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Azureに関する技術情報

HPC 向け Azure HBv4/HX シリーズの一般提供を開始

Azure – HPC

オリジナル投稿者
Jyothi Venkatesh Senior Product Manager, Azure HPC,
Fanny Ou Senior Technical Program Manager, Azure HPC

本投稿は以下、ブログ投稿の翻訳記事です。
Azure HBv4 and HX Series VMs for HPC now generally available | Azure Blog | Microsoft Azure

Azure HBv4/HX シリーズ仮想マシン (VM) の一般提供を開始したことをお知らせします。 Microsoft は今回の一般提供で、AMD 3D V-Cache™ テクノロジを搭載した最新の第 4 世代 AMD EPYC™ プロセッサ (コードネーム ‘Genoa-X’) 400 ギガビットの NVIDIA Quantum-2 InfiniBand を採用する最初の VM を提供します。Azure HBv4/HX シリーズ VM は、トップレベルのパフォーマンス、スケーリング効率、費用対効果を、数値流体力学 (CFD)、金融サービス計算、有限要素解析 (FEA)、地球科学計算、気象シミュレーション、レンダリング、量子化学、シリコン設計などの多様な HPC ワークロードに提供します。

第 3 世代 AMD EPYC™ プロセッサ (コードネーム ‘Milan-X’) を使用する Azure HBv3 シリーズ VM は、既にパブリック クラウドの HPC ワークロード向け VM として最高パフォーマンスを実現していますが、これと比較して以下のような特長があります。

  • レンダリングにおけるパフォーマンス: 1.6
  • 気象シミュレーションにおけるパフォーマンス: 2.4
  • CFD におけるパフォーマンス: 2.7
  • 分子動力学におけるパフォーマンス: 4.2
  • 構造解析におけるパフォーマンス: 5.7

当社の技術ブログにアクセスしてパフォーマンスとスケーラビリティに関する詳しい情報をご覧ください。また以下では、広く使用されているハイ パフォーマンス コンピューティング (HPC) の各種のワークロードにおけるパフォーマンスをまとめています。

HBv3 シリーズと HBv4/HX シリーズのパフォーマンス比較のグラフ。複数のワークロードの比較があるが、いずれも HBv4/HX シリーズが優勢

 1: 各種のエンジニアリング/科学計算ワークロードにおける Azure HBv4/HX シリーズ VM HBv3 シリーズのパフォーマンス比較の概要

Azure HBv4/HX シリーズ VM は現在、米国東部の Azure リージョンで利用でき、まもなく、韓国中部、米国中南部、スウェーデン中部、東南アジアの各 Azure リージョンでも利用可能になります。

速度、費用対効果、電力効率を向上させた HPC 向けテクノロジ

Azure HBv4/HX シリーズ VM で、AMD 3D V-Cache™ 搭載の第 4 世代 AMD EPYC™ プロセッサを採用した理由は、各種のメモリ パフォーマンス律速の HPC ワークロードで最高レベルのパフォーマンスを発揮していることです。VM あたり 2.3 GB、最高帯域幅 5.7 テラバイト/秒の L3 キャッシュで、メイン メモリからの帯域幅を最高 780 ギガバイト/秒に向上させ、お客様の多様なワークロードで市場トップ レベルにあたる混合平均 1.2 テラバイト/秒の実効メモリ帯域幅を達成しました。幅広く使用されている OpenFOAM のようなメモリ帯域幅律速のワークロードにおいて、3D V-Cache テクノロジ搭載の第 4 世代 AMD EPYC CPU を使用する HBv4 シリーズ VM は、Azure の内部テストで既に標準の第 4 世代 EPYC プロセッサの最大 1.49 倍という高いパフォーマンスを示しています。

3D V-Cache のない HBv4 プレビューと、GA する 3D V-Cache ありの HBv4/HX のパフォーマンスを比較したグラフ。いずれも 3D V-Cache ありの場合が優勢であることを示す。

2: CFD ワークロード である OpenFOAM を使い、1 VM から 8 VM の間で、プレビュー版 (3D V-Cache なし) と一般提供版 (3D V-Cache あり) HBv4/HX のパフォーマンスを比較した結果

上図のように、Azure HBv4/HX シリーズ VM では大きなパフォーマンス向上があり、それに必要なジョブあたりのコストと消費電力はワークロードの高速化率に正比例しています (たとえば、AMD 3D V-Cache 使用の HPC ワークロードで、標準の第 4 世代 AMD EPYC CPU 25% 増のパフォーマンスが得られた場合、お客様が負担するジョブあたりのコストと消費電力は 25% 減となっています)

