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2025/03/04

国内初の Microsoft Azure を稼働基盤とする銀行勘定系システムを構築した BIPROGY を支える Support for Mission Critical

勘定系システム BankVision の保守・運用においてミッション クリティカル系のサポート プログラムを継続的に活用。クラウド版 BankVision の開発にあたり、安定稼働を旨とする勘定系システムのクラウド化に対応できる、より一層のソリューション特化型サポートが求められていた。

Microsoft Azure を開発基盤として BankVision on Azure を開発。サポートにおいては、Microsoft Unified に加えて、ミッションクリティカルシステムに特化したサポート サービスである Support for Mission Critical(SfMC、現 Mission Critical Services) を活用した。

カスタマー リードを中心とした SfMC のサポートチームが提供する業務内容に即した移行前からの技術支援や24 時間 365 日の障害サポート体制の活用により、スムーズなクラウド移行を実現。SfMC はトラブルへの柔軟な対応にも役立った。BankVision on Azure はクラウドでの安定稼働や拡張性が高く評価されており、多くの金融機関で導入が進んでいる。

 

BIPROGY

日本マイクロソフトと共同で、世界初の Windows Server と SQL Server を基盤としたオープン勘定系システムを開発

BIPROGY は、日本で初めての商用コンピュータ納入以来、60 年以上にわたって我が国の社会や産業を支えるシステムを構築してきたソリューション プロバイダーです。同社は「先見性と洞察力でテクノロジーの持つ可能性を引き出し、持続可能な社会を創出します」という Purpose のもとに、ICT サービスの提供に留まらない新たな価値の創造と社会課題の解決に向けた取り組みを加速させています。

同社が注力領域の一角に据えているのがファイナンシャル分野であり、日本初のオンライン バンキングや金融機関向けソフトウェアの開発など、これまで多くの実績を築いてきました。なかでも世界で初めての Windows Server と SQL Server を基盤としたオープン勘定系システム「BankVision」は、メイン フレーム上で稼働することが一般的な勘定系システムに革新をもたらしたシステムとして、業界内でも高く評価されています。

「BankVision は、改修のしやすさや可用性の高さ、コストの低減効果などをお客さまにご評価いただいています。2007 年の稼働開始以来大きなトラブルもなく稼働している点は、お客さまからの信頼につながっています」と語るのは、BIPROGY 株式会社 サービスプラットフォーム本部長の大野 上総 氏です。

金融機関の基幹業務を支える勘定系システムは、少しの不具合でも社会に大きな影響を与える可能性があります。そのリスクを減らすために、同社は BankVision の開発プロジェクト発足時から日本マイクロソフトと協力してきました。BankVision の最初の稼働を機に、専用のサポートプログラムの提供を依頼し、それ以来、日本マイクロソフトのミッションクリティカル系サポートプログラムを継続して利用しています。
BankVision は現在全国で 12 行の金融機関で導入されており、各行における経営戦略のスピーディな実行、店舗・チャネル戦略や事務集中化へのフレキシブルな対応、TCO(総保有コスト)の削減などに大きく寄与しています。

クラウド活用の潮流に合わせて、Microsoft Azure を稼働基盤とするクラウド版 BankVision 開発に乗り出す

BankVision が転機を迎えたのは、2010 年代中ごろでした。クラウド サービスが急速に市場に浸透し始め、迅速かつ柔軟なサービスを提供できるクラウドの利点を生かしたシステムが、さまざまな分野で実装されるようになっていました。

金融機関向けのインフラサービス部を統括する BIPROGY 株式会社 サービスプラットフォーム本部 アドバンスドインフラサービス部長の高柳 美和 氏は、「当時クラウドは、技術として無視できない潮流になりつつありました。もちろん当社でも、早い段階から次世代のプラットフォームをクラウド上で展開するための検証が行なわれていました」と振り返ります。

高柳氏によると、金融機関においても、データの管理・運用のしやすさやプラットフォームとしての拡張性といった視点からクラウドへの注目が高まっていたといいます。「クラウドの普及という市場の流れ、そしてお客さまと私たちの思いが一致したことで、クラウド版の勘定系システム開発に向けた機運が高まっていきました」(高柳氏)

