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業界

Microsoft と Johnson Matthey の協業でAzure Quantum による水素燃料電池のイノベーションを加速化

Johnson Matthey と Microsoft Azure Quantum の化学者たちは、持続可能エネルギーにおける新たな発見の推進に向けて協力体制を推進してきました。Johnson Matthey は、ここまで量子化学計算の所要時間を半分にする成果を上げてきましたが、これは始まりにすぎません。両社は、ゼロカーボンの未来を創成するために必要な発見には化学と材料科学における大きなブレークスルーが必要であると認識し、世界の各方面と共にこれまでと異なる社会を生み出すことに精力的に取り組んでいます。

気候変動や食糧安全保障への対処をはじめとして、社会が直面している極めて困難な問題の多くは、化学と材料科学の問題にも帰結します。この分野での進歩は、各種製品の 96% と全人類に効果を及ぼします。これまでのコンピューティング機能の継続的向上に伴い、最新のクラウド ハイパフォーマンス コンピューティング サービスを使用することで、より多くの量子化学の問題を解決できるようになります。しかし、化学と材料科学におけるきわめて難度が高い問題を扱うには、Microsoft が現在取り組んでいるようなスケーリングした量子マシン (英語) が必要です。最終的に、今後効果的になるアプリケーションは、ハイパフォーマンス コンピューティング、AI、量子の混成 (英語) によるものになると思われます。当社の目標は、これまでなら 250 年を要していた化学上の発見を科学者が 25 年で達成できるようにすることです。まず成すべきことは、この分野の先駆者と共にイノベーションを学び、加速することです。このような先駆者とは、現状の改善と今後の量子コンピューティングに向けた準備に精力的に取り組んでいる、Johnson Matthey のような組織です。

Johnson Matthey は持続可能なテクノロジーの世界的リーダーであり、200 年以上にわたって輸送、エネルギー、化学処理におけるイノベーションと技術上のブレークスルーに取り組んできました。たとえば、現代の車は 3 台に 1 台の比率で排気系に Johnson Matthey の触媒を使用して、有害な排出物の削減に効果を上げています。Johnson Matthey は、Azure Quantum の化学者との協力の下、Azure ハイパフォーマンス コンピューティングのスーパーコンピューティング機能と洗練されたワークフローによって新しい予測モデリング ツールを開発しています。この活動を通じ、迅速な化学シミュレーションを実現して、AI の可能性を追求するとともに、量子技術への準備を整えることができるようになります。このチームは、特定の量子化学計算を迅速化したことで、スケーリングしたワークロードのターンアラウンド タイムを 6 か月から 1 週間に短縮できるようになりました。Johnson Matthey では、このような機能によって計算化学と材料科学の研究開発の進捗速度が大きく変化しています。

優れた水素燃料電池触媒の追求

Johnson Matthey における持続可能なテクノロジーの研究開発では、自動車やバスの動力源となる水素燃料電池向けに、これまで以上に優れた触媒を見出すことが重要な分野の 1 つとなっています。電解触媒は、燃料電池の電気化学反応を促進する材料であり、水素燃料を使用した電力の生成で効果的です。現時点で水素燃料電池に最も効果的な触媒はプラチナですが、希少なうえ、きわめて高価です。Johnson Matthey は、電解触媒における自社の画期的なデジタル研究の範囲を拡大し、プラチナの使用量を削減した代替合金触媒を開発して燃料電池テクノロジーのコストを削減しています。この研究には、材料内部で発生する複雑な原子間相互作用をシミュレートするために、相当な量の計算リソースが必要です。

量子化学上の発見の推進

Johnson Matthey は、Azure ネイティブな新しい予測モデリング ツールを求めて  Azure Quantum の化学者に助力を依頼しました。このようなツールは、新たな触媒の発見を目的としたナノ粒子シミュレーションを迅速化できる必要がありました。このようなツールを Azure ハイパフォーマンス コンピューティングのスーパーコンピューティング技術と併用することで、新たな電解触媒材料の把握と設計に必要な計算のスループットが大幅に向上しました。Johnson Matthey のテクノロジー センターで研究主幹を務める Glenn Jones 氏は次のように述べています。「Azure ハイパフォーマンス コンピューティングによって、当社が実行する化学計算の中で所要時間を約 50% 短縮できるものが出てきました。研究開発では時間がきわめて貴重です。結果が迅速に得られるだけでなく、コストとスループットの観点からも、このような時間短縮は非常に重要です。」

スーパーコンピューティングのスケールと加速を提供する Azure

このような画期的な時間短縮機能は、化学と材料科学のワークロードに適合する唯一で最先端の Azure ハイパフォーマンス コンピューティングのハードウェアを通じて実現しています。
Azure ハイパフォーマンス コンピューティング クラウドのスケールにより、化学上と材料科学上の発見に向けた超並列計算を実施できると同時に、密結合した分子をシミュレートするためのワークロードを、InfiniBand で接続した CPU/GPU アーキテクチャで迅速に処理できます。AiiDA のようなワークフロー ツールを使用すると、クラウドの能力を活用しながら、その複雑さと超並列計算で得られるデータのスケールを管理できます。さらに、Azure の展開ツールを使用すると、計算化学と材料科学の環境をクラウド上に短時間で設定して管理できます。

スケーリングした将来の量子システムに向けて

Azure は、スーパーコンピューティングのスケールとシミュレーションの迅速化を実現するだけではありません。Johnson Matthey は、ハイブリッドなワークフローとコードによって、量子化した未来に備えることもできます。スケーリングした量子システムが利用可能になったときには、これまで以上に意欲的な問題に対処し、より迅速にイノベーションを実現できます。
Johnson Matthey のテクノロジー センターで研究主幹を務める Glenn Jones 氏は次のように述べています。「当社は Azure を使用しているので、量子化社会に対応する準備が整っており、Azure Quantum を通じてクラウド上で量子コンピューターが利用可能になれば、その能力を十二分に活用できます。これにより、化学シミュレーションを実施する形態が大きく変わります。」

化学と材料科学のイノベーションに関する詳細情報

Johnson Matthey とのこのコラボレーションは、科学上の発見の促進を目的とした Microsoft の積極的な取り組みの一例です。目的に合わせて調整した最先端のクラウド サービスを使用して、化学者をはじめとする科学者による量子問題の解決を支援することで、この取り組みを推進していきます。当社は、 量子のソート リーダーたちが集まるコミュニティ (英語) への Johnson Matthey の参加を歓迎いたします。また、化学薬品開発と材料開発のイノベーションと大幅な向上に向け、Azure のクラウド サービスと量子コンピューティングが持つ可能性を探ろうとしている他の企業様には、Microsoft Quantum Innovator シリーズの次回イベント (英語) にぜひご参加いただければと思います。

当社のプラットフォームが研究開発をどのように迅速化するかについて、当社の化学者や量子アーキテクトと意見交換することに関心をお持ちの方は、Azure Quantum チーム(QuantumInnovation[@]microsoft.com) までお問い合わせください。