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2025/01/31

NTTコミュニケーションズ Azure上で社内向け料金システム を刷新。Unified Supportフル活用でクラウド移行と AI 開発スキル強化を推進

長い歴史の中で改修を重ねてきた社内向け料金システムは、システムの複雑化・属人化や開発ベンダーへの依存など課題を抱えていた。Microsoft Azure への移行を決断したものの、ナレッジを持つメンバーもおらず、重要基幹システムである本システムの移行プロジェクト、及びその後の運用を無事に完遂できるかについて不安を抱いていた。

Microsoft Azure 上に社内向け料金システムの共通基盤を構築しての移行と運用、AI 開発者育成、エンジンとして Azure OpenAI Service を利用した Billing AI (請求業務支援 AI アプリケーション) 開発、などを推進。スムーズなプロジェクト立ち上げのためにMicrosoft Unified Supportのオプションサービス“開発者サポート”(開発プロジェクトの伴走型支援)を活用した。

当初、Azureでの開発経験の無かったチームだったが、マイクロソフトのUnified Supportの支援でスキルが向上し、現在は十分なスキルでベンダー依存しない構築運用ができている。また、内製化により品質向上や新機能開発に積極的に取り組む動きが加速したことから、システムとしてもチームとしても生産性を高めることができた。

NTT

“基幹の中の基幹” 社内向け料金システムをクラウド移行

ドコモグループ法人事業の中核を担う NTTコミュニケーションズ。「ドコモビジネス」ブランドのもと、通信事業者ならではの高品質なインフラと技術を生かし、社会・産業 DX、ワークスタイル改革、地方創生などに新たな価値を提供。また「未来をひらく『コンセプトと社会実装』の実験場」をテーマに掲げる OPEN HUB を通じて、組織や分野の垣根を越え、事業共創活動を展開しています。

社会・産業 DX のリーディングカンパニーを目指す同社は、社内実践により自らの経験をショーケース化し、そこで得た知見やノウハウをお客様にフィードバックする取り組みを積極的におこなっています。これは、同社の信条である「自ら始める、共に高める、社会に応える」を体現したものです。

こうした取り組みの一環として同社は、“基幹の中の基幹”である社内向け料金システムの共通基盤を、パブリッククラウド上で構築し運用する決断をしました。この決定について、NTTコミュニケーションズ プラットフォームサービス本部 マネージド&セキュリティサービス部 サービスプラットフォーム部門 担当部長 吉田 剛氏は「オンプレミスのレガシーシステムをマイグレーションするうえで、多くの企業において基幹システムのクラウド移行は難しいテーマとなります。社内向け料金システムのクラウド移行は、基幹システムのクラウド化を躊躇している企業向けのショーケースとして意義のあるものです」と語ります。

同社の社内向け料金システムは、社内向けに、回線サービスや多種多彩な IT サービスの料金に関する機能を提供しています。従来の社内向け料金システムの課題について NTTコミュニケーションズ プラットフォームサービス本部 マネージド&セキュリティサービス部 サービスプラットフォーム部門 主査 豊嶋 守氏はつぎのように説明します。「これまで社内向け料金システムはウォーターフォール型で開発し、新しいサービスに合わせて部分的に改修を重ねてきました。システムは複雑化し運用管理が煩雑化しました。また、運用はベテランに依存する状況となり、属人化も課題となっていました。さらに、開発をおこなう場合、調達を含め半年以上を要し、ビジネススピードへの対応も困難でした。これらの課題を解決するために、クラウド化によるマイグレーションと組織改革が必要でしたが、これらをリードするスキルや経験のあるメンバーがいないことが課題となりました」

組織改革では、内製化による人材育成が重要なテーマとなりました。理由について吉田氏は次のように言及します。「従来、社内向け料金システムの開発はベンダーに依頼していました。人材不足、スタッフの高齢化が進む中、ベンダー中心の開発では社内の若手人材の確保・育成を図る環境を整備できないことに危機感を抱いていました。自ら手を動かし開発できることは、エンジニアのモチベーション向上、全体のスキル底上げにつながります。その“思い”が、今回のプロジェクトの根底にあります」

同社の社内向け料金システムのクラウド化プロジェクトは 2021 年に始動。プロジェクトメンバーは、Microsoft Azureを含めパブリッククラウドには触れたことがない状態からのスタートでした。

豊嶋 守 氏, プラットフォームサービス本部 マネージド&セキュリティサービス部 サービスプラットフォーム部門 主査, NTTコミュニケーションズ株式会社

これまで社内向け料金システムはウォーターフォール型で開発し、新しいサービスに合わせて部分的に改修を重ねてきました。システムは複雑化し運用管理が煩雑化しました。また、運用はベテランに依存する状況となり、属人化も課題となっていました。さらに、開発をおこなう場合、調達を含め半年以上を要し、ビジネススピードへの対応も困難でした。これらの課題を解決するために、クラウド化によるマイグレーションと組織改革が必要でしたが、これらをリードするスキルや経験のあるメンバーがいないことが課題となりました

