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ロー コード開発で I T 人材不足を解決! メリットやデメリットを紹介

2021 年 6 月 30 日

企業の DX 化が遅れているとされる日本では、I T 人材不足が深刻な課題となっています。経済産業省が 2018 年に公開したレポート「DXレポート ~I Tシステム『2025年の崖』克服とDXの本格的な展開~」によれば、2015 年ではおよそ 17 万人だった I T 人材不足が、2025 年には 43 万人にまで拡大すると言われています。
そこで解決策として注目されているのがロー コード開発です。専門知識を持たなくても I T 開発ができる手法として広まりつつあります。この記事では、ロー コード開発についての基礎知識や利用方法、ロー コード開発の代表的なプラットフォームである Microsoft PowerApps について紹介します。

1. ロー コード開発とは

まずは、ロー コード開発の定義としくみ、この手法が広まってきた背景を紹介します。

ロー コード開発の定義としくみ

ロー コード開発とは、プログラム開発言語を極力使うことなく、「グラフィカル ユーザー インターフェース (GUI)」という視覚的な操作を行うことで、短期間でのシステム開発を実現する手法を指します。
ロー コード開発では、開発のためのさまざまなソフトウェア プラットフォームを使い、Web ブラウザー上などで部品をクリックしたりペーストしたりする直感的な操作により、要素を組み合わせてシステムを完成させます。こういった操作と同時にプログラムが自動で生成され、コンピュータが理解できるようになっているのです。ただし、ロー コード開発でも、必要最小限のプログラムを書くことはあります。まったくコードを書かない「ノー コード開発」という手法もありますが、プログラムを書くことでノー コード開発よりも開発できる範囲が広がり、より融通の効くシステムができあがるのです。

ロー コード開発が広まってきた理由

これまでの I T システム開発では、まず、情報システム部門の担当者がユーザーの要望をヒアリングして「要件定義」を行います。そして、委託先のシステム開発会社のシステム エンジニア (SE) とコミュニケーションを取りながら仕様を確認し、SE はそれを基に設計を行います。それから最終的にプログラマー (PG) が設計に基づいたプログラミングを行う、という流れが一般的でした。
しかし、このやり方は現在、企業の DX 化を進めるうえで大きな問題要因や制約となっています。デジタル変革の推進のためには人材の確保が不可欠ですが、多くの企業は人材不足に悩んでいます。その大きな理由がプログラミング言語を学習した SE や PG を確保できないというところにあります。
プログラミング言語は時代とともに人間にわかりやすい形で発展してきましたが、そもそもプログラムを書くということを前提とした開発者の育成に時間がかかっているのが現状です。さらに、従来の開発体制の場合、複雑な要件や柔軟な変更に対応するためには、すべてシステム開発会社を通さなくてはならないため、要件定義→設計→プログラミングという開発プロセスにかなりの時間を要し、結果的に企業の事業変革のタイミングを失いがちです。これらの問題を解消するロー コード開発では、よりエンド ユーザーに近い人間が開発することで、人材不足に対応できるとともに、変化にすばやく対応できる事業体を構築することが可能になります。
情報/通信分野専門の市場調査を行うミック経済研究所によるレポート「DX実現に向けたローコードプラットフォームソリューション市場の現状と展望 2020年度版」によると、2018 年度に 2,143 億円の実績であったロー コード開発市場は、2023 年度には 4,560 億円にまで成長する見込みです。また、指定した複数の期間にわたる成長率から 1 年あたりの成長率を算出する「年年平均成長率 (CARG)」は 16.3% になると予測されています。このことからも、ロー コード開発市場の成長が続くことが予想されます。

