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2024/10/11

Power Apps を活用しトップダウンとボトムアップの相乗効果で変革する三菱ケミカルグループ

グローバルに展開する同社では法人ごとに部分最適された業務システムを採用している場合が多く、コスト構造の複雑化が課題。「スリム化、デジタル化、エンパワーメント」をひとつの柱として、コストの削減や業務の最適化に取り組む。
​Microsoft Teams を通じて、アプリやコンテンツへ一元的にアクセス可能なプラットフォームを構築し、Microsoft Power Platform を活用した市民開発プロジェクトを推進。さらにMicrosoft Viva で働き方を可視化。
Power Platform による市民開発で、現場の従業員が自らアプリを開発し課題を解決。トップダウンとボトムアップの相乗効果で変革を実現。さらに、働き方の可視化で社内コラボレーションを促進。コスト削減とモチベーション向上にも寄与。
三菱ケミカルグループ株式会社の会社ロゴ

Smarter Employee を推進して Digital Chemical Company を目指す

(本内容は 2024 年 6 月現在のものになります。)

三菱ケミカルグループは、日本を代表する大手総合化学メーカーです。「私たちは、革新的なソリューションで、人、社会、そして地球の心地よさが続いていく KAITEKI の実現をリードしていきます。」を Purpose として掲げ、さまざまな社会課題の解決にどのように貢献し、どのように企業価値を向上できるかを探求しながら、施策を展開しています。

そのなかで大きなテーマとなっているのが「全体の最適化」です。世界で約 7 万人の従業員を擁し、550 社あまりにおよぶ関連会社をグローバルに展開する同社では、法人ごとに部分最適された業務システムを採用している場合が多く、コスト構造の複雑化が課題となっています。そこで同社では、「スリム化、デジタル化、エンパワーメント」をひとつの柱として、コストの削減や業務の最適化に取り組んでいます。

※三菱ケミカルグループは、三菱ケミカルグループ株式会社とそのグループ会社の総称です。

加藤 淳 氏​, IT サービスオペレーション本部 本部長, 三菱ケミカルグループ株式会社

我が国のデジタル化は、米欧諸国と比べると 10 〜 20 年遅れていると言われていますが、当社では“遅れているのであれば追いつけばいい”という考え方のもと、デジタル技術を使ってビジネス プロセスを進める体制を整えてきました​

加藤 淳 氏​, IT サービスオペレーション本部 本部長, 三菱ケミカルグループ株式会社

「会社全体の最適化やスマート化を進めるためには、業務システムだけを統一すればよいわけではなく、会社を構成する従業員一人ひとりが、デジタル技術を駆使してよりスマートな働き方を身につけなければなりません」と語るのは、三菱ケミカルグループ株式会社 IT サービスオペレーション本部 本部長の加藤 淳 氏。

「我が国のデジタル化は、米欧諸国と比べると 10 〜 20 年遅れていると言われていますが、当社では“遅れているのであれば追いつけばいい”という考え方のもと、デジタル技術を使ってビジネス プロセスを進める体制を整えてきました」と加藤氏が語るとおり、デジタルを取り入れた業務変革を打ち出す同社では、「Smarter Employee」という概念を基盤として、「全従業員 7 万人のスマーター化」による「Digital Chemical Company」の実現を目指しています。

Smarter Employee とは、デジタル技術を自分のものとして活用しながら、「自ら問題解決を行い、自発的によりよい働き方を目指せる人材」のこと。同社では、従業員がよりスマートに働ける基盤を用意し、よりよいフィードバックを受けられる環境を維持することで、エンゲージメントを高め、互いに高め合うフィードバック ループを構築、それを原動力として企業文化の変革と価値創造マインドを促進しようとしています。

その具体的な施策として同社が取り組んでいるのが、従業員エンゲージメントを高めるための働き方の可視化と、従業員一人ひとりが自ら問題解決を行うためのツールと場所の提供です。

プロジェクト 1、従業員エンゲージメントを高めるための働き方の可視化

統合と合併を繰り返してきた同社では、標準化を進めるにあたって各種ポータルや業務アプリ、コンテンツの乱立が課題となっています。「まずは従業員全員が標準のプラットフォームを使うことで、ひとつ段階を上げたいという思いがありました」という加藤氏。この課題を解決するために、Microsoft Teams を経由して一元的にアプリやコンテンツにアクセスできるプラットフォームの構築プロジェクトを推進しています。

