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2024/06/26

アジャイルで変革する世田谷区の DX 推進。Support for Mission Critical で実現する行政サービス再構築への挑戦

東京都世田谷区は東京 23 区のなかで最も多い人口 (約 91 万 8000 人 ※) と、2 番目の広さ(約 58 ㎢ ※)を有する基礎自治体です。複数の鉄道路線が通り都心へのアクセスが良好な同区には、下北沢や二子玉川といった賑やかな商業地がある一方で、閑静な住宅地や緑地、公園も多く、住環境にも恵まれています。(※ 2024 年 1 月現在)


同区では、2021 年 3 月に「世田谷区 DX 推進方針 Ver.1」を公表。「Re-Design SETAGAYA」をコンセプトとして DX を加速し、全国でも珍しい三層分離モデルの「β‘ モデル」への移行を目指して、着々と成果を積み上げています。その原動力は、行政機関の常識を超えたマインドセットの追求にありました。

Setagaya City

職員のマインドセットの変化が区民サービスの向上につながる

世田谷区 DX 推進方針は、「あらゆる世代が安心して住み続けられる世田谷をともにつくること」を目的として、デジタル技術を駆使して「行政サービス」「参加と協働」そして「区役所」という 3 つの「Re-Design」つまり再構築を進めることを方針として定めています。DX 推進担当部長の菅井 英樹 氏によると、同区ではこの  3  つのうち、まずは根本となる区役所の Re-Design を進めることに主眼を置いた取り組みを行っていると話します。

「デジタル技術によって職員のワークスタイルが変化することで、自ずと職員の感覚も変わり、それが業務改善につながり、その先にある区民サービスの向上につながる。いわゆるデザイン思考の醸成を目指したいと考えています」(菅井氏)

行政として区民の利便性を第一に考えるのは当然ですが、肝心の区民サービスを提供する職員のマインドセットが変わらなければ、本質的なサービス向上にはつながらない、とその意義を強調します。

行政機関ならではの課題を解決するために DX 推進担当部を創設

同区の DX 推進が加速した背景には外的な要因があったと、DX 推進担当部 DX 推進担当課長の齊藤 真徳 氏は当時を振り返ります。「コロナ禍に端を発する業務環境の変化です。コミュニケーションが気軽に取れなくなり、情報共有もできなくなってしまったことで、リモート ワークやオンライン会議環境の構築が急務となりました」(齊藤氏)
リモート ワークへの移行がなかなか進まない状況に、当時管理職に就任したばかりの齊藤氏は無力感を味わっていたと言います。

「区役所の業務は、出勤して区民対応などの業務にあたることが基本でしたから、リモート ワークは想定されていませんでした。そもそもインターネット接続系以外の端末からはインターネットに接続できない環境ではオンライン会議もままなりません。民間企業では当たり前にシフトできたことが全く実現できない状況でした」(齊藤氏)

一般的に見ても、行政機関におけるデジタル化は民間企業と比べて遅れがちな傾向があります。この状況を打破するために、菅井氏をリーダーとする DX 推進担当部が創設され、世田谷区の DX 推進方針の実現に向けてさらに前へ踏み出しました。

技術の進化にキャッチアップしながら、先を見据えた基盤構築を目指す

自治体には、情報システムにおける三層分離という独自のセキュリティ対策モデルが存在します。
「α モデル」では、個人番号利用事務系、LGWAN(総合行政ネットワーク)接続系、インターネット接続系の3層に業務を分けて管理していますが、その使い勝手の悪さが問題となっています。そのため、「β モデル」ではLGWAN系の一部の業務端末やシステムをインターネット接続系に移行することが認められ、「β‘ モデル」ではすべての端末やシステムの移行が可能ですが、セキュリティへの不安や予算の問題で躊躇する自治体も存在します。

「国が示しているネットワークモデルのうち最も野心的なモデルを採用することで、民間であれば当たり前にできている、電話やメールに頼らずにどこでも働ける環境を整えるために、次期情報化基盤の構築を目指しました」(齊藤氏)

齊藤氏によると、当初は β モデル構築の予定でしたが、DX 推進担当部のメンバーで話し合った結果、「β モデルへの移行が終わったときには、すでに時代の動向に遅れをとってしまっているのではないか。コロナ禍の反省を生かして IT 技術の進化のスピードについていくには、もっと先を見据えた計画を立てなければいけない」という結論に達し、 β‘ モデルを見据えた基盤構築へ舵を切り直しました。

