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2025/02/27

富士通、Viva Insightsと Glint で人的資本経営を強化。経営戦略と連動した人材戦略を実践

富士通は、人的資本経営実現に向けて「経営戦略と連動した人材戦略の実践」と「人的資本に関わる情報を可視化しステークホルダーと共有すること」の両軸で進めている。一貫したストーリーと、その裏付けとなる KPI (重要業績評価指標) を設定。達成するためには、データに基づき可視化し施策につなげる仕組みが必要であった。

Microsoft 365 E5 からデータを収集・分析する Microsoft Viva Insights を、国内社員 35,000 人を対象に導入。また、従業員エンゲージメントを評価・分析する Glint (現在は LinkedIn Glint を利用中。2025 年 3 月頃に Microsoft Viva Glint へ移行予定) を富士通グループ全体でグローバルに、約 12 万人を対象に導入。マイクロソフトのサポートのもと、可視化し施策につなげる PDCA サイクルをまわしている。

Microsoft Viva Insights によりパフォーマンスが高い組織が必要とする要素を分析。施策を策定し、「1 人当たり生産性 (営業利益) の 2022 年度比 40% 向上」を目指す。また、Glint によりエンゲージメントスコアと因果が強い要素を分析。施策を策定し「従業員エンゲージメント指数向上 : 69 (2022 年度) から 75」を目指す。(中期経営計画で掲げている非財務指標として 2025 年度末までの目標)

Fujitsu Limited

人的資本経営の実現に向けて一貫したストーリーと KPI を設定

人材を「資本」として捉え、その価値を最大限に引き出すことで、中長期的な企業価値向上につなげる人的資本経営。課題は、人への投資が成果を出すまでに時間を要し、投資と成果の関わりの明確化が難しいという点です。これを解決し、人的資本経営を実現するためには「経営戦略と連動した人材戦略の実践」と「人的資本に関わる情報を可視化しステークホルダーと共有すること」の両軸が求められます。

富士通は、人材に関するさまざまな取り組みが経営戦略の実現にどのように関わり、企業価値向上につながるのか、一貫したストーリーと、その裏付けとなる KPI を設定し達成に向けた取り組みを進めています。

同社のパーパスは、「イノベーションによって社会に信頼をもたらし、世界をより持続可能にしていくこと」です。この実現に向け、さまざまな業界のお客さまとともに社会課題を解決する事業プラン「Fujitsu Uvance (ユーバンス)」を推進。事業拡大のために、社員一人ひとりの価値を高めるためのモデル(人的資本価値向上モデル)を構築し、それに基づいて人事戦略をすすめています。このモデルは社員が成長しやすい環境を整え、企業の成長につながるようにするものです。

同社では、人的資本経営における 2025 年度の達成目標※として、「1 人当たり生産性(営業利益)を 2022 年度比で 40% 向上」、「従業員エンゲージメント指数を 69 (2022 年度)から 75 に向上」を設定しています。これを達成するために、モニタリングをおこない、データに基づいて施策を実施し、それを評価して次の一手を打つ PDCA サイクルをまわしています。※( 中期経営計画で掲げている非財務指標として 2025 年度末までの目標)

生産性の高い組織において社員はどのように働いているのか

人的資本経営を支える新たな人事戦略について、富士通 Employee Success 本部 Employee Relation 統括部 竜門克弥氏は「これまでの人事施策 (WLS 1.0、2.0) は、働きやすさの向上や個人の生産性向上に大きく寄与してきました。しかし、組織全体の生産性向上にはさらなる課題が残っていました」と述べ、こう続けます。「なぜ、組織的に生産性が向上しないのか。イノベーションが起きないのかを考えた時に重要になるのが、生産性の高い組織において、社員の働き方とはどのようなものかという視点です。従来型のアンケート調査では、社員の仕事における行動や習慣を把握しきれません」これを定量的に可視化し、データドリブンで働き方を変えることが必要だったとし、同社が採用したアプローチを説明します。「社員に負荷をかけることなく、いかにデータを収集し分析するか。着目したのが、社員が日常業務で利用している Microsoft 365 からデータを収集・分析する Microsoft Viva Insights でした」(竜門氏)

2022 年度に、同社が推進する全社的なデジタル トランスフォーメーション (DX) プロジェクトである「Fujitsu Transformation (フジトラ)」の一環として、生産性とイノベイティブを最大化する働き方を目指す「Work Culture 変革プロジェクト」がスタート。最初のステップとして、情報システム部門と人事部門の約 500 人を対象に、Viva Insights でどのようなデータがとれるのか、有効性を検証。2023 年度には、データ収集対象を事業部門の 3,000 人に広げました。

パフォーマンスの高い組織に必要となる要素について仮説を立て、その検証に基づき施策を策定。Viva Insights により Microsoft Outlook や Microsoft Teams などから収集したデータと、パフォーマンスの高い組織に必要な要素について、サーベイ結果をもとにスコア化し、それらを掛け合わせて相関分析をおこないました。結果から得られた知見について竜門氏は言及します。

