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なぜ企業はテレワーク (リモート ワーク) ができないのか? できない企業からの人材の流出

2021 年 12 月 15 日

コロナ禍の中で定着したかのように見えたリモート ワークですが、日々の感染者数が落ち着きを見せ、緊急事態宣言が開けた途端に、多くの企業が「原則出社」を打ち出し、通勤電車もあっという間にコロナ以前と同じような状態に戻ってしまいました。どうして日本企業ではリモート ワークが定着しないのでしょうか。その要因を探ってみたいと思います。



会社の外でリモート ワークをする社員たち

1. リモートが定着しない日本人

コロナが落ち着いて、新型コロナの感染者数が減少。緊急事態宣言が解除された途端に、多くの経営者は再び「集まった方がいい」「原則出社」などと言いだしました。それは一体どうしてなのでしょうか。 

1-1. 7 か国中最も低い水準の日本

アドビ社が 2021 年 4 月から 5 月にかけて、日本や米国など 7 か国に対して実施した「働き方に関する調査」によれば、日本人は唯一、「リモート ワークではオフィスほど仕事がはかどらない」と答えた人が多数を占めたようです。アドビ社は、その要因について「ハンコや書類へのサインなど、オフィスでしかできない紙を使った業務が、リモート ワーク環境下の仕事効率化の妨げになっている」と推定しています。また「リモート ワークによってワーク ライフ バランスは向上しましたか?」の問いに「向上した」と答えた人の割合も 7 か国中最も低い水準となりました。

1-2. リモート ワークが浸透しない理由

どうして日本人は、うまくリモート ワークができないのでしょうか。日本でリモート ワークが普及しない理由はいくつかありますが、まず会社への帰属意識が強いことがあげられます。自分がどの会社のどの組織に所属しているのかに重きを置く人も多く会社に行かずに個人で仕事をするという感覚がつかめないのではないかと推測されています。また、日本人はチームでの仕事が得意で、どちらかというと個人での成果をあげることを苦手としています。仲間意識が強く、チームとして繋がっていないと不安になる人が多いと考えられます。

1-3. 従業員管理の問題が大きい

た、リモート ワークは従業員の管理が難しいという側面があります。日本にはタイムカードで出退勤を管理する慣習があり、フェイス・トゥ・フェイスの報連相によって上司が仕事の進捗を把握してきました。ところがリモート ワーク下となり、上司が自分の目の前の部下を管理できないという不安にさいなまれ始めました。フェイス・トゥ・フェイスの関わりを重視する傾向は社内だけでなく、社外の人間に対しても同じです。特に年齢層の高い経営者や管理者ほどその傾向が強く、上がそのような考え方であれば、必然的に部下も従わざるを得ません。さらにはプライベートとの区別がつきにくい、リモート ワークできる仕事が少ない、労災やセキュリティの対策が不十分であるなどの障壁があげられています。

リモート ワークの普及には、インフラ整備や機器を揃えることもさることながら、まずは経営者や従業員の意識改革からはじめるべきでしょう。

2. 海外のリモートワーク事情

海外の状況に目を向けてみましょう。リモート ワークの定着については、国によって大きく違いますが、先に述べたように日本は他国に後れを取っているのは確かです。

2-1. リモート ワーク普及率が高い国

普及率が高いのはアメリカやカナダ、フィンランドです。これらの国はコロナ禍以前から、労働時間の管理規制が緩く、柔軟な働き方が普及しやすいという要因が考えられます。元々、自由で柔軟な働き方を導入しているので、コロナ禍となっても、リモート ワークをはじめとする多様な働き方をスムーズに受け入れることができたのです。それどころか、リモート ワークをはじめとする、オフィスでない場所で働くということが、むしろ従来よりも働きやすく、業務効率の高い形態だと受け入れられているようです。

続いて普及率が高いのが、ヨーロッパです。しかしヨーロッパは元々、労働者保護の観点から労働時間の管理規制も緩く、労働時間が短い傾向にあります。そのためリモート ワークのニーズをそれほど実感していない企業が多いと言うことが考えられます。

