1. オンライン セミナーとは?
オンライン セミナーの定義について解説を進めます。
1-1. ウェビナー、Web セミナー、E-ラーニング
オンライン セミナーとは、その名のごとく、リアルな会場ではなくオンライン、すなわちインターネット上で実施するセミナーや講演会・講義・研修を指します。従来のオフライン セミナーでは、一つの会場にセミナー講師や登壇者、そして参加者が集っていましたが、オンライン セミナーでは参加者が視聴者となり、モニターの画面越しに演目を閲覧するというスタイルが基本となります。視聴者の目線からすると、まるで 1 対 1 で話を聞いているような錯覚に陥りがちで、自宅で閲覧していれば、なおさらプライベート感覚でセミナーに参加できるというメリットがあります。
このオンライン セミナーには、様々な呼称があります。最近よく耳にするウェビナーもその一つ。「Web」と「Seminar」を合わせた造語ですが、他にも単純に「Web セミナー」と呼ばれたり、研修や教育目的であれば「E-ラーニング」と呼ばれることもあります。
1-2. 学習機会としての研修、セミナー
オンライン セミナーは大きくふたつの種類に分類することができます。まずひとつは、学習機会としての研修、セミナーです。社内研修や資格取得のための研修、業界独自の研修会もあるでしょう。「パーソル総合研究所」が公表している調査結果によると、コロナ禍の影響により、社内の集合研修をオンライン化にした企業の割合が実に 75.0% にも上っていることがわかります。企業規模が大きくなるほどオンライン化に積極的なようです。
さらにオンライン集合研修を実施している企業のうち、既存の研修をオンラインに置き換えたいと考える企業の割合は全体平均で 80.4%。さらに、オンライン集合研修で成果を実感している企業においては、その割合は 90.0% にも及んでいることがわかります。また受講者にとってのメリットとしては、オンライン化されたことで「時間の削減」「スケジュール調整がしやすかった」などの声があがっていました。この調査結果からしても、社内研修のオンライン化は今後もさらに進んでいくものと考えられます。
1-3. 集客/マーケティングを意識したオンライン セミナー
もうひとつが、集客/マーケティングを意識したオンライン セミナーです。その多くは無料で視聴できるスタイルとなっています。王道のパターンとしては、あるサービスを提供する企業が、その分野における専門家を招聘してセミナーを実施するというもので、例えば B to B 向けの SaaS 商材を提供する企業が、その商材の利点などをセミナー形式で伝えたり、M&A の仲介会社が有名経営者の講演を企画し、そのテーマの中に M&A の利点を織り交ぜるというものです。もちろん、Web 上に存在する記事や、あるいは書籍を読めばわかる内容なのかもしれませんが、やはり人の話を聞くことで理解も深まります。ましてや有名な経営者が語れば説得力は増します。
セミナーはあくまで見込み客 (リード) 獲得の一手段です。興味を持ってくれた参加者、特に開催後のアンケートにしっかり書き込んでくれた方には、以降、電話やメールでフォローすることで関係性の構築を図っていきます。もちろん、このセミナーを活用したマーケティング手法はコロナ禍以前から、活発に行われていました。しかし、複数人が一堂に会するイベントの休止要請によって、リアル会場でのセミナーが制限されてしまい、多くの主催者がオンライン セミナーに移行せざるを得ませんでした。当初は、リアル セミナーとは大きく勝手が違い、会場における一体感などが悦叙するため成果につながりづらいとの声も出ていましたが、それまで時間・場所・コストの制約によって頻繁にイベントを開催することが困難だった中小企業にとっては逆に、セミナー開催のチャンスがめぐってきたように思えます。オンライン セミナーによって主催企業の幅が広がったのは確かです。
集客/マーケティングを目的としたオンライン セミナーの目的について、もう少し細かく見ていきましょう。ある調査によると、実施目的は、既存顧客関係構築、新規顧客開拓、顧客理解などがあげられます。とはいえ、セミナーを開催してすぐにマネタイズができるわけではなく、セミナー後のフォローによって大きく変わってくるようです。目の前のマネタイズを目的とせず、企業や事業内容に認知や顧客、消費者とのエンゲージメントの強化といった目的のために、数回に渡ってオンライン セミナーを企画する企業も多く存在しています。それは、リアルに比べてセミナー開催の手間が大幅に軽減され、中小企業でも気軽に開催できるようになったことが理由としてあげられます。肉声を使って、Web に載せて消費者にアピールし、商品やサービスへの理解度を高めてもらい、ファン化するには最適な手法といえます。