「時間を有効活用するために、会議時間の削減、メールよりも迅速なチャットの活用、メールや電話による中断を避けて集中時間を増やす施策などが効果を上げていました。しかし、運用上の課題も見えてきました。効率化に関する分析結果には事業部門からの納得感が得られたのですが、『多様なつながりが、生産性やイノベーションに影響がある』といった提言は、納得感の醸成に至りませんでした。アクションにつなげるためには、全社的に合意形成が得られる指標の設定が重要であることを認識しました」

竜門 克弥 氏, Employee Success 本部 Employee Relation 統括部, 富士通株式会社

“社員に負荷をかけることなく、いかにデータを収集し分析するか。着目したのが、社員が日常業務で利用している Microsoft 365 からデータを収集・分析する Microsoft Viva Insights でした”

竜門 克弥 氏, Employee Success 本部 Employee Relation 統括部, 富士通株式会社

Viva Insights のライセンス数を 35,000 に拡大

2024 年度には、幅広い業種と職種を考慮し、Viva Insights のライセンス数を35,000 に拡大しました。理由について竜門氏は説明します。「当プロジェクトでは人的資本経営において『エンゲージメントによって生産性が高まり、その結果、お客様満足度や NPS(Net Promoter Score : 顧客ロイヤリティを数値化する指標)が向上し、売上拡大につながっていく』という仮説を立てています。仮説検証の精度を高めるためには、十分な人数のデータが必要でした」

2024 年度上期のデータ分析で、新たな気づきがあったと竜門氏は話します。「エンゲージメントと会議については相関があり、具体的には定例会議や大人数の会議は負の相関、若手層と上司との 1 on 1 は正の相関があることがわかりました。また、出社率自体はエンゲージメントに直接的な相関は見られず、重要なのは、働く場所を選べる柔軟性がエンゲージメントに影響を与えるという点です。出社率よりも、働く場所の選択肢があることがエンゲージメントにプラスの影響を与えることがわかりました」とデータからの気づきを述べ、続けます。「関係性構築や成長支援の施策につなげるべく取り組みが進行中です。Teams の組織チャネルの活用もエンゲージメントとの相関が高いことが見えてきました。組織チャネルの開設はもとより組織長の活発な投稿、上司の積極的な返信やリアクションの促進を施策として挙げました」

竜門氏は、「導入当初から、日本マイクロソフトにはさまざまなアドバイスや提案を受けました。今後も、グローバルの先進事例の紹介も含め、当社視点に立った提案とサポートをお願いします」とマイクロソフトへの期待を述べます。

さらに同社では、Viva Insights を活用した働き方ソリューションを、社内実践で得たノウハウも含めてお客さまに提供しています。提案のポイントについて、富士通株式会社 アドバンスドテクノロジーサービス事業本部 WLS)デジタルワークプレイス事業部 モダンワークプレイスサービス部 大えき 功嗣氏は話します。

「Microsoft 365 を使っていれば、Viva Insights のライセンスを購入するだけでデータを取ることができる点は大きな魅力です。過去 1 年分のデータをさかのぼって収集し分析を開始できるため、すぐに取り組みをスタートできます」と語り、続けます。「Microsoft製品上で実施していないコミュニケーションを、コミュニケーションデータとしてMicrosoft Vivaで取得できるよう運用変更をくわえるなど、社内実践で得たノウハウを、お客さまに還元できるのは当社の強みです」

大えき 功嗣 氏, アドバンスドテクノロジーサービス事業本部 WLS)デジタルワークプレイス事業部 モダンワークプレイスサービス部, 富士通株式会社

“Microsoft 365 を使っていれば、Viva Insights のライセンスを購入するだけでデータを取ることができる点は大きな魅力です。過去 1 年分のデータをさかのぼって収集し分析を開始できるため、すぐに取り組みをスタートできます”

大えき 功嗣 氏, アドバンスドテクノロジーサービス事業本部  WLS)デジタルワークプレイス事業部 モダンワークプレイスサービス部, 富士通株式会社

Glint の対象は富士通グループ全体で、グローバルに約 12 万人

従業員エンゲージメントは、会社と社員の信頼関係やつながりの強さを表すものです。社員は自分のスキルや知識を活かして会社のビジネスに貢献し、会社は成長機会の提供を通じて社員のキャリアを実現する双方向のやり取りが求められます。「当初は、サーベイと集計、分析を人手でおこなっていたのですが、手間も時間もかかるため、他社製品を使ってシステム化しました」と、富士通 Employee Success 本部 Engagement & Growth 統括部 組織開発部 古賀未来氏は話し、他社製品から「Microsoft Viva Glint(以下、Glint)」※に変更した理由を説明します。※現在は LinkedIn Glint を利用中。25年3月頃にMicrosoft Viva Glintへ移行予定。