各種のアプリケーション、モデル、構成でのパフォーマンスとスケーラビリティについてはブログ記事を、完全な技術仕様については Azure Docs (HBv4 シリーズ VMHX シリーズ VM) をご覧ください。

より多くの HPC のお客様に向けた継続的改善

マイクロソフトは、クラウドにおけるハイ パフォーマンス コンピューティングの新時代のビジョンを提供しています。このビジョンは、お客様にとって最も重要な研究ワークロードやビジネス ワークロードに対する継続的改善によって特徴づけられています。AMD との連携を通じて、当社が HPC のお客様向けに提供するパフォーマンス、スケーラビリティ、価値の水準を Azure H シリーズ ファミリ VM のリリースごとに引き上げることで、このビジョンを実現します。

新たに Azure H シリーズ ファミリに加わる Azure HX シリーズ VM のリリースにより、構造解析や半導体設計のような大容量メモリ ワークロードを実行するお客様に向けたマイクロソフトの取り組みを拡大させていきます。すべての HX シリーズ VM 1.4 テラバイトのメモリを割り当てることで、データ集約型ワークロードのより多くの部分がメモリに乗るようになり、大きな高速化とコスト削減が可能になります。MSC Nastran のような広く使用されている自動車シミュレーションの場合、新しい HX シリーズ VM Azure の内部テストで HBv3 シリーズ VM の最高 5.7 倍を示し、4 年前にリリースされ、現在もオンプレミスの HPC 環境で広く使用されているテクノロジを採用した HC シリーズ VM に比べると 9.2 倍 のパフォーマンスを示しています。

MSC Nastran を利用した過去の H シリーズと最新の HX VM のパフォーマンス比較をしたグラフ。初代 HC シリーズを 1.0 としたときに最新の HX は9.2倍のパフォーマンスを発揮。

3: 構造解析アプリケーション MSC Nastran における Azure H シリーズ ファミリ仮想マシンの 2019 年から 2023 年にかけてのパフォーマンス向上

お客様の動向

「材料科学の研究者は、Azure Quantum の利用者も含め、強力な新プロセッサとネットワーク テクノロジを採用した Azure HBv4 仮想マシンを導入することで多大な恩恵を受けることができます。NAMD のパフォーマンスが 4 倍に向上したことは、Azure クラウド サービスで最先端のコンピューティング リソースを継続的に提供するというマイクロソフトの取り組みを改めて示しています」(Azure Quantum、化学・材料パートナーシップ担当シニア ディレクター、Nathan Baker)

HPD logo

「Ansys Cloud の Azure HB シリーズ ファミリ仮想マシンで利用できるようになった AMD EPYC™ プロセッサは、北米のモータースポーツに対する取り組みを支える CFD シミュレーションの能力を増強する上で役立っています。シミュレーション能力の増強と、この取り組みから得られる工学的知見は、IndyCar と IMSA のプロトタイプにおける最近の一連の成功の鍵だったと考えています。AMD 3D V-Cache™ テクノロジ搭載の第 4 世代 AMD EPYC™ プロセッサを活用した Azure HBv4/HX シリーズ VM のパフォーマンスをすぐにでも評価したいところです。AMD と Azure が、当社の非常に複雑な CFD モデルの解を得るまでの時間とコストにおいて持続可能なパフォーマンスをこのプロセッサで実現するという約束を果たしてくれるものと確信しています」(Honda Performance Development 社、バイス プレジデント、Kelvin Fu 氏)

Life augmented

Azure ハイパフォーマンス コンピューティングを使用することで、並列に実行できるジョブやタスクの数が増えました。リリースする製品の効率と品質を高めることで、市場投入までの時間が短縮しています。このソリューションは、製品品質の向上と、納品遅延リスクの低減に役立っています(STMicroelectronics 社、デジタル デザイン アーキテクト、Anna Palo )

Petronas logo

「Azure HPCAMDAdvanced Micro Devices)プロセッサの組み合わせは、並列処理によるパフォーマンスの向上、コスト効率の改善、柔軟なスケーラビリティ、複数サイズ・スペックで構成される複雑な環境の容易な実現、エネルギー効率の改善など、PETRONASの持続可能性イニシアティブに合致し、より環境に優しいコンピューティング環境に貢献しています。」(PETRONAS Digital社、シニアマネージャー、Muthu Kumar Sockalingam )

参考情報

 

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