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業界

Microsoft Cloud for Healthcare: データと洞察を通して患者ケアを変革する

※本ブログは、米国時間 2022 年 4 月 5 日に公開された Microsoft Cloud for Healthcare: Transforming patient care through data and insights の翻訳です。

医療業界は、患者、医療機関、および保険者のニーズに応えるという課題に対処するために、デジタル変革の取り組みを加速させてきました。この進化の中心にあるのが、さまざまなデータ ソースをつないで、患者やリソースのエンドツーエンドのビューを実現するというニーズがあるということです。これは、連携および情報フローを改善する、リアルタイムのコミュニケーションおよびコラボレーション ツールを導入する機会でもあります。マイクロソフトのアプローチはこのようなニーズに重点を置いており、医療機関が充実した洞察とエクスペリエンスでデータと情報フローを統合することで、患者ケアと業務を改善することを可能にします。

この取り組みの一環として、Microsoft Cloud for Healthcare の新たなプレビューと一般提供の更新をリリースします。このリリースはお客様とパートナーからのフィードバックを反映したものであり、医療機関および患者の支援に対するマイクロソフトの以下の取り組みをさらに強化します。

  • 患者のエンゲージメントの向上を通して、データをより効果的に活用する。
  • チームのコラボレーションを強化する。
  • 診療と業務に関する洞察を向上させる。
  • Microsoft Cloud for Healthcare ソリューションを世界中のさらに多くの地域に提供する。

患者に関する包括的なビュー

質の高い医療を提供するには、患者に関する全方位的な視野の確保が不可欠です。マイクロソフトの更新された統合患者ビュー (英語) では、複数のソリューションからの患者の属性および診療データを表示することが可能です。可視性の向上によって、医療チームは適切な情報をよりすばやく確認することができます。複数のデータ ソースが患者に関する実用的な洞察に集約されていることにより、医療提供者は患者の属性および診療データに基づいて、ケアのずれがないか否かを判断できます。診療フォームおよび診療以外のフォームの情報へのアクセスも、セキュリティ ロールに基づいて決定できます。

新しい統合患者ビューのスタンドアロン製品では、Microsoft Power Apps からのローコード ソリューションを利用したエンドツーエンドのシナリオが可能であり、医療提供者およびパートナーは一貫した患者ビューでカスタム アプリケーションを作成することができます。モデル駆動型アプリケーションの構築方法については、こちらをご覧ください。

患者の診療以外の情報ビュー

図 1: 患者の診療以外の情報ビュー

診療フォームでは重要な患者情報を確認可能

図 2: 診療フォームでは重要な患者情報を確認可能

1 人の患者に対して断片化された複数の記録が存在するという一般的な問題を解決するために、マイクロソフトでは Fast Healthcare Interoperability Resources (FHIR) レコードのマージ機能のサポートを改善しました。一般提供が開始されている新しい患者リンクでは、「ロールアップ」された患者データの表示が可能です。管理者および患者のデータ・スペシャリストは、Health Level Seven (HL7) FHIR® 患者リンク (患者のマージ) を使用できるようになりました。

患者レコードには統合された患者のリソースが表示され、リンクされたレコードへのアクセスも可能

図 3: 患者レコードには統合された患者のリソースが表示され、リンクされたレコードへのアクセスも可能

マイクロソフトは、医師が断片化されたシステムの混乱から解放され、多様なソースからのデータを使用し、最適なケアの提供に集中することを容易にします。Teams を使用した仮想予定の Cerner 電子健康記録 (EHR) への統合は現在、一般提供が開始されており、医師は Cerner EHR から直接、仮想診療を簡単に開始することができます。このソリューションには、患者への SMS 通知の送信の追跡や、予定のリンクのコピーと再送信などの機能が組み込まれています。

次の仮想予定に関連付けられた患者情報の医師側のビュー

図 4: 次の仮想予定に関連付けられた患者情報の医師側のビュー

データを統合する

医療業界でレガシー システムを含む多様なソースから生成されるデータは多くの場合、大量で構造化されておらず、またユニバーサルにアクセス可能ではありません。洞察とエクスペリエンスの両方を向上させるために診療および業務の効率を上げるには、医療機関がどのようにデータを取り込み、保管し、操作し、利用するかが重要です。したがって、データが Microsoft Cloud for Healthcare の中核を成しています。医療機関が洞察力を向上できるように、Microsoft Cloud for Healthcare は、データがどこにあるかにかかわらず、お客様が医療データ モデルおよび Azure Health Data Services を使用してデータを構造化することを可能にします。