2. ロー コード開発のメリット/デメリット

ここでは、ロー コード開発のメリットとデメリットを紹介しましょう。

ロー コード開発のメリット

  • 開発期間の短縮、工数の削減
    ロー コード開発では、ツールによって開発工程の簡略化や自動化が実現できます。そのため、開発期間の短縮や開発工数の削減が可能となり、システムの変更をよりスピーディかつ柔軟に行えるようになります。また、I T スキルやプログラミングに長けた人材を多く確保、維持する必要がなくなるため、人材不足の解決にもなります。
  • よりユーザー視点で開発できる
    ロー コード開発の場合、I T の専門家ではなくユーザーに近い人材が直接開発に携わることが可能です。そのため、ユーザーと開発者の間の壁がなくなり、ユーザーの要件を理解したうえで、その内容を開発に組み込むことができます。
  • セキュリティ面での不安が少ない
    ローコード開発においては、セキュリティ対策がなされている専用開発プラットフォームを使用する場合がほとんどです。そのため、ゼロからプログラムを書いた場合と比べると、システムの脆弱性やセキュリティ面でのリスクが少なくなります。

ロー コード開発のデメリット

  • 業務レベルでの設計人材が必要
    ロー コード開発であっても、設計がまったく必要でなくなるわけではありません。より業務レベルに近いところで、どのようなシステムが必要で、何を実行するかを設計する人材は引き続き必要になります。
  • 開発プラットフォームの範囲外の要求に応えられない
    ロー コード開発では、開発できる範囲は開発プラットフォームに依存します。プラットフォームによっては細かい要求に応えられない場合もあるので、開発プラットフォームがどこまでの機能を備えているかを事前に比較および検討しておく必要があります。
  • セキュリティがプラットフォームに依存する
    プラットフォームがセキュリティを担保してくれる一方で、セキュリティ要件は開発プラットフォームの仕様に依存することになります。個別にセキュリティ ポリシーの管理や運用ができないため、細かいセキュリティ設定が必要な企業には適さない場合もあります。

3. ロー コード開発のプラットフォーム選定ポイント

前述のように、ロー コード開発を行うためには、開発のためのプラットフォーム (ツール) を導入する必要があります。さまざまなベンダーから開発プラットフォームが提供されていますので、その選定のポイントについて紹介しましょう。

ノー コードで実現できる範囲

開発プラットフォームにはノー コードで実現できる機能と、多少のコードを追加してカスタマイズする部分があります。したがって、欲しい機能をどこまでノー コードで実現できるかは、選定する際の重要なポイントとなるでしょう。
たとえば、ID や権限管理の柔軟さは選定ポイントの 1 つとなります。組織や役職によってアクセスできる機能の範囲は変わりますが、その設計のしやすさは重要です。また、自社の業務プロセスに耐えられるかどうかもポイントとなるでしょう。業務プロセスが複雑であるほど実現も難しくなりますが、その場合、業務プロセスを見直すべきなのか、あるいは業務プロセスに合ったツールを使うべきか、といった検討が必要です。
さらに、開発に直接関係する機能ではありませんが、コンプライアンスへの対応も無視できません。監査ログが適切に残せるかなどについても、確認する必要があります。

拡張性の高さ

最近では、I T システムを単体のシステムだけで使用するケースは少なくなっています。人事、会計などの基幹系システムや、マーケティング、営業支援システムなど、市販のパッケージソフトを使用している企業も多いので、こういったシステムとどれだけ容易に連携できるかも確認したほうがよいでしょう。
また、「見た目を変えたい」といったユーザーからの要望は頻繁に起こることが予想されます。そういった要望に対し、画面や操作性のカスタマイズがどれだけ簡単、かつスピーディにできるのかも選定基準になってくるでしょう。

プラットフォーム提供ベンダーのサポート体制

 I T の専門ではない人材が開発に関わるロー コード開発では、わからないことがあるときはプラットフォーム提供ベンダーのサポートを頼る必要があります。基本的にサポート メニューが提供されていることがほとんどですが、場合によっては有償サポートとなることもあるため、サポート体制や有償の場合の料金体系などを確認しておきましょう。

4. ロー コード開発を実現する PowerApps とは

Microsoft PowerApps Web サイトのスクリーンショット

(画像出典:Microsoft PowerApps Web サイト)

 