世田谷区では、10 年以上前からクラウド化を見据えた基盤構築をおこなっていました。DX 推進担当部 DX 推進担当課 DX 推進担当係長の木村 裕志 氏は、リモートワークやテレワークという概念が広がり始めた頃からサーバの仮想化を進め、2016 年にはクラウドプラットフォーム Microsoft Azure の導入を進めていたと語ります。

「当時は行政機関でのクラウドの導入実例はほとんどなく、ベンダーさんもノウハウがないなかで、日本マイクロソフトさんにはかなり支援していただきました。クラウド基盤ができあがっていたことで、今回の β‘ モデルへの移行に際してもあまり困ることはありませんでした」(木村氏) 

行政機関の常識を超えてアジャイル開発手法を導入

こうして Azure の基盤を使いながら Microsoft Teams や Microsoft SharePoint の導入を進め、メールや電話に頼らないコミュニケーション基盤の構築に取り掛かった DX 推進担当部ですが、「スモール スタート」と「トライ アンド エラー」を基本方針として柔軟なマインド セットでプロジェクトを進めています。

たとえば、リモート ワーク環境は段階的に導入を進めました。コロナ禍においては業務端末のインターネット接続までは想定していなかったため、まずは閉域処理を行なった端末でのみ庁外からのアクセスを許可。Microsoft 365 E5 Security や Microsoft Intune でセキュリティを担保しつつ、職員が在宅勤務できる環境を整えました。2023 年からは、β‘ モデルに移行した端末であれば、全職員が在宅勤務可能な環境を実現しています。

「いきなり完成系を目指すと、何年経っても導入は進みません。できるところからスモールスタートして、思った通りに行かない場合はトライ アンド エラーで調整していくことが大切です」(木村氏)
着手できるところから手をつけて、手早くモデル ケースを制作・検証し、常に改善を繰り返す。行政機関で従来から採用されている段階的なプロジェクト管理手法ではなく、これまでの常識とは異なる動き方を指向することで、次期情報基盤構築は順調に進められています。

そのようなプロジェクトのなかで、サーバ環境の構築や業務ツールの実装を担当するのは、世田谷区 DX 推進担当部 DX 推進担当課の村越 拓巳 氏と、世田谷区 DX 推進担当部 DX 推進担当課の義澤 梨花 氏です。
村越氏は「データのクラウド管理も庁外からのメール確認も、職員の皆さんの働き方の変革につながる部分なので、DX の土台づくりに貢献できている実感があります」と語ります。義澤氏も「今はスマートフォンから Teams にアクセスできる機能の構築を進めているのですが、他のチームの方との調整が必要で、自分の経験値が上がっていることを感じます」と語る通り、充実感を持って業務に取り組めている様子です。

基盤開発を支える日本マイクロソフトの One to One サポート サービス

こうした DX 推進の動きを下支えしているのが、日本マイクロソフトが提供するユニファイド サポートおよびそのアドオンサービス Support for Mission Critical (SfMC) です。どちらもより効果的に Microsoft 製品をご利用いただき、業務に役立てていただくためのサポート サービスです。

ユニファイド サポートはご契約いただいている製品全てをカバーするサポートプランであり、24 時間 365 日、日本マイクロソフトのエンジニアからサポートが受けられるのが大きな特徴です。SfMC サービスは それに加えてカスタマー リードと呼ばれる全体統括エンジニアがお客さまの状況を理解したうえで、当該の製品領域における最適化されたサポートを提供するプランです。

「日本マイクロソフトさんとサポート サービスを契約したのは、ユニファイドサポートがまだPremier Support for Partners (プレミアサポート) と呼ばれていた頃でした」と振り返るのは、世田谷区 DX 推進担当部 DX 推進担当課DX 推進担当副参事の會田 孝一 氏。
安全なシステムを確保するために信頼性のあるサポートが必要だったとのこと。それにくわえて当時はパートナー企業を挟んだ間接サポートという契約だったため、レスポンスが遅く、突発的なトラブルに対応できないといった問題がありました。そこで同区では、東京 23 区で初めてプレミア サポート契約に踏み切ったのだそうです。