このようにして同社は、クラウド上に基盤を設けた BankVision の開発を計画しました。

「ただクラウドサービスはまだ黎明期でしたので、不安もありました」と語るのは、BankVision のインフラ構築および保守を担当している BIPROGY 株式会社 サービスプラットフォーム本部 アドバンスドインフラサービス部 基盤技術二室長の東山 武史 氏です。

「これまで当社がオンプレミスで対応していたレイヤーをクラウド提供事業者に依存する形になるため、ブラックボックス化して当社がシステムをコントロールできなくなる懸念がありました」と東山氏。その懸念を払拭するためにクラウド版 BankVision の稼働基盤として選ばれたのは、マイクロソフトのパブリッククラウド プラットフォーム Microsoft Azure でした。

システムの理解度と長年のサポート体制に対する信頼感が Azure 採用の決め手に

「Azure を選択した理由としては、まず Windows との親和性の高さが挙げられます。それに加え、日本マイクロソフトさんのサポートに対する期待も大きな後押しとなりました」と採用の理由を語る東山氏。BankVision 開発以前から続く関係性と、 BankVision の開発を通じて得たミッション クリティカル系サポートの有用性を理解していたことから、「Azure に関しても、迅速な情報共有や障害時の対応などをサポートしてもらえるだろうという安心感がありました」(東山氏)

大野氏も東山氏と同様に日本マイクロソフトへの強い信頼感を挙げています。「それまでの長いおつきあいの中で、日本マイクロソフトさんは日本市場の特殊性やファイナンシャル領域の特殊性について非常によく理解してくれていました。私たちが何を重視しているのか、さらに私たちのお客さまである金融機関の皆さまが何を重視しているのかをわかっていただけている点は大きなポイントでした」(大野氏)

こうして、2018 年 4 月から 2 社の共同プロジェクトとしてクラウド版の BankVision の開発がスタート。そのシステムは「BankVision on Azure」と名づけられ、国内初のフルバンキング システムのパブリック クラウド環境での実装事例となりました。

東山 武史 氏, サービスプラットフォーム本部 アドバンスドインフラサービス部 基盤技術二室長, BIPROGY 株式会社

“Azure を選択した理由としては、まず Windows との親和性の高さが挙げられます。それに加え、日本マイクロソフトさんのサポートに対する期待も大きな後押しとなりました”

東山 武史 氏, サービスプラットフォーム本部 アドバンスドインフラサービス部 基盤技術二室長, BIPROGY 株式会社

BankVision on Azure に最適化された「Support for Mission Critical(SfMC)」

BankVision on Azure の開発にあたり同社では、クラウド サービスの計画から実装・保守・最適化に至るまで、製品のライフ サイクルに沿ったエンド ツー エンドのサポートを提供する日本マイクロソフトのエンタープライズ サービス「Premier Support for Partners(プレミア  サポート)」を導入。

さらに特定のソリューションに特化したミッション クリティカル サポート チームが伴走するエンハンスド ソリューションである Support for Mission Critical(SfMC) を上乗せすることで、より BankVision on Azure に最適化されたサポート体制を整えました。

「私たちが設計したアーキテクチャについて、米国マイクロソフトのエンジニアも交えたレビューや、初めてのホスト移行に関するアドバイスなど、技術面でのサポートを受けました。さらに、24 時間 365 日体制で支援していただけるため、エンドユーザーからの問い合わせにも迅速に対応できました。おかげで大きなトラブルなく基盤を移行することができました」(東山氏)

本番稼働直前に、Azure のロードバランサーの修正が行われたことで運用管理ソフトウェアの通信がストップしてしまうというトラブル時にも冷静に対応できたと高柳氏。「想定外の事態でしたが、日本マイクロソフトさんには SfMC を通して BankVision on Azure の構成のレビュー段階から携わっていただいていたので、原因がどこにありどのような処置をすべきかをすぐに把握、対応していただけました」(高柳氏)

Azure のような常に改善を繰り返すクラウド サービスにおいては、迅速かつ柔軟な変化への対応が求められます。そのためにサポート側が対象システムに通暁していることが望ましいのは言うまでもありません。東山氏や高柳氏の言葉からは、BankVision on Azure 開発プロジェクトにおいて SfMC は、まさにその真価を遺憾なく発揮することができたことがうかがえます。