自宅のデスクに座るビジネス パーソンと飼い犬

2-2. リモート ワーク普及率の低い国

普及率が低いのは韓国やシンガポールをはじめとするアジアの国々です。元々、長時間労働が定着しているうえ、人によって生活スタイルが異なり、日中のみならず夜に仕事をしている人もいます。韓国ではリモート ワークのことをスマート ワークと呼んでいますが、日本と同様に行政主導でリモート ワークを推進しているものの、導入が思うように進んでいないようです。

アジア人特有の文化でしょうか。新しい働き方を柔軟に受け入れることが難しく、リーダーの方針に従いながら、協調性を大切にして働いています。比較的、勤勉で仕事中心の生活を送ってしまうワーカホリックな人が多く、リモート ワークを導入しても、オン/オフの区別がつきづらくなります。成果さえあげていれば、特に自分の時間を自由に使って良いのではないかと考える成果主義になれた欧米人とは違い、勤務時間が給与の基本単位となっている日本企業では、なかなか導入が難しいのかもしれません。

テーブルでノート PC で仕事をするビジネス パーソンと後ろのキッチンで料理をする家族

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3. 日本の経営者がリモート ワークを導入したがらない理由

年齢層の高い経営者ほど、リモート ワークを受け入れがたい傾向が顕著に表れます。それはどうしてなのでしょうか。

3-1. 過去の成功体験がネックに

コロナ禍においてフル リモートを導入した企業の社長に話を聞いたところ「これまでもオフィスではない別な場所で、幹部と定期的に外で会っていた」と言う方がちらほらといました。一様に彼らは、「実際に会わないと、“つながり感” が薄れるから無理だ」と。だから、結局、オフィスがなくても、“会う” という行為は絶対に必要だと主張します。それは一つの思い込みかもしれませんが、年齢層が高いリーダーほど、社員と実際に顔を合わせることにこだわります。それは恐らく、成功して出世した人ほど、過去のやり方に踏襲したがる傾向があります。そして自分の背中を見て学べという環境で育って成功してきたので、結局は部下が目の前にいないと不安になってしまいます。

3-2. 若い世代の経営者は感触が違う

当然のことながら、コロナ禍は誰もが予測できなかった出来事で、誰も過去に経験したことのないものです。さらにいえば、リモートを主体としたワーク スタイルにも慣れていません。過去の成功体験を大切にする人ほど未経験の経験を信じない傾向が強くあります。まさに “食わず嫌い” の状態です。ところが最近の若手経営者やマネージャーなど、しっかりリモート ワークに取り組んできた人は違います。彼らはリモートとリアルの両方のメリット、デメリットを理解した上で、うまく使い分けています。なので年齢層が高い経営者の「出社しよう」という指示とは次元が違います。

3-3. 人材流出につながる危険性も

リモート ワークを受け入れない企業ほど人材流出につながる傾向があります。やはり従業員の心理的安全性を軽んじているようでは、会社に対する求心力が低下します。コロナ禍においても自分をしっかり守ってくれない会社というイメージが強くなり、そこに対する貢献意欲や帰属意識も低下。他の会社でも間違いなく通用するような重要な人材であればあるほど、機会があったら転職しようと考えるようになります。
ある調査期間が実施した「仕事の退職動機に関するアンケート」において、回答者の 5 人に 1 人が「コロナ対策・環境不安」を理由に仕事を辞めたいと考えていることがわかりました。

3-4. リモート ワークを導入しないと採用も厳しくなる

リモート ワークを導入しないと、既存社員の従業員ロイヤリティが低下するのはもちろん、採用活動も難しくなります。すなわちリモート ワークを導入していない企業は、優秀な人材を流出させる可能性もさることながら、新たに優秀な人材を採用して補填できないことを意味しています。どうしてリモート ワークを導入すれば優秀な人材が集まりやすいのか。ひとつは、従来の採用条件では該当しなかった人の中からポテンシャル人材が見つかるということです。例えば、週 5 日フルタイム出社ができない子育て中の主婦も採用のターゲットにすることができて、それだけ優秀な人材を採用できる可能性が高まるということです。地方の眠っている優秀人材にもアプローチできる点も大きいのではないでしょうか。人手不足になりがちな企業にとって、採用の可能性が広がるのは大変ありがたいことではないでしょうか。

