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2025/04/22

福岡ソフトバンクホークスが Azure の AI 機能を活用し、みずほPayPayドーム福岡に「AI アバター」を設置、新しい「球場での野球観戦の楽しみ方」を実現

パシフィック・リーグ (パ・リーグ)に所属するプロ野球球団であり、福岡市にある「みずほPayPayドーム福岡」を本拠地とする福岡ソフトバンクホークス。以前からソフトバンクグループの一員として「スタジアムDX」に取り組んできましたが、来場客に喜んでもらえるものがなかなか実現できませんでした。そのような状況の中で持ち上がったのが、マイクロソフトの各種 AI サービスを活用した「AI アバター」を作ろうという話です。「これなら来場客に喜んでもらえる」と考え、開発が決まりました。

開発パートナーとしてアバナード社が参画し、Azure の各種 AI サービスや PaaS を連携させることで、僅か1 か月半でシステムを完成。AI アバターになってもらう人物としては、福岡ソフトバンクホークス OB で現在は野球解説者や YouTuber としても活躍する五十嵐 亮太 氏を起用し、東京のスタジオで約 2 時間、映像と音声の収録を行いました。ここで収録された約 30 分の映像と 15 分の音声を学習することで AI アバターが完成。学習時間はわずか 3 ~ 4 日でした。

Azure 上で実現された AI アバターは、話し方の抑揚やスピード、リップシンクも適切で、まるで五十嵐さん本人が目の前にいるようだと評価されています。これを見た最初の来場客が感動し、そこから口コミが広がることで、2024 年シーズンの 40 試合分に加えて、2025 年シーズンまでの予約が埋まる状況に。ソフトバンク グループ全体の『見込客創出』に大きな貢献を果たしています。将来は、福岡ソフトバンクホークス公式アプリとの連携や、飲食と物販のオーダーの実現も視野に検討を行っています。

Fukuoka SoftBank Hawks

ドーム内のエグゼクティブ Room「Microsoft Premium Suite」に五十嵐 亮太 氏を起用した AI アバターを設置

福岡ソフトバンクホークス株式会社 (以下、福岡ソフトバンクホークス) は、福岡市にある「みずほPayPayドーム福岡」を本拠地とする、パシフィック・リーグ (パ・リーグ) に所属するプロ野球球団です。2024 年はシーズン序盤から、パ・リーグ史上最速で優勝した 2017 年を上回る快進撃となり、最速優勝の記録更新とはならなかったものの、他球団を大きく引き離してのリーグ優勝を果たしました。

同社の 2024 年の活動でもう 1 つ注目したいのが、ドーム内の「Premium Suite (プレミアム スイート)」におけるネーミング ライツ契約を 2024 年 7 月に日本マイクロソフトと締結し、正式名称を「Microsoft Premium Suite」とするとともに、福岡ソフトバンクホークス OB で現在は野球解説者や YouTuber として活躍する五十嵐 亮太 氏の「AI アバター」を設置したことです。みずほPayPayドーム福岡には 3 フロア/約 119 室の VIP ルームがあり、そのうち 4F の 1 フロア/16 室を「Microsoft Premium Suite」と称し、その中の年間契約部屋 1 室に、AI アバターが置かれているのです。

この AI アバターが正式リリースされたのは 2024 年 7 月。大型ディスプレイに五十嵐 氏の姿が映し出され、身振り手振りを交えながら、利用者からの質問への回答や、選手情報などの一言コメント、目の前のグラウンドで繰り広げられる試合の解説やソフトバンクホークスへの応援コメントなどが、リアルタイムで五十嵐 氏の声と姿で話されるようになっています。また画面の下側には、本日のスタメン情報や、球団にまつわるクイズを選択式で出題する「ホークス クイズ」も表示されます。「Microsoft Premium Suite」の利用者はこの AI アバターと対話しながら、野球観戦を楽しむことができるのです。

西川 拓也 氏, 事業統括本部 営業本部 副本部長 兼 営業推進部 部長, 福岡ソフトバンクホークス株式会社

“Microsoft Premium Suite の最初の利用企業の方が、AI アバターになった五十嵐さんを見て『素晴らしい』と感動し、そこから口コミが広がることで、2024 年シーズンの 40 試合分に加えて、2025 年シーズンまでの予約が埋まる状況になりました。AI アバターはソフトバンク グループ全体の『見込客創出』にも、大きな貢献を果たしています”