新たにリリースした Azure Health Data Services は、クラウド上の保護対象医療情報 (PHI) のためのテクノロジです。また、診療、画像処理、および MedTech データ形式の組み合わせを取り込み、管理し、Fast Healthcare Interoperability Resources (FHIR) や Digital Imaging and Communications in Medicine (DICOM) などのその他のデータ標準に変換する、一般提供されている唯一のソリューションでもあります。診療および画像処理データ用のソリューションはほかにも存在しますが、Azure Health Data Services はこの主要な 3 種類の医療データを統合することにより、最も包括的な患者ビューを提供します。Azure Health Data Services を使用することにより、クラウド上の医療機器からの多様なデータセットおよびストリーミング データを統合することができます。

真に強力な変化をもたらすには、研究と AI 開発のためにデータを安全に共有できる必要があります。Azure Health Data Services は、ディープ AI と機械学習を可能にするビッグ データのための強固なクラウド基盤を構築します。Azure Health Data Services は、可視化と分析のために Microsoft Power BI と Azure Synapse Analytics に接続し、SMART on FHIR アプリケーションを使用して新たなアプリケーションを構築し、機械学習を適用して診断の支援および研究のための新たなアルゴリズムを作成できます。未来を見据え、マイクロソフトでは Truveta 社などの医療テクノロジの主要なスタートアップ企業 (英語) と強力な戦略的パートナーシップを結ぶことにより、救命とデータの民主化機能を統合します。また先日の Nuance 社の買収 (英語) により、AI、機械学習、およびその他の最先端機能を Microsoft Cloud for Healthcare に取り込みます。

リアルタイム データ ルーティングでデータ フットプリントを最適化

患者サービス センターなどの業務プロセスのサポートでのデータ利用時には、多くの場合、複数のシステムからデータを取り込みます。すべてのデータを保持する単一のシステムはなく、効率的なテクノロジ アーキテクチャを維持するには、各システム間でどれだけのデータを複製するかを制御することが重要となります。マイクロソフトは本日、仮想医療データ テーブルをリリースします。この機能は、クラウド ストレージの使用を最適化することにより、モデル駆動型アプリケーションの使用時に診療参照データを仮想化できるようにします。医療データは現在の場所に置き続けるか、Microsoft Dataverse に転送することにより、ビジネス アプリケーションで簡単に使用できるようにデータを安全に保存および管理することができます。この新たな機能は Dataverse の仮想テーブルを活用しており、医療データ ルーティングの概念と組み合わせることにより、選択した医療テーブルについて、ネイティブな Dataverse ストレージと外部の Azure Health Data Services への直接アクセスとの間で、基盤となるデータ ソースを動的に切り替えることを可能にします。詳細については、FAQ をご覧ください。

Power Platform アプリケーションはデータを Dataverse からフェッチするか、Azure Health Data Services などの他のソースからの外部リアルタイム フェッチを実行できる

図 5: Power Platform アプリケーションはデータを Dataverse からフェッチするか、Azure Health Data Services などの他のソースからの外部リアルタイム フェッチを実行できる

5 月にプレビュー提供が開始される Dataverse Health Data Exchange API は、医療ソリューション向けのクラウドと FHIR バンドルとしてデータを公開している医療システムとの間でデータを移動することを可能にする、新たなデータ相互運用性手法です。これらの機能は、FHIR サーバーを実装している環境でも、していない場合でも使用できます。Dataverse Health Data Exchange API を使用すると、統合アーキテクチャ、ルール、およびロジックを完全に制御することが可能になります。

患者データを保護しながら相互運用性を向上させる新たな統合アプローチ

図 6: 患者データを保護しながら相互運用性を向上させる新たな統合アプローチ

Logic App ワークフロー、Azure Storage、および Azure Service Bus キューを使用する本番環境

図 7: Logic App ワークフロー、Azure Storage、およびAzure Service Bus キューを使用する本番環境

自然言語処理で直感的に機能

Text Analytics でのフリー テキストから FHIR への変換機能 (英語) のプレビュー リリースを使用することにより、自然言語処理によって分析をさらに活用し、診療に関する洞察の提供を改善することができます。この機能は、医療機関が構造化されていない診療ドキュメント内で有益な情報を見つけてラベル付けし、主要な FHIR ガイドラインに従った、相互接続された階層的な FHIR リソースのバンドルに変換することを可能にします。