このプラットフォームの基軸となるのが、「Smarter Employee Dashboard」と名づけられた、従業員の働き方を可視化するダッシュボードです。このダッシュボードには、従業員エンゲージメント プラットフォーム Microsoft Viva Insights が採用されています。

「このダッシュボードによって、コミュニケーション ツールの活用状況や出社状況などを可視化できます。そのデータを見て自分なりに働き方を改善したり、マネージャーはチーム メンバーにアドバイスしたりできる。ダイレクトに会社の利益にいくら貢献するという施策ではありませんが、業務の効率化、標準化という意味において非常に価値があるものだと思っています」(加藤氏)

Smarter Employee Dashboard が必要とされた背景には、従業員の働き方の変化もあったと語るのは、Viva Insights を含む Microsoft Viva Suits の導入を担当した三菱ケミカル株式会社 IT サービスオペレーション本部 デジタルワークプレイスサービス部 エンドユーザープラットフォームマネジメントグループの関田 綾乃 氏。

関田 綾乃 氏, サービスオペレーション本部デジタルワークプレイスサービス部, 三菱ケミカル株式会社

将来的には Copilot in Microsoft Viva の活用も視野に入れています

関田 綾乃 氏, IT サービスオペレーション本部デジタルワークプレイスサービス部, 三菱ケミカル株式会社

「コロナ禍以降、バックオフィスはリモートワーク、事業所やグループ会社は出社、といった働き方の違いが生じており、お互いのつながりが分断された状況になっていました。働き方を可視化することで、社内コラボレーションの活性化にもつながるのではないかと考えました」(関田氏)

Smarter Employee Dashboard の構築は、日本マイクロソフトとの綿密な連携のもとで行われています。「導入が決まった2023 年 7 月以降、当社向けの専門部隊を構成していただき、毎週 1 時間の枠でミーティングを開催しています。ダッシュボードの項目を決める際にはミーティングの枠を増やしていただき、より議論を深めてリリースに備えました」(関田氏)

Smarter Employee Dashboard は 2024 年 1 月に、社内のデジタルを所管する部門に先行展開。約 600 名の意見をもとに微調整を加え、ガイドラインの策定や想定トラブルの洗い出しを行ったうえで、全社に展開する予定です。

関田氏によると、先行展開ではおおむね好評を得ているとのことで、Teams 会議への遅刻の減少や、Microsoft Viva Engage のソーシャル コミュニティ機能に積極的に参加するといった傾向が見られるといいます。 これは「自ら問題解決を行い、自発的によりよい働き方を目指せる人材」という Smarter Employee の概念につながるポジティブな反応といえるでしょう。

「全社展開後は、人事や総務のデータとの連携や Microsoft 365 以外のデータを使った項目の設定など、継続的にアップデートしていく予定です。将来的には Copilot in Microsoft Viva の活用も視野に入れています」と関田氏。社内ポータルや業務アプリとの統合については、運用方法やコストも加味しながら長期計画で進める予定です。

プロジェクト 2、従業員一人ひとりが自ら問題解決を行うためのツールと場所の提供

同社では、経営層が Smarter Employee という指針を明確に示すのと並行して、ボトムアップでの変革を推進しようとしています。加藤氏も、「Smarter Employee プロジェクトを語るうえでは“アーリー アダプター グループ”の存在が欠かせません」と力を込めます。

たとえば、「Microsoft Copilot for Microsoft 365 アーリー アクセス プログラム」に同社が参画した際には、デジタル所管以外の部署も対象として生成  AI に興味を持つ従業員を募集するなど、IT 部門以外にも存在する「新しもの好き」が持つ熱量を、変革に反映しようとしています。

ボトムアップ施策の一環として社内でムーブメントを起こしているのが、ローコード開発ツール Microsoft Power Platform を活用した市民開発プロジェクトです。