ロー コード開発プラットフォームは数多く提供されていますが、中でも広く使われているプラットフォームの 1 である「PowerApps」を紹介しましょう。PowerApps は、Microsoft がビジネス ユーザー向けに提供しているプラットフォームで、プログラミングなしで、Microsoft PowerPoint のような直観的操作と、Microsoft Excel のような関数入力だけでビジネス アプリケーションが作成できるツールです。Microsoft 製品を既に導入している企業にとっては、特に有効活用すべきツールと言えます。
 

Web ブラウザー上で開発できる

Microsoft PowerApps ブログのスクリーンショット

(画像出典:Microsoft PowerApps ブログ)

 

PowerApps でアプリケーションを作成する際、個々の PC に PowerApps を導入する必要はありません。Web ブラウザー上の開発ツール「PowerApps Studio for the Web」で開発可能で、Windows や Mac など、パソコンの OS を問わず直観的に操作できます。また、Web 上で常に最新バージョンにアップデートされており、アプリのセキュリティ面も十分に考慮されているので、アプリ作成者はアプリ設計に集中して作業することができます。

Microsoft 365、Dynamics 365 ユーザーには最適

PowerApps のライセンスは、通常ユーザーごとに 1 つのアプリを実行できるアプリごとのプランと、ユーザーごとに無制限にアプリを実行できるプランの 2 つがあります。また、Microsoft 365、Microsoft Dynamics 365 のエンタープライズ向けライセンスには、PowerApps が使えるようになっているものもあります。適合するライセンスを持っていれば、追加で開発プラットフォームを導入する必要はありません。
ただし、ライセンスによっては PowerApps の一部の機能のみに限定されていますので、注意が必要です。また、認証機能を別途構築することなく、Microsoft 365 などの Microsoft 製品とのシングル サインオン (SSO) が実現されており、一度の認証処理でソフトウェア システムのリソースにアクセスしたり活用したりできます。これによって時間や手間を省き、効率的に開発を進めることができるでしょう。

Microsoft 以外を含めた各種データベースと接続可能

PowerApps で作成したアプリケーションは、さまざまなデータベースとの連携が可能です。Microsoft Excel や CSV ファイル、Microsoft SharePoint リスト、Microsoft SQL Server といった Microsoft のデータベース (DB) はもちろんのこと、DB2 や Oracle など、Microsoft 以外のデータベースとも接続が可能です。また、S A P や Salesforce といったシステム、Twitter や Facebook といった SNS、Gmail や Google カレンダーなど Google のツールとの連携機能も用意されています。

スマートフォンやタブレットに合わせたアプリ開発も可能

iOS 用の PowerApps

(画像出典:Microsoft PowerAppls ブログ)

現在では、スマートフォンやタブレットなどから社内 I T システムにアクセスする機会も多くなってきました。そのようなモバイル端末向けのアプリを開発する際は、Power Apps Mobile という iOS または Android 向けのアプリケーションをインストールすることで、PowerApps で開発されたアプリを管理したり、簡単に利用したりできます。

5. まとめ

変化や進化の激しいビジネス需要にスピーディに対応できる I T システムが必要とされる現在、ロー コード開発は、I T 開発の需要に対する人材不足に対する 1 つの解決策となるでしょう。
企業のニーズや社内環境に適したロー コード開発のプラットフォームを選ぶことで、ローコード開発の導入が容易になり、大きな効果を発揮することが期待できます。
PowerApps は Microsoft の環境はもちろん、さまざまな外部システムとの連携やモバイル端末にも対応したロー コード開発のプラットフォームです。ロー コード開発を導入する最初の一歩となるツールとして検討してみてはいかがでしょうか。

リモートワーク・ハイブリッドワークに適した環境設置のために

リモートワーク・テレワーク・在宅勤務環境を安全・快適に実現するためには、「セキュリティの確保」「Web 会議のためのデバイス選択」「グループワークのためのアプリケーション」など検討する課題も多く、またこれらを潤沢な資金で準備するのではなくコスト削減につなげることが大切です。
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まず初めに、Microsoft 365 のメリット、製品内容を知りたい方に最適です。
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