ量 x ゾーン単価」です。

料金計算ツール ExpressRoute の見積もり
  1. ゾーン: 東西日本リージョンはゾーン 2 に該当します。
  2. SKUプラン: Local、Standard、Premium の 3 種類が提供されています。
  3. 回線速度: 以下のポート速度を選択します。
    50Mbps、100Mbps、200Mbps、500Mbps。1Gbps、2Gbps、5Gbps、10Gbps
  4. Azure からオンプレミスに対する送信データ転送量: データ転送量の課金として無制限と従量制があります。従量制の場合は想定のデータ転送量から試算します。

SKU (プラン)として 3 種類が提供されています。Premium SKU では、地理的境界(日本国内リージョン)を超えて接続を拡張するなどのアドオン機能が提供されます。「Local SKU」では、ExpressRoute 接続場所の最寄りのリージョンにのみ接続を限定(例: ExpressRoute 回線を東京で契約の場合は東日本リージョンのみに接続可能)しながら、送信データ転送料金をサービス料金に包含しています。対応する回線帯域は 1Gbps~ となりますが、転送するデータが大量にある場合において、コスト効率の高いソリューションの選択肢となります。各 SKU の紹介については、「Azure ExpressRoute の概要プライベート接続を介して接続する」を参照ください。

ExpressRoute に関する最新の価格・プラン情報は「ExpressRoute 価格ページ」を参照ください。

5B: ExpressRoute Gateway

ExpressRoute を Azure 内の仮想ネットワーク(VNet)と接続するためには、ExpressRoute Gateway が必要になります。ExpressRoute Gateway の見積もり概念は「ゲートウェイの種類 x 時間」です。

料金計算ツール ExpressRoute Gateway の見積もり

料金計算ツールのメニュー「VPN Gateway」を選択し、タイプにて ExpressRoute を選択します。

  1. リージョン
  2. タイプ: ExpressRoute ゲートウェイ
  3. ゲートウェイの種類: 帯域幅・可用性ゾーン構成の有無から選択
  4. 時間: Gateway は停止できないため、一般的に見積もりでは 24 時間 (月 730 時間) で計算

最新の ExpressRoute Gateway の価格については「ExpressRoute 料金ページ」を参照ください。

6: VPN Gateway

外部から Azure 環境へサイト対サイト もしくは ポイント対サイトのインターネット VPN の接続を行う場合には、Azure 側のゲートウェイとして VPN Gateway を構築します。VPN Gateway の見積もり概念も ExpressRoute Gateway と同様に「ゲートウェイの種類 x 時間」です。

料金計算ツール VPN Gateway の見積もり
  1. リージョン
  2. タイプ: VPN ゲートウェイ
  3. ゲートウェイの種類: 帯域幅・可用性ゾーン構成の有無から選択
  4. 時間: Gateway は停止できないため、一般的に見積もりでは 24 時間 (月 730 時間) で計算

最新の VPN Gateway の価格については「VPN Gateway 価格ページ」を参照ください。

7: ネットワーク帯域幅

Azure リージョンを超えて外部へ送信されるネットワーク転送ついては、ネットワーク帯域幅料金が課金対象となります。なお、受信データについては無償となります。今回の構成では、ExpressRoute 経路については、ExpressRoute の費用で既に見積もり済ですが、インターネット経路 (VPN 含む) については、Azure → インターネットへの送信ネットワーク帯域幅の見積もりが必要です。

送信データ帯域に対する課金の基本概念は「価格テーブル x 送信データ転送量」です。

料金計算ツール 送信ネットワーク帯域幅の見積もり
  1. データ転送量により価格テーブル・単価が異なります。

最新のデータ転送量に関する料金テーブルは「帯域幅価格ページ」を参照ください。

8A: Azure Firewall

今回のサンプル構成では、Microsoft Azure からインターネットへのアクセスについては、Azure Firewall を活用することで特定 FQDN やサービスにアクセスを絞るなどの出口対策としてネットワークトラフィックに対する制御を行います。

Azure Firewall の課金に関する基本概念は「デプロイメント時間+データ処理量」です。

料金計算ツール Azure Firewall の見積もり
  1. リージョン
  2. レベル: Standard と Premium が提供されています
  3. デプロイメント時間: Gateway と同様に一般的に見積もりでは 24 時間 (月 730 時間)で計算
  4. データ処理量: 処理 GB あたりの課金となります

Azure Firewall は、「Standard」と「Premium」のレベルが提供されおり、Premium では Standard の機能に加え、IDPS や TLS インスペクション、URL フィルタなどの機能が追加されています。

Azure Firewall の最新の価格情報については「価格ページ Azure Firewall」を参照ください。

8B: Public IP

Azure Firewall には 1 個以上の Public IP が必要となり、課金の対象です。

Public IP の課金に関する基本概念は、「単価 x 時間」です。

料金計算ツール Public IP の見積もり
  1. リージョン
  2. タイプ: Basic もしくは Standard
  3. アドレス単位の時間: IP アドレスを途中で削除することは通常ないため、一般的に見積もりでは 24 時間で計算

Public IP アドレスは、Basic と Standard のタイプが提供されております。その機能差については、「Azure でのパブリック IP アドレス」をご参照ください。今回のように Azure Firewall に割り当てる場合には、Standard を選択します。なお、プライベート IP アドレスの利用は無償となります。

Public IP アドレスの最新の価格情報については「価格 Public IP」を参照ください。

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