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Excel の四捨五入はこんなに簡単! 便利な切り捨て、切り上げも解説

2022 年 2 月 2 日

消費税や単価が 1 円未満になる商品の計算をする場合など、端数処理に困ることがありますが、そんなとき Microsoft Excel で端数処理する方法を知っていると便利です。
四捨五入、切り捨て、切り上げなど、表示だけ変える場合や関数を使って端数処理する方法、注意点も解説します。

Excel の四捨五入

1. 関数を使って端数処理する方法

Excel では、表示だけを変えたい場合と、表示だけではなく実際の数値も変えたい場合のどちらにおいても端数処理が可能です。

まずは表示だけでなく、実際の数値も変えたい場合について、四捨五入、切り捨て、切り上げの順に、それぞれ関数を使った方法を紹介します。

1-1. 四捨五入:ROUND 関数

端数処理をする際、指定した桁数で端数を四捨五入したいときは、「ROUND(ラウンド)関数」を使います。

ROUND 関数の構文と引数は、次のようになります。

=ROUND(数値,桁数)

  • 「数値」:四捨五入したい数値または、セルの位置を指定します。
  • 「桁数」:四捨五入したい桁数を指定します。桁数を指定するには、整数で指定します。

1 の位を「0」とし、小数点以下第一位は「1」、小数点以下第二位は「2」というように、小数点以下の桁数が増えるごとに正数が増えます。また、十の位を指定したい場合は「-1」、百の位を指定したい場合は「-2」というように、桁が大きくなるごとに負の数が増えます。

ここで勘違いしてはいけないのが、指定した桁数にある数値を四捨五入するのではなく、指定した桁数の 1 つ下の桁の数値を四捨五入するということです。

以下に例を挙げましょう。

ROUND 関数を入力した Excel のセル

=ROUND(1234.567,0)

数値を「1234.567」、桁数を「0」と指定し、ROUND 関数を実行すると、「1235」となります。
指定桁数が 1 の位なので、1 つ下の桁数になる小数点以下第一の数値「5」を四捨五入しています。

1234.567 を桁数の指定整数を変え、四捨五入すると次のようになります。

「1234.567」を ROUND 関数で桁数の指定整数を変えた四捨五入

続いて、単価が小数点以下となるような商品の見積書や請求書などで ROUND 関数を使用した例を挙げます。

G 列のセル G3 には、「C3*D4(数量×単価)」という式を入力し、セル E3 に「=ROUND(G3,0)」という関数式を入力することで、G3 の小数点以下の数値を四捨五入しています。
同様に G4 ~ G7、E4 ~ E7 にも数式と関数式を入力します。

ROUND 関数での四捨五入を使用した表

1-2. 切り捨て:ROUNDDOWN 関数

指定した桁数で端数を切り捨てしたいときは、「ROUNDDOWN (ラウンドダウン) 関数」を使います。

ROUNDDOWN 関数の構文と引数は、次のようになります。

=ROUNDDOWN(数値,桁数)

  • 「数値」:切り捨てしたい数値またはセルの位置を指定します。
  • 「桁数」:切り捨てしたい桁数を指定します。※桁数のあつかいに関しては、ROUND 関数と同様です。

=ROUNDDOWN(1234.567,0)

数値を「1234.567」、桁数を「0」と指定し、ROUNDDOWN 関数を実行すると、「1234」となります。

ROUNDDOWN 関数を入力した Excel のセル

以下に、単価が小数点以下となるような商品の見積書や請求書などで ROUNDDOWN 関数を使用した例を挙げましょう。

G 列のセル G3 には、「C3*D4(数量×単価)」という式を入力し、セル E3 に「=ROUNDDOWN(G3,0)」という関数式を入力して G3 の小数点以下の数値を切り捨てています。
同様に G4 ~ G7、E4 ~ E7にも数式と関数式を入力します。

ROUNDDOWN 関数での四捨五入を使用した表

切り捨てには ROUNDDOWN 関数の他に、INT 関数や TRUNK 関数が使えます。
それぞれの違いを簡単に紹介します。

INT (イント) 関数

小数点以下の数値を切り捨てて整数にするときに使う関数です。切り捨て桁数が決まっているので、ROUNDDOWN の構文にあるような、「桁数」を指定する必要がありません。
「1,234.567」を INT 関数を使って切り捨てるには、=INT(1234.567) となります。
ROUNDDOWN 関数に比べ入力文字数が少なくなるので便利な関数です。

ただし、負の数値があるときに INT 関数を使う場合は注意が必要です。
負の数値の場合、INT 関数は「0」から離れた数値に切り捨てます。

たとえば、「-1,234.567」という負の数値を INT 関数で切り捨てると、-1,235 となり、ROUNDDOWN 関数を使って切り捨てた場合の -1,234 とは異なった数値となります。

TRUNK (トランク) 関数

ROUNDDOWN 関数と同じ働きをする関数です。構文も同様に、=TRUNK(数値,桁数) となります。ただし、構文の「桁数」を省略できるという違いがあります。

ROUNDDOWN 関数は「桁数」を省略できませんが、TRUNK 関数で桁数を省略すると、桁数が 0 として処理されます。「1,234.567」の小数点以下を切り捨てたい場合、=TRUNK(1234.567) でも =TRUNK(1234.567,0) と同じ数値の「1,234」となります。