このプロジェクトを先導しているのは、三菱ケミカル株式会社 IT サービスオペレーション本部 デジタルワークプレイスサービス部 インフラアプリケーションマネジメントグループ グループ長の巣鴨 佑介 氏と、三菱ケミカル株式会社 IT サービスオペレーション本部 デジタルワークプレイスサービス部 エンドユーザープラットフォームマネジメントグループの土谷 真悟 氏。巣鴨氏は社内の共通アプリケーション基盤の保守運用を担当。市民開発による業務効率化の促進という役割も担っており、土谷氏は Power Platform のインフラ設計や構築を担当しています。

そして、このプロジェクトにいち早く呼応し、市民開発のアーリー アダプターとして活躍しているのが、三菱ケミカル株式会社 広島事業所 企画管理部 DX・ものづくり強化グループの笠井 一希 氏と、三菱ケミカル株式会社 ビジネスプロセストランスフォーメーション本部 データエクセレンス部 データサイエンスグループの堀 愛美 氏。事業所の枠を超えて全社的な市民開発プロジェクトを推進しています。

市民開発の機運が高まったのは、2021 年。三菱ケミカルグループが経営方針「Forging the future 未来を拓く」を発表した年のことでした。

巣鴨 佑介 氏, サービスオペレーション本部デジタルワークプレイスサービス部, 三菱ケミカル株式会社

私たちシステム担当としては、アプリの乱立やセキュリティ面などを考えて規制も加えなければなりません。そういったなかで、アーリー アダプターが自主的に工夫して、それぞれの場所で普及しようとしてくれているのは、本当にありがたいと思います

巣鴨 佑介 氏, IT サービスオペレーション本部デジタルワークプレイスサービス部, 三菱ケミカル株式会社

「それまでの Microsoft 365 ライセンスでも Power Platform は利用できたのですが、当社内ではアプリケーションの基盤として使うには時期尚早という評価でした。2022 年に機能を改めて検証したうえで社内ルールの策定を行い、全社的に開発環境を開放することにした形です」(巣鴨氏)

笠井氏は、Teams 内に設けられていた DX 担当者コミュニティで Power Platform 開放の案内を見て、自主的に Power Platform を学びはじめ、万全の状態でその日を迎えたといいます。「もともとこうしたツールに詳しかったわけではないものの、DX 担当としての使命感から Power Platform の活用方法を積極的に模索しました」(笠井氏)

一方、堀氏は当時入社 1 年目。新入社員研修で Power Platform に触れて興味を持ったといいます。「プログラミングの経験はなかったのですが、使いやすくて、すぐにアウトプットが可視化される部分に楽しさを感じました」(堀氏) その後配属が DX チームになったこともあり、自然と市民開発プロジェクトに参加するようになりました。

市民開発プロジェクトにより社内の空気に変化が

笠井氏と堀氏は、それぞれの立場で積極的に市民開発の浸透を図っていきました。笠井氏は、製造現場からの「作業チェック システムをデジタル化したい」という要望に応える形でアプリを開発。設備的な自己診断システムを導入すると 2 億円かかるため、費用対効果が見いだせなかったシステムを、100 万円程度で制作し早々に成果をあげました。

土谷 真悟 氏, サービスオペレーション本部デジタルワークプレイスサービス部, 三菱ケミカル株式会社

Power Platform のハンズオン セミナーを告知すると、あっという間に参加枠が埋まってしまうほど、熱の高まりを感じています

土谷 真悟 氏, IT サービスオペレーション本部デジタルワークプレイスサービス部, 三菱ケミカル株式会社

「この取り組みは、私ひとりで成し遂げられたわけではありません。現場を熟知した皆さんが積極的にアイデアや仕組みを提案してくれたことにより、素晴らしい結果が得られたのだと思っています」と笠井氏。この経験を経て、制作現場のスタッフのなかでデジタル技術を活用する機運が高まったといいます。「手作業の不安が解消されたという声もいただけましたし、現場従業員の皆さんが、ベテランも含めて前向きにデジタルに取り組んでくれるようになりました」(笠井氏)

堀氏は、九州事業所で勉強会の開催や動画コンテンツの公開などを通して Power Platform の普及に努めています。デジタルに長けた若手社員がマネージャー層のメンターとなる「リバース IT メンター制度」を利用して事業所のマネージャー層に Power Platform の紹介やレクチャーを行うなど、現場の理解度を徐々に高めて現場従業員が自らアプリで課題解決を図る空気を醸成。着々と市民開発を定着させています。