「他社製品は、部や課など組織単位でしかサーベイの結果を見ることができませんでした。そのためチームの強みや課題感を汲み取りにくいと感じていました」と語り、Glint の有用性について続けます。「Glint はチーム単位でエンゲージメントサーベイ結果を確認できることにくわえ、幹部社員一人ひとりに推奨アクションを提示するなど、Action Taking (次のアクションを起こすこと ) を促進する点でも優れています」同社の海外リージョンでは Glint をすでに利用していた経緯もあり、2023 年度に統合したといいます。

Glint を使ったサーベイは、富士通グループ全体でグローバルに約 12 万人を対象とし、11 月を起点に年 2 回 おこなっています。11 月に実施するものは計 26 問の「フルサーベイ」とし、多様な観点から組織の状態や課題、強みを確認しています。一方 6 月実施のものは「パルスサーベイ」と呼ばれ、上司と部下の関係性や Action Taking に関する質問に焦点を当てています。サーベイの質問項目は、同社と日本マイクロソフトがディスカッションして作り上げました。「導入当初は、日本マイクロソフトのピープル アナリティクスの専門家がサポートしてくれました。人事のピープルサイエンスに関して基本的な考え方を教えてもらい、非常に有益でした」(古賀氏)

Glint を利用し 1 年が経過した中で見えてきたこともあると、富士通 Employee Success 本部 Engagement & Growth 統括部 組織開発部 伊藤みなみ氏 は話します。「AI 技術を活用して因果分析技術を研究する当社の研究所と連携し、エンゲージメントスコアと因果が強い質問項目について分析しています。経営陣への信頼や会社の将来性は、エンゲージメントスコアと因果が強いという結果が出ました。また、チームの特性や、エンゲージメントスコアの高低によって取り組む施策内容を変えるべきであることもわかってきました」

経営陣への信頼の観点から、組織長のリーダーシップがエンゲージメント向上には重要であるとの仮説を立て、組織長に対して「ビジョン策定・浸透トレーニング」を実施。組織長が描くビジョンについて、外部の専門家から内容や伝え方の観点でアドバイスをもらい、組織のメンバーに伝わりやすい内容にブラッシュアップしていくものです。2024 年 11 月のエンゲージメントサーベイでその効果を測定します。

日本国内のエンゲージメントで課題となっていた Action Taking の改善も見られました。「Action Taking スコアが向上すると、エンゲージメントスコアも高くなることもわかってきました。両スコアが 10 pt 以上向上しているマネージャーのうち 9 割が、Glint にアクションを登録し実行しています」(伊藤氏)

今後、Glint と Viva Insights を掛け合わせた分析への期待も高まっています。「従業員エンゲージメントサーベイでは、社員の主観的な感情が入る要素も多く、客観的に組織の実態を把握することが難しい面があります。Viva Insights の行動データと掛け合わせることで、客観的データ (会議時間や内部もしくは外部とのつながり等のデータ) として効果がどのように現れるのか、見ていきたいと思っています。また、定量的データに基づくことで、Action Taking にも結びつけやすくなります」と古賀氏は語り、今後について続けます。「現在富士通は変革期にあります。社長も「行動変容」というキーワードを使っているように、富士通のパーパスを実現するためには、それを支える社員の行動変容が非常に重要となってきます。従業員エンゲージメントサーベイで社員のエンゲージメントをとらえるとともに、Insightsのデータで客観的な社員の行動の変化も測定し、これらを各種施策に活用することで、富士通のパーパス実現に繋げることができると考えています」

2024 年 11 月の Glint によるエンゲージメントサーベイの結果と、Viva Insights を組み合わせることで、「エンゲージメントが高まると、生産性が向上する」という仮説を確認できると竜門氏は話し、こう続けます。「Viva Insights と Viva Glint を活用した取り組みは、シナジー効果を発揮し、次のアクションの打ち手も効果的かつ効率的になっていくと思います」

古賀 未来 氏, Employee Success 本部 Engagement & Growth 統括部 組織開発部, 富士通株式会社

"Viva Glint はチーム単位でエンゲージメントを評価できることにくわえ、幹部社員一人ひとりに推奨アクションを提示するなど、Action Taking(次のアクションを起こすこと)を促進する点でも優れています"

古賀 未来 氏, Employee Success 本部 Engagement & Growth 統括部 組織開発部, 富士通株式会社

人的資本経営において、富士通の人事部門はデータに基づき、仮説、施策、検証のサイクルをまわすことで成果につなげ、パーパスの実現に貢献していきます。

伊藤 みなみ 氏, Employee Success 本部 Engagement & Growth 統括部 組織開発部, 富士通株式会社

“Action Taking スコアが向上すると、エンゲージメントスコアも高くなることもわかってきました。両スコア が 10 pt 以上向上しているマネージャーのうち 9 割が、Glint にアクションを登録し実行しています”

伊藤 みなみ 氏, Employee Success 本部 Engagement & Growth 統括部 組織開発部, 富士通株式会社

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