豊嶋 守 氏, プラットフォームサービス本部 マネージド&セキュリティサービス部 サービスプラットフォーム部門 主査, NTTコミュニケーションズ株式会社

開発プロジェクトを伴走型でサポート

同社は、社内向け料金システムの共通基盤となるパブリッククラウドに Azure を採用しました。採用にあたっては、他社クラウドサービスとの比較検討をおこない、グローバルスタンダードの安心感、信頼感をベースに、最新技術の実装スピードにアドバンテージを見出しました。また、運用保守業務をアウトソーシングできる PaaS の活用を重視。その理由は運用管理の負荷軽減で創出した時間を、開発などに充てることが可能となるからです。          

2022 年夏、社内向け料金システムの共通基盤を Azure 上で構築・運用する AO (Aerial Oriented) プロジェクトがスタート。内製化、人材育成といった、AO プロジェクトの“思い”を理解し共感した日本マイクロソフトから、想定外の提案があったと吉田氏は話します。「弊社全体で包括契約する Microsoft Unified Support のオプションサービスである『開発者サポート』を利用してはどうか、という提案でした。開発者サポートは、プロジェクトを伴走型で支援するというものです。Azureで利用するプロダクトが多岐にわたるため、複数のエンジニアがチームでプロジェクトに伴走して支援する点がマッチするのではないかということでした。

実際、吾郷さんをはじめとした日本マイクロソフトの皆さんには、プロジェクトの一員として、実現に向けて弊社のチームと一緒に歩んでいただきました」

開発者サポートを含む Unified Supportは、マイクロソフトのさまざまな分野のエンジニアがチームを組み、プロジェクトに踏み込んだ支援をおこなうのが特徴です。伴走者として同じメンバーが寄り添うため、プロジェクトの目的や内容への理解、業務に対する習熟度、コミュニケーションの密度も深くなります。今回のサポートでは、CSA Dev Advocateである日本マイクロソフトの吾郷がチームリードとしてお客様とのコミュニケーションの軸になりつつ、Infra・Apps・Data & AIの各領域でそれぞれエンジニアがアサインされ、全ての分野において包括的な支援が可能な体制となっていました。

同社の AO プロジェクトで最初におこなったのは Azure の勉強会でした。「Azure の基礎知識やサービスを学ぶことから始めました」と NTTコミュニケーションズ  プラットフォームサービス本部 マネージド&セキュリティサービス部 サービスプラットフォーム部門 WANG HANPIN 氏は振り返ります。

実践段階における日本マイクロソフトの技術支援について WANG HANPIN 氏は付け加えます。「PaaS を利用する際には、さまざまな角度からの検証が必要です。私たちの実践方法に対し、常に最適で効率的な方法を提案してくれます。いつも隣にいるかのように、アドバイスが受けられ、とても助かっています」

AO プロジェクトのミーティングは定例化され、参加する日本マイクロソフトのメンバーにも気軽に意見が求められる雰囲気だといいます。AO プロジェクトは、担当者の成長と社内向け料金システムの共通基盤開発が連動し着実に歩みを進めています。

吉田 剛 氏, プラットフォームサービス本部 マネージド&セキュリティサービス部 サービスプラットフォーム部門 担当部長, NTTコミュニケーションズ株式会社

弊社全体で包括契約する Microsoft Unified Support のオプションサービスである『開発者サポート』を利用してはどうか、という提案でした。開発者サポートは、プロジェクトを伴走型で支援するというものです。Azureで利用するプロダクトが多岐にわたるため、複数のエンジニアがチームでプロジェクトに伴走して支援する点がマッチするのではないかということでした。実際、吾郷さんをはじめとした日本マイクロソフトの皆さんには、プロジェクトの一員として、実現に向けて弊社のチームと一緒に歩んでくれたと思っています

吉田 剛 氏, プラットフォームサービス本部 マネージド&セキュリティサービス部 サービスプラットフォーム部門 担当部長, NTTコミュニケーションズ株式会社

内製化によるエンジニアの意識改革

社内向け料金システムの Azure 移行では、追加開発したシステムの整理をおこない、共通化を図りました。「システム基盤の更改に合わせて、Azure の共通基盤に移行することで、統合監視、運用ノウハウの共有、運用管理の負荷軽減といった PaaS のメリットを享受できることをメッセージとして出しています。まずは、賛同してくれた部門のシステムを対象に移行を進め、実績を踏まえて広げていきます」(吉田氏)

2023 年秋、同社の社内向け料金システムを支える Azure 共通基盤は本稼働し、現在も安定稼働を続けています。開発者サポートの支援により内製化も進展しました。トラブルが生じた際も、自分たちで Azure ポータルなどを通じて確認し、ユーザーからの問い合わせに迅速に対応しています。ベンダーに問い合わせて回答を待つ時間もなくなりました。さらに委託費の削減も図れました。