「アプリの開発を経験された方から少しずつ“アイデアを形にするのが面白い”という声が出始めると、その空気が課員全体に広がり、今では現場全体で前向きに取り組んでいただけるようになりました」(堀氏)

こうして続々と活用の成果がアップデートされる一方で、事業所間や部門間での情報共有に課題を感じるようになったという笠井氏。DX コミュニティのメンバーとともに、全社に向けた市民開発者の成果発表会を企画しました。

「市民開発者の皆さんにお披露目の場を提供したかったですし、マネージャー層にアプリの潜在能力や市民開発の重要性を理解してもらうことも重要と考えました」と笠井氏。会場となった広島事業所には、全国の事業所から 400 名以上が集まり、自分たちと同じ立場の人たちが市民開発アプリによって課題を克服した様子に刺激を受けた様子だったそうです。

「アンケートをみると、約 9 割の方が Power Platform の活用アイデアを得られたと答えており、約 6 割の方がアプリ開発に取り掛かりたいという回答でした」と笠井氏。これは想定以上の成果であり、「これをきっかけに、市民開発に興味を持った人たちを巻き込んで、さらに大きなムーブメントにしていきたい」と意気込みます。

また「Power Platform の勉強を始めたことで、自分の成長を感じられて、生き生き働けるようになったという感想が心に残っています」と堀氏。市民開発プロジェクトは、業務改善だけでなく成長とチャレンジの機会としても機能しているようです。

笠井氏と堀氏の言葉を聞いて、巣鴨氏と土谷氏も安堵の表情を見せます。「私たちシステム担当としては、アプリの乱立やセキュリティ面などを考えて規制も加えなければなりません。そういったなかで、アーリー アダプターが自主的に工夫して、それぞれの場所で普及しようとしてくれているのは、本当にありがたいと思います」(巣鴨氏)

「Power Platform のハンズオン セミナーを告知すると、あっという間に参加枠が埋まってしまうほど、熱の高まりを感じています。皆さんの開発にかける勢いを阻害しないように、テナント内でのコントロール機能の活用や日本マイクロソフトさんの協力を得て、利便性とセキュリティとのバランスを考慮しながら、継続的にサポートしていきたいと思っています」(土谷氏)

失敗も成功も含めて経験を積むことが目標達成につながる

「彼らのようなアーリー アダプターに、失敗も成功も含めて経験を積んでもらうこと、そしてそれを周りに伝えてもらうことが、私たちの目標達成につながると信じています」と加藤氏。事業所や部署の垣根を超えた市民開発プロジェクトのメンバー達は Smarter Employee の先駆けと言えるでしょう。

笠井 一希 氏, 広島事業所 企画管理部 DX・ものづくり強化グループ, 三菱ケミカル株式会社

手作業の不安が解消されたという声もいただけましたし、現場従業員の皆さんが、ベテランも含めて前向きにデジタルに取り組んでくれるようになりました

笠井 一希 氏, 広島事業所 企画管理部 DX・ものづくり強化グループ, 三菱ケミカル株式会社

こうして、Smarter Employee を掲げたトップダウンの施策と、市民開発の推進によるボトムアップの施策による相乗効果を得ながら、変革を着実に進めている三菱ケミカルグループ。マネジメント側の強い意志とそれに呼応する従業員の皆さんの姿を見ていると、企業とは、人々に幸せを提供するために存在するのだという当たり前の事実に、改めて気づかされます。

それは Microsoft の企業ミッションである「地球上のすべての個人とすべての組織が、より多くのことを達成できるようにする」とも重なるものです。私たち日本マイクロソフトは、その思いを形にするための道のりをこれからもご一緒できるよう、より一層のご支援を努めてまいります。

堀 愛美 氏, ビジネスプロセストランスフォーメーション本部データエクセレンス部, 三菱ケミカル株式会社

Power Platform の勉強を始めたことで、自分の成長を感じられて、生き生き働けるようになったという感想が心に残っています

堀 愛美 氏, ビジネスプロセストランスフォーメーション本部データエクセレンス部, 三菱ケミカル株式会社

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