テキスト分析のエンティティ認識とリンク、関係抽出、およびアサーション検出

図 8: テキスト分析のエンティティ認識とリンク、関係抽出、およびアサーション検出

コラボレーション ツールで医療チームを強化

多くのケア マネージャーは限られた時間で数百人もの患者を担当しており、日々の仕事を効率化するには、計画している活動やタスクの明確な可視化が必要です。ケア プランの順守をサポートするために患者とタイムリーに接点を持つ必要性も、コラボレーションの焦点の 1 部です。マイクロソフトは、ケア コーディネーターが直感的なチャートで予約やフォローアップを整理し、進行状況、今後の活動、および差し迫った次のアクションを把握することを支援するための、焦点を絞ったワークプレースを提供しています。マイクロソフトは、フィルタリング機能を備えた、ケア コーディネーターとケア マネージャー用のビューを提供する、ケア プラン アクティビティ ダッシュボードの新しいプレビューをリリースします。

ケア プラン アクティビティ ダッシュボードにはケア マネージャーやコーディネーター用の実用的なグラフやデータが含まれる

図 9: ケア プラン アクティビティ ダッシュボードにはケア マネージャーやコーディネーター用の実用的なグラフやデータが含まれる

新しいチーム メンバーの迅速な戦力化および従業員全体の整合性の維持を支援する取り組みの一環として、マイクロソフトはガイド ツアーをリリースしています。この機能はケア マネジメント ソリューションではすぐに提供され、その他のソリューションでも今後の更新で提供される予定です。頻繁に使用する機能やシナリオについて解説したアプリケーション内のガイドが含まれるため、新たな機能を簡単に紹介し、新しいユーザーを導入することができます。ユーザーは製品を紹介するガイドを参照しながら、バックグラウンドでソリューションを使用し続けることができます。ホームページでは、医療連携チームがケア マネジメント ソリューションを最大限に活用し、仕事の満足度を向上させるために参照できる、使用法ガイドやリソースも提供しています。

ケア マネジメント ビューのガイド ツアー

図 10: ケア マネジメント ビューのガイド ツアー

マイクロソフトは、お客様が AI を活用し、コンプライアンスに準拠したホワイトラベルのエクスペリエンスを大規模に構築して展開することを可能にします。マイクロソフトは先月、業界に特化したインテリジェントな会話サービスである Azure Health Bot 用の新たなテンプレート (英語)発表しました。これらのテンプレートを使用すると、医療の一般的なユース ケースに対するカスタム シナリオをすばやく作成できるため、チームの貴重な時間を節約し、一貫して質の高いケアを提供することが可能になります。Azure Health Bot を利用すると、医療機関は、コンプライアンスを確保しながら安全に、患者からの応答を直接集めるボット シナリオを即座に作成して、トリアージやインフルエンザ ワクチンの予防接種などのユース ケースに役立てることができます。このリリースでは、QOL の測定値や慢性疾患管理のセルフレポートを作成するための新しいテンプレートでカタログを拡張します。

Azure Health Bot のシナリオ テンプレート カタログ

図 11: Azure Health Bot のシナリオ テンプレート カタログ

医療機関は、情報抽出を自動化し、多数のプロセスを支援するために分析データを活用する AI と機械学習フレームワークを適用することにより、業務プロセスを加速させることができます。患者は Azure Forms Recognizer を使用して、身分証明書や保険証の写真を撮り、病院に到着する前に提出することで、データ取り込みエラーや手作業を減らせます。HCA Healthcare (英語) を始めとするお客様が、繰り返し発生する医療システムへのカード データの入力にかかる時間を、Azure Forms Recognizer を使用してどのように削減しているかについてお読みください。

私たちの目標: 世界的なコミットメント

マイクロソフトは世界中のお客様をサポートすることに尽力しています。以前は 8 か国で提供されていた Microsoft Cloud for Healthcare は、スイス、ブラジル、スウェーデン、デンマーク、フィンランド、ベルギー、アイルランド、ニュージーランド、フィリピンの 9 か国を新たに含むように拡張されています。さらに完全な製品エクスペリエンスを提供するという当社の取り組みの一環として、医療ソリューションは現在、英語、フランス語、オランダ語、ドイツ語、デンマーク語、イタリア語、スウェーデン語、フィンランド語、スペイン語、ポルトガル語 (ブラジル) の 10 の言語で提供されています。

Microsoft Cloud for Healthcare は、効率を向上させ、患者と従業員のエクスペリエンスを改善し、その結果、より速く低いコストで、より適切なケアを提供することによって、医療機関が競争力を高め、成長を続けることを可能にする、統合されたアプローチを提供する能力を拡張し続けています。この一連の更新は当社の強固な基盤の上に構築されており、マイクロソフトは今後も医療分野への投資を継続していきます。Microsoft Cloud for Healthcare の最新情報を入手するには、サインアップして (英語)ソーシャル メディアをフォローしてください (英語)

FHIR® は HL7 の登録商標であり、HL7 の許可を得て使用しています。