西川 拓也 氏, 事業統括本部 営業本部 副本部長 兼 営業推進部 部長, 福岡ソフトバンクホークス株式会社

AI アバターなら「コンシューマーの皆様も面白いと思ってくださる」と確信

この AI アバター開発の背景について、福岡ソフトバンクホークスで事業統括本部 営業本部 副本部長 兼 営業推進部 部長を務める西川 拓也 氏は次のように説明します。

「福岡ソフトバンクホークスはソフトバンク グループの球団であるため、ソフトバンクにとって象徴的なスペースをこのドーム内に作りたい、というニーズが以前からありました。ソフトバンク竹芝本社には顧客にソリューション提案を行うための『EBC (Executive Briefing Center)』という施設がありますが、そのサテライトブースをドーム内に実現することが求められていたのです。その取り組みの一環として、今回 AI アバターが作成されることになりました」。

「AI を使ったスタジアム DX ができないか」という話が持ち上がったのは 2023 年。ソフトバンクは日本マイクロソフトと戦略的パートナーシップの関係にありますが、その一環としてマイクロソフトの最新 AI テクノロジーを活用することが検討されたのだと言います。

「これまでもスタジアム DX への取り組みはさまざまな形で行われてきましたが、テスト段階で終わってしまうものが多く、実装は見送られてきました。その理由は、技術面でいかに優れていても、ドームに来場されるコンシューマーの方々に楽しんでいただけなければ意味がないからです。しかし今回はコンシューマーの皆様も、面白いと思ってくださると確信しました」。

石田 博之 氏, 事業統括本部 営業本部 第1営業部 3課 課長代理, 福岡ソフトバンクホークス株式会社

“Azure 上で実現された AI アバターは、話し方の抑揚やスピード、リップシンクもしっかり決まっており、ときどき瞬きもするため、まるで五十嵐さん本人が目の前にいるようです。ジェスチャーは 10 パターンほど設定していますが、戦況に応じたいいタイミングで、自動的に行なってくれます。福岡ソフトバンクホークスの 2024 年のスローガンである『美破! (ビバ)』のポーズもしてくれます”

石田 博之 氏, 事業統括本部 営業本部 第1営業部 3課 課長代理, 福岡ソフトバンクホークス株式会社

1 週間のスプリントを 5 回実施し、わずか 1 か月半で最初のリリースを実現

AI アバター開発のプロジェクトが始まったのは 2024 年 5 月。同年 6 月にはマイクロソフトが開発パートナーとしてアバナード株式会社 (以下、アバナード) を紹介し、実際の開発が進められていきます。最終的に完成したシステムの構成は図に示すとおり。その根幹をなす Azure の各種 AI サービスについて、アバナードでシニアディレクターを務め、今回の AI アバター実装を担当した千賀 大司 氏は、次のように語っています。

「Azure で提供されている AI サービスは API でアクセスでき、他の PaaS との親和性が高く、機能性や開発生産性も優れています。細かいチューニングも容易であり、話し方の抑揚やスピードの調整、リップシンクなども短期間で実現できました。またアバターの動画生成にはかなりの計算能力が必要になりますが、Azure のサービスであればクラウド側で処理できるため、端末側の負荷を最小化できます」。

AI アバターの開発では、1 週間のスプリントを 5 回実施し、仕様検討開始からわずか 1 か月半で最初のリリースを実現。そのスピード感は驚くべきものだったと、福岡ソフトバンクホークス の石田 博之 氏は振り返ります。

ただし、何事もなくスムーズに開発が進んだわけではありません。AI アバターの開発で最大のハードルになったのが、外部データを利用する際のディレイ (時間遅れ) でした。

「進行中の試合データは、データスタジアム株式会社が提供する『データスタジアム』から取得することになりましたが、当初は AI アバター側からデータを取りにいく『プル型』で行っていたため、1 分程度のディレイが発生していました」と千賀 氏。この問題を解決するため、データ取得方法をプル型からプッシュ型 (データスタジアム側からデータを送る方法) へと変更し、生成 AI のチューニングを行って不要な処理プロセスもできる限り省くことで、ディレイを 10 秒程度にまで短縮することに成功しています。

これは、スポーツ専門のストリーミング放送サービスに勝るとも劣らないスピードであり、データ送受信だけでも、この程度のタイムラグが生じるため、これ以上の短縮は野球データ提供事業者の協力だけでなく通信インフラの調整も必要と説明します。

千賀 大司 氏, シニアディレクター, アバナード株式会社

“Azure で提供されている AI サービスは API でアクセスでき、他の PaaS との親和性が高く、機能性や開発生産性も優れています。細かいチューニングも容易であり、話し方の抑揚やスピードの調整、リップシンクなども短期間で実現できました。またアバターの動画生成にはかなりの計算能力が必要になりますが、Azure のサービスであればクラウド側で処理できるため、端末側の負荷を最小化できます”