3-5. 優秀な人材が採用できない

最近では、新型コロナウィルスの影響により、リモート ワークを導入している企業への転職を希望する求職者が増加傾向にあります。求職者は「リモート ワークを導入している会社=時代の変化に対応している会社」という印象になっていきます。
リモート ワークを導入していない企業は、時代の変化に対応できない会社という印象を持たれてしまい、そこを気にする優秀な人材の採用が難しくなってしまう可能性があります。この傾向はしばらく続くことが予想され、今後は増々、リモート ワークの導入を転職先の条件にする求職者が増えていくでしょう。
優秀な人材を確保するためには、勤めやすい環境作りが必須です。結婚や出産はもちろん、高齢者の介護が必要な社員が増えることも予測されます。それによってやむを得ず、優秀な人材を逃してしまうのは、あまりにも勿体ない話です。このような悩みを解決するのが、リモート ワークなのです。
これによって、例えば子育てなどの事情により退職する人を引き止めることも可能となります。これまで企業に貢献した優秀な人材を継続雇用できることは、大きなメリットになるはずです。

4. リモートワークはコミュニケーションの低下を招くのか?

新しい人材を確保するためにも、新しく柔軟な働き方ができることを示す上でも、リモート ワーク導入は必須です。しかし、多くの企業がリモート ワーク導入に際して、コミュニケーションの低下を招くのではないかという懸念を抱きます。実際に、リモート ワークを導入したばかりの頃には、コミュニケーションの問題が生じていると訴える企業が多く見られました。

4-1. 社内コミュニケーションに関する調査結果

昨年度に東京商工会議所による「テレワークの実施状況に関する緊急アンケート」によれば、リモート ワークを実施した際に生じた課題として「社内のコミュニケーション」と回答した割合は 55.5% に上ります。コミュニケーションが不足すれば、チーム内で上手く連携が取れず、不明点が出てきて業務が滞るといった生産性の低下にも繋がりかねません。

4-2. リモート化でもコミュニケーションを活性化する方法

そういった課題を解決するためにチャットツールや Web 会議ツール、さらにはグループウェアを導入するなどメンバー同士が気軽にやり取りをできるような環境を用意。コミュニケーションのハードルを下げることが重要です。また、グループウェアを使えば社外での打ち合わせや会議についても、Web 会議ツールを活用することで相手の顔を見ながら密なコミュニケーションをとることが可能です。
社内外のコミュニケーションを円滑にする鍵になるのは間違いありませんが、コミュニケーションやチームを重視する日本人であれば、グループウェアを活用すべきだと思います。

5. コミュニケーションを活性化に最適なツール

活発な社内コミュニケーションが必要不可欠だと言うことがわかりましたが、リモートワーク下において、どのようにコミュニケーションを活性化すべきでしょうか。考察を進めます。

5-1. グループウェアなどのコミュニケーション ツールの活用

よりよいチーム ビルディングを経て、帰属意識を醸成、維持するためにグループウェアなどのコミュニケーション ツールを使いこなすことが重要です。Web 会議はもちろん、ちょっとした相談にはチャット活用したり、クラウド ストレージを活用した情報共有も可能。とにかくコミュニケーション ツールを活用することで、組織につながっているという心理安全性を担保することができます。

5-2. 「Microsoft Teams」を活用する企業が増えている

そこで注目してほしいツールが「Microsoft Teams」です。「Microsoft Teams」はチャットやオンライン会議はもちろん、メールや Outlook の予定表も取り込み、ファイル共有、共同編集などの付随機能も充実させたコミュニケーションのハブとなる統合ツール。リモート ワークが中心となり、メンバー同士が物理的な距離を感じざるを得ない中、「Microsoft Teams」は、同じオフィスにいるかのような感覚で、シームレスにメンバー間のコミュニケーションをデザインします。「Microsoft Teams」は、帰属意識、エンゲージメント醸成に欠かすことのできない優れたアプリケーション群といえます。

リモートワーク・ハイブリッドワークに適した環境設置のために

リモートワーク・テレワーク・在宅勤務環境を安全・快適に実現するためには、「セキュリティの確保」「Web 会議のためのデバイス選択」「グループワークのためのアプリケーション」など検討する課題も多く、またこれらを潤沢な資金で準備するのではなくコスト削減につなげることが大切です。

これらの達成のための Microsoft 365、Excel の使い方や、リモートワーク・ハイブリッドワーク環境を充実させるために以下の記事が参考になります。

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