「BankVision on Azure を担当してくれている日本マイクロソフトのサポート・エンジニアの方々、特にカスタマー・リードの方は非常に高いスキルをお持ちです。安定性が最優先される勘定系システムの特性を理解したうえで、マイクロソフト側の最新事情と照らし合わせながら最適なアドバイスをしてもらえる安心感はとても大きいですね」(高柳氏)

大野氏も、SfMC のサポートを高く評価します。「ファイナンシャル業界では、トラブルが発生した場合は必ずその原因を特定して、ふたたび繰り返さないことが重要です。また、場合によっては当局にも、原因および改善策をしっかりと説明する必要が生じます。SfMC のチーム メンバーはそういった業界の特性も理解してくれています。非常にありがたいと思っています」(大野氏)

高柳 美和 氏, サービスプラットフォーム本部 アドバンスドインフラサービス部長, BIPROGY 株式会社

“未来に向けて BankVison on Azure をより安心して使える製品にしていくためにトラブルの際にいかに早く情報をキャッチ アップして対応できるかようになるかが重要です。伴走体制をさらに強化することで、次世代の BankVision の形が見えてくるだろうと考えています”

高柳 美和 氏, サービスプラットフォーム本部 アドバンスドインフラサービス部長, BIPROGY 株式会社

これからも共に歩み、最適解を一緒に考えていける一番のパートナーであってほしい

リリースされた BankVision on Azure は、順調に導入金融機関を増やしています。一方で、オンプレミスの安定性を重視する金融機関もある、と東山氏。
どちらにも対応できるようサービスを改善していきながら、「BankVision on Azure の運用実績を重ねることでクラウドの安定性や品質の向上を示すことができれば、選択肢が広がり、顧客サービスの向上につながると考えています。そのため、マイクロソフトさんには安定したクラウド サービスの提供を期待したいです」(東山氏)

高柳氏は、東山氏の言葉に続けてセキュリティの強化と情報公開の強化を要望。「未来に向けて BankVison on Azure をより安心して使える製品にしていくためにトラブルの際にいかに早く情報をキャッチ アップして対応できるようになるかが重要です。伴走体制をさらに強化することで、次世代の BankVision の形が見えてくるだろうと考えています」(高柳氏)

同社ではプレミア サポートに代わるエンタープライズ サービスとして2024 年から Microsoft Unified を導入しました。プレミア サポートは限られた部門に対するサポートでしたが、Microsoft Unified は全社が対象となるため、より広範なサポートの提供を受けることになります。

大野氏は、「いまは全社でどのような活用ができるかを検討している段階です。ベースとなる技術や社会の流れが移り変わるなかで、その変化に対応するために役立てていきたい」と展望を語ります。

「今後は、働き手不足やサイバー セキュリティ、自然災害など、さまざまなリスクが考えられます。そのなかで私たちがサービスの価値を維持し、さらに高めていくためには、より一層テクノロジーの力が必要となるはずです。日本マイクロソフトさんにはこれからも、AI 技術の活用を含めた効果的なテクノロジーの使い方やツールの組み合わせを一緒に考えていける、一番のパートナーでいていただきたいと思っています」(大野氏)

顧客に寄り添った営業姿勢でオープン勘定系システムという画期的な製品を世に送り出し、世の中の流れや顧客ニーズの変化に合わせて改善を継続する BIPROGY。同社の姿勢は、まさに私たち日本マイクロソフトが考える伴走型支援のありようと重なります。

私たちも、製品を提供するだけでなく、お客さまのサービスの価値を高めるために自分たちがなにを提供できるのかを常に自問自答しながら、より強力な支援体制を構築し、これからも伴走してまいります。

インタビュー後集合写真:左より日本マイクロソフト株式会社3名、BIPROGY株式会社3名
大野 上総 氏, サービスプラットフォーム本部長, BIPROGY 株式会社

“それまでの長いおつきあいの中で、日本マイクロソフトさんは日本市場の特殊性やファイナンシャル領域の特殊性について非常によく理解してくれていました。私たちが何を重視しているのか、さらに私たちのお客さまである金融機関の皆さまが何を重視しているのかをわかっていただけている点は大きなポイントでした”

大野 上総 氏, サービスプラットフォーム本部長, BIPROGY 株式会社

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