千賀 大司 氏, シニアディレクター, アバナード株式会社

AI アバターになる人物の学習も、映像と音声データによって 3 ~ 4 日で完了

これと並行して福岡ソフトバンクホークス側では、AI アバターになってくれる方の人選が進められていきました。

「当初は福岡ソフトバンクホークスの現役選手の起用を考えていたのですが、このころはちょうどシーズン中で選手の調整が忙しいため、時間の確保が困難でした」と話す石田 氏。そこで福岡ソフトバンクホークスの OB の中から知名度のある方を探し、最終的に五十嵐 氏の起用が決まったのだと説明します。

この提案が行われたのは 2024 年 6 月。五十嵐 氏とのスケジュール調整を行ったうえで、マイクロソフトが東京 神田のスタジオを手配し、学習用の映像と音声の収録が行われました。五十嵐 氏の拘束時間はトータルで 2 時間程度。ここで約 30 分の映像と、約 15 分の音声が収録されています。

AI の学習はこれらのデータを用いて行われましたが、これについてマイクロソフト パートナー事業本部 パートナー技術統括本部 AI & Azure アーキテクト本部でパートナー ソリューション アーキテクトを務める大川 高志は、次のように説明します。

「リアルなアバターを作成する場合には 3D モデルを使うのが一般的ですが、そのために制作期間や学習期間が長くなりがちです。これに対してマイクロソフトの AI アバターは映像を学習データにできるため、従来手法に比べて学習時間をかなり短縮できます。今回も、音声だけなら 1 時間程度、映像を含めても 3 ~ 4 日で完了しました。また不正な学習を防止する機能も装備しています。学習される人が『私が承認しました』と読み上げたデータがなければ学習されないのです」。

大川 高志, パートナー事業本部 パートナー技術統括本部 AI & Azure アーキテクト本部 パートナー ソリューション アーキテクト, 日本マイクロソフト株式会社

“リアルなアバターを作成する場合には 3D モデルを使うのが一般的ですが、そのために制作期間や学習期間が長くなりがちです。これに対してマイクロソフトの AI アバターは映像を学習データにできるため、従来手法に比べて学習時間をかなり短縮できます。今回も、音声だけなら 1 時間程度、映像を含めても 3 ~ 4 日で完了しました。また不正な学習を防止する機能も装備しています”

大川 高志, パートナー事業本部 パートナー技術統括本部 AI & Azure アーキテクト本部 パートナー ソリューション アーキテクト, 日本マイクロソフト株式会社

ソフトバンク グループ全体の「見込客創出」に大きな貢献を果たす

AI アバターが正式リリースされたのは 2024 年 7 月。その完成度について石田 氏は、次のように語っています。

「Azure 上で実現された AI アバターは、話し方の抑揚やスピード、リップシンクもしっかり決まっており、ときどき瞬きもするため、まるで五十嵐さん本人が目の前にいるようです。ジェスチャーは 10 パターンほど設定していますが、戦況に応じたいいタイミングで、自動的に行なってくれます。福岡ソフトバンクホークスの2024年のスローガンである『美破! (ビバ)』のポーズもしてくれます」。

AI アバターが設置されているのは、16 室ある Microsoft Premium Suite の 1 室に限定されていますが、来場されたお客様は AI アバターを見て感動する人も少なくないと西川 氏は語ります。また AI アバターが設置された Microsoft Premium Suite の中では、EBC の接客訓練を受けたスタッフが付き添いながら、AI アバターのタッチ & トライが可能。ここは EBC のサテライトという位置付けになっているため、利用者は企業主体となっています。

「Microsoft Premium Suite の最初の利用企業の方が、AI アバターになった五十嵐さんを見て『素晴らしい』と感動し、そこから口コミが広がることで、2024 年シーズンの 40 試合分に加えて、2025 年シーズンまでの予約が埋まる状況になりました。AI アバターはソフトバンクグループ全体の『見込客創出』にも、大きな貢献を果たしています」 (西川 氏)。

今後は Microsoft Premium Suite だけではなく、他の部屋でも AI アバターを体験できるようにしたいと西川 氏。さらに将来は、福岡ソフトバンクホークス公式アプリで使っている顧客 ID と紐付けることで、飲食や物販のオーダーや、顧客ごとの嗜好に合わせた対応なども実現してほしいと語っています。

※本お客様事例に記載された情報は、取材当時 (2024 年 11 月時点) のものです。

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