1-3. 切り上げ:ROUNDUP 関数

指定した桁数で端数を切り捨てしたいときは、「ROUNDUP (ラウンドアップ) 関数」を使います。

ROUNDUP 関数の構文と引数は、次のようになります。

=ROUNDUP(数値,桁数)

  • 「数値」:切り上げしたい数値または、セルの位置を指定します。
  • 「桁数」:切り上げしたい桁数を指定します。※桁数の扱いに関しては、ROUND 関数と同様です。

=ROUNDUP(1234.567,0)

数値を「1234.567」、桁数を「0」と指定し、ROUNDUP 関数を実行すると「1235」となります。

ROUNDUP 関数を入力した Excel のセル

以下は、単価が小数点以下となるような商品の見積書や請求書などで ROUNDUP 関数を使用した例です。

G 列のセル G3 には、「C3*D4(数量×単価)」という式を入力し、セル E3 に「=ROUNDUP(G3,0)」という関数式を入力して、G3 の小数点以下の数値を切り上げしています。
同様に G4 ~ G7、E4 ~ E7 にも数式ならびに関数式を入力します。

ROUNDUP 関数での四捨五入を使用した表

1-4. 関数を使った端数処理の注意点

関数を使って端数処理をする場合、どの時点で端数処理をするかによって最終的な数値が違ってくる場合があります。
特に「切り捨て」「切り上げ」で端数処理を行った場合、大きく違ってくることもあるので要注意です。

ROUNDDOWN 関数で挙げた例では、それぞれの商品ごとの金額 (数量×単価で算出された数字) を小数点以下で切り捨てし、それを縦計した結果、「¥5,270」となりました。

それぞれの商品ごとの金額を小数点以下で切り捨てして縦計した表

一方、以下の例は、商品ごとの金額は端数処理 (切り捨て) をせず、縦計の金額を端数処理した場合です。結果として「¥5,272」となりました。

それぞれの金額は端数処理せずに縦計の金額を端数処理した表

このように、端数処理するタイミングによって結果が違ってきます。
いずれも間違いではありませんが、担当者によって端数処理の仕方が違うと計算が合わないといった問題が生じます。
そうした事態を避けるためにも、端数処理についてのルールを決めておく必要があります。

2. セルの表示桁数を調整し、四捨五入する方法

次に、表示上のみ端数処理する方法について解説します。
この方法は、四捨五入する際のみ使えます。

「ホーム」タブのリボン メニューにある「セルの表示桁数」アイコンをクリックすることにより、表示させたい桁数で四捨五入することができます。

以下は、E 列の金額部分の小数点以下を表示させた例です。
該当するセルを選択し、「セルの表示桁数」アイコンをクリックして表示桁数を調整します。

セルの小数点以下の表示桁数を調整する前の表

すると、小数点以下が四捨五入された金額が表示されます。

セルの小数点以下の表示桁数を調整した表

ただし、この方法では見かけ上は四捨五入されていますが、実際には四捨五入されていません。
この数値を使って計算する場合、期待した答えと違うことがあるので注意が必要です。

たとえば、セル E3 の金額「¥659」を 2 倍にしてみましょう。
見かけ上の金額であれば、「¥1,318」になりますが、実際に計算すると、「¥1,319」になります。
これは、実際の数値「¥659.28」×2=「¥1,318.56」の小数点以下が四捨五入されて表示されているためです。

表示桁数を調整した数値と実際の数値の違い

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3. 四捨五入されたくないとき

次に、より正確な数値を表示させたい場合に、自動的に四捨五入されないようにする方法を紹介します。

たとえば、「1234.56789」という数値を Excel で見ると、下図のように特定の桁で四捨五入されて表示されることがあります。

実際の数値が自動的に四捨五入されて表示されている例

これを防ぐためには、できるだけ実際の数値に近い桁数で表示する必要があります。
それには、以下の 2 つの方法があります。

表示桁数を増やす

Excel のセルの数値は、表示されている桁数に応じて、それ以下の数値は四捨五入されることは、「2 セルの表示桁数を調整し、四捨五入する方法」で紹介したとおりです。
従って、より正確に数値を表示させるためには、表示桁数を増やします。

前述と同様、表示桁数を増やしたいセルを選択し、「ホーム」タブのリボン メニューにある「セルの表示桁数」アイコンをクリックし、表示桁数を調整します。

「ホーム」タブ内の「セルの表示桁数」アイコンをクリックして表示桁数を調整

セルの書式設定から設定する

表示桁数の調整は、セルの書式設定からも行うことが可能です。

表示桁数を調整したいセルを右クリックし、表示されるメニューより、「セルの書式設定」を選択します。「セルの書式設定」ダイアログ ボックスが表示されるので、「表示形式」タブを選択し、分類欄より「数値」を選択、右側の「小数点以下の桁数」の数値を調整し、右下の「OK」ボタンをクリックします。

「セルの書式設定」ダイアログ

上記のどちらの方法でも、次のように正確な数値が表示されます。

実際の数値と表示上の数値が等しい

4. まとめ

今回は、Excel の端数処理の際によく利用される、ROUND 関数、ROUNDDOWN 関数、ROUNDUP 関数について紹介しました。これらの関数は引数が共通しているので、四捨五入が切り捨てや切り上げになっても書き換えが容易です。
端数処理は消費税計算をはじめ、さまざまな場面で活用できます。ぜひ参考にしてください。

【参考】関連する関数

  • CEILING  指定された値の倍数のうち、最も近い値に数値を切り上げる
  • FLOOR  指定された値の倍数のうち、最も近い値に数値を切り捨てる
 

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