エンジニアの意識改革面でも効果があったと吉田氏は話します。「内製化により若手エンジニアの間で、品質向上や新しいサービス開発に積極的に取り組む動きが出てきました。たとえば、故障管理の自動化、AI を使った情報検索などは試験段階にあります。新しいサービスを導入する場合、『検証しましょう』、『試しに動かしてみましょう』など次のアクションを自主的におこなえる自走できるチームになりました」

さらに、PaaS の利用により、OS のパッチ適用における一連の作業や、脆弱性対応なども不要となり、運用管理工数を大幅に削減。それにより、新しい機能の開発などに集中するための時間を創出できました。

AI 開発者育成のための勉強会「AI Skill Challenge」を開催

2023 年、AO プロジェクトの一環として Azure OpenAI Service を利用した Billing AI (請求業務支援 AI アプリケーション) の開発を開始。Billing AI について、NTTコミュニケーションズ プラットフォームサービス本部 マネージド&セキュリティサービス部 サービスプラットフォーム部門 担当課長 後藤 亜己子氏は次のように語ります。「請求業務や社内向け料金システムを担っている、ベテラン社員のノウハウや知識を数値化・データ化し、AI アプリケーションとして実装することでノウハウの継承を実現します。これにより、ベテラン社員の退職後も若手社員は、Billing AI に質問することで必要とする回答を得ることができます」

Billing AI の開発をきっかけに、日本マイクロソフトの支援のもと AI 開発者育成のための勉強会「AI Skill Challenge」を開催。AO プロジェクトに限らず、他部門やグループ会社にも AI 開発のためのスキリングの門戸を開きました。「AI Skill Challenge は、AI を利用する側ではなく実装する側のスキルを身に付けることを目的とし、3 ステップの構成となっています。ステップ 1 では、生成モデルや RAG (Retrieval-augmented generation) のような昨今のトレンドを踏まえた AI アプリケーション開発に関する基礎を学びました。私は Billing AI 開発における課題や疑問点についてリクエストを行い、『よいプロンプトを書くためのコツ』や『RAG アプリケーション開発の勘所』などに関して講義してもらいました」(後藤氏)

AI Skill Challenge ステップ 2 のテーマはマルチモデル (適材適所でのモデル選択や組み合わせ) です。その中で、NTT 版大規模言語モデルの「tsuzumi」も先行利用します。tsuzumi は Azure の Model-as-a-Service (MaaS) であるモデルカタログで提供されます。同プラットフォームでモデル提供を行っている企業は世界で 10 社、アジアでは NTT のみです (2024 年 6 月時点)。

AO プロジェクトには、社内向け料金システムの Azure 共通基盤への移行拡大、人材育成、AI 開発者育成などのステップアップが求められています。豊嶋氏は、マイクロソフトの支援に対する期待を述べます。「高いナレッジによるサポートのもと、当社メンバーのスキルもあがってきました。今は『次に何をやるべきか』という視点から今後の提案をしてもらっています。これからも AO プロジェクトの一員として一緒に進んでいく存在でいてほしいと思います」

直近のAO プロジェクトから派生して、生成AIを活用した監視運用の非属人化も検討中です。また、社内料金業務以外に AO プロジェクトを広げていきたいと豊嶋氏は展望を話し、こう続けます。「基盤だけに留まらずアプリ・ミドルウェアまで領域を拡大し、アプリからインフラまでの一貫体制も視野に入れています」

NTTコミュニケーションズ の DX を加速させるべく、AO プロジェクトと、チームの一員として支えるデベロッパーサポートのチャレンジは続きます。

後藤 亜己子 氏, プラットフォームサービス本部 マネージド&セキュリティサービス部 サービスプラットフォーム部門 担当課長, NTTコミュニケーションズ株式会社

請求業務や社内向け料金システムを担っている、ベテラン社員のノウハウや知識を数値化・データ化し、AI アプリケーションとして実装することでノウハウの継承を実現します。これにより、ベテラン社員の退職後も若手社員は、Billing AI に質問することで必要とする回答を得ることができます

後藤 亜己子 氏, プラットフォームサービス本部 マネージド&セキュリティサービス部 サービスプラットフォーム部門 担当課長, NTTコミュニケーションズ株式会社

WANG HANPIN 氏, プラットフォームサービス本部 マネージド&セキュリティサービス部 サービスプラットフォーム部門, NTTコミュニケーションズ株式会社

単に学ぶだけでなく、自分たちで社内向け料金システムの共通基盤を Azure 上で構築し運用するためのスキルを身に付けなければなりません。日本マイクロソフトのエキスパートに講師をお願いし、体験型のハンズオンを開催しました。プロジェクトや私たちのスキルを把握しているため、講義は分かりやすく、なおかつ実践的でした。この 2 年間で、現場で役立つ力が身についてきたと感じています

WANG HANPIN 氏, プラットフォームサービス本部 マネージド&セキュリティサービス部 サービスプラットフォーム部門, NTTコミュニケーションズ株式会社

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