「プレミア サポートを受けることで、システムを構築してくれるベンダーさんとの連携もうまくいき、よいシステムがつくれるようになりました。それから今日に至るまでサポートを続けていただいています」(會田氏)

さらに同区では、次期情報化基盤の構築にあたり、ユニファイド サポートに加えて SfMC を導入。木村氏は SfMC 導入の意義を以下のように語ります。「製品の説明だけならインターネットで調べることもできますが、その製品やベンダーさんの構築プロセスが世田谷区の事情に合っているのかどうかを判断していただける。私たちの事情に合わせて最適化したサポートをしてもらえるのは非常に助かります」(木村氏)

「システム構築においては、まだ公開されていない情報が必要な場合もあり、ベンダーさんだけではなかなか解決できません。SfMC を導入したことで、開発者に直接確認するなど、日本マイクロソフトさんにしかできない支援を多々受けることができます」(木村氏)

「定期的なミーティングをしていますが、突発的な相談にも 24 時間 365 日対応してもらえるのはありがたいですね」と語るのは、システムの実装やメンテナンスを担う村越氏。行政機関という特性上、基本的に平日はシステムを止められず、休日にアップデート作業などをおこなう場合が多いため、いつでも相談できるサポートサービスがあることは、大きな安心感につながっていると言います。

義澤氏も、「疑問点があれば都度聞くことができるので、私もたくさんお世話になっています。個人的にもまだ Microsoft 365 のアプリケーションを使いきれていないと思うので、引き続きご支援いただきながらMicrosoft Power Platform や Copilot for Microsoft 365 などを活用していきたいと思っています」と、日本マイクロソフトのサポートを支えとして、さらなる向上を目指しています。

デジタルの力で醸成されたデザイン思考を区民サービスにつなげる

「世田谷区は日本マイクロソフトさんからの支援をかなり受けてきたのだな、と改めて実感した」と菅井氏。同区では今後、「世田谷区 DX 推進方針 Ver.2」の実行フェーズに入っていきます。

「世田谷区 DX 推進方針Ver.2 では、職員がデジタルツールを好きなだけ活用できる環境を整えて、サービスデザインの達成を目指します。また、Power Platform 等を職員が使いこなして区役所の業務改革ができるよう、人材育成も進める予定です。日本マイクロソフトさんにも、研修やサポートサービスなどを通じてこれからも支えていただきたいと思っています」(菅井氏)

「Teams にしても Power Platform にしても、最初に使い始める人はその後も前向きに取り組んでくれると思うのですが、次に続く人たちをいかにフォローしていけるかが、これからの私たちの課題だと思っています。継続性を持った支援を提供していきたいと思います」(木村氏)

「生成 AI はぜひ活用を進めていきたいと考えています。現在、Teams のチャットで庁内の Q & A チャット bot が使えるようになったところです。この先まだまだ進歩する分野だと思うので、セキュリティ面に配慮しながら、積極的に活用を進めていきたいと思っています」(會田氏)

「生成 AI に対する取り組みを見ていると、Microsoft は業界でも抜きん出た存在に躍り出てきた感覚があります。これからも、本当に価値のあるサービスを、世の中に提供し続けていただければと思います」(齊藤氏)

議会からも Copilot for Microsoft 365 は使えるようにならないのかと、期待の声が上がっているとのこと。試行のためのライセンスは取得済みで、現在試行環境の構築の最中。Copilot for Microsoft 365 の活用も目前に迫っています。

行政機関として、区民サービスの向上を第一に考えた結果、職員のマインド セットを変えることが一番の近道だと判断し、それに基づいて DX 方針を定めた世田谷区。スモール スタート、トライ アンド エラーの取り組みによって、全国の行政機関に先駆けた革新的な取り組みが着々と実を結び始めています。日本マイクロソフトとしても、DX 推進を後押しし、下支えする存在として、これからも最適なサポートをお届けしてまいります。

“デジタル技術によって職員のワークスタイルが変化することで、自ずと職員の感覚も変わり、それが業務改善につながり、その先にある区民サービスの向上につながる。いわゆるデザイン思考の醸成を目指したいと考えています”

菅井 英樹 氏, DX 推進担当部長, 世田谷区

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