Microsoft 365 フリーランス ツールキットのご紹介 — フリーランス労働者の大規模な活用のためのソリューション
ギグ エコノミー (正規雇用ではなく、短期契約で仕事を請け負う独立労働者で構成される労働市場) への参入増加に伴い、大企業はプロジェクトを支えるメンバーとしてのフリーランサー活用を試行し始めています。「Future Workforce Report」によると、エンタープライズ組織の雇用マネージャーの 47% はフリーランサーを利用した経験があり (前年の 44% より増加)、雇用マネージャーの 10 人中約 9 人は人材派遣会社を介した臨時労働者よりもフリーランサーに仕事を依頼したいと話しています。大企業における従来型の短期雇用ソリューションをデジタルの力で変革あるいは補完するために、Microsoft は Microsoft 365 フリーランス ツールキットを発表します。このツールキットに含まれるツール、テンプレート、成功事例はどれも、大規模なフリーランス プログラムの開始、実施、管理に役立つよう選ばれたものです。
ギグ エコノミーにはフリーランサー、コンサルタント、請負型労働者、個人事業主などが含まれ、拡大の一途をたどっています。Staffing Industry Analysts によると、2015 年に “ギグ” つまり短期/単発の仕事に支払われた金額の合計は 7,920 億ドルに達しています。専門家は、今後 10 年の間にますます多くの米国の労働者がギグ エコノミーに参加すると予想しています。さらに、Field Nation によると、独立労働者の 86% はフリーランスになることを自分で選んでいます。
このことは、大企業にも大きく関係します。 きわめて競争が激しく、技術と顧客のニーズが急速に変化する環境で成功を収めるには、外部の人材を活用するという新しいビジネス モデルに機敏に適応する必要があります。オンデマンド方式でフリーランス人材をメンバーに追加するというやり方は、スピードと効率の点で目に見える効果をあげていますが、既存のポリシーとプロセスの変革への道筋はまだほとんど確立されていません。
このツールキットのローンチ パートナーである Upwork は、最大規模のオンライン グローバル マーケットプレースの一つであり、180 を超える国から 375,000 人を超えるフリーランサーが登録しています。今回の提携の中心である Upwork Enterprise は、コンプライアンスとフリーランス人材調達をエンドツーエンドでカバーするソリューションです。
Microsoft 365 フリーランス ツールキットは、大企業がフリーランス プログラムを展開するときに摩擦が起きやすい点の解決を目的としています。具体的には、社内での伝達と認識、チーム全体でのコラボレーション、データ分析、ワークフローの自動化です。
社内での伝達と認識
大企業がフリーランス プログラムを始めるときに直面する大きな課題の一つが、社内の利害関係者や受け入れ側の認識を高めて教育することです。従業員がこのプログラムのしくみを知り、必要なトレーニングを受け、フリーランサーと仕事をするときの成功事例を学ぶことができる場所が必要です。
Microsoft 365 フリーランス ツールキットには、このことを解決するために SharePoint のコミュニケーション サイト テンプレートが含まれています。この「ここに来れば何でもある場所」にプログラムの詳細情報をすべて集めておくと、フリーランスの受け入れとオンボーディングの時間短縮に役立ちます。具体的には、次のような情報です。
- プログラム関連のドキュメントとプレゼンテーションのリポジトリ。
- どのような種類のプロジェクトの仕事にフリーランサーを活用できるかを従業員に示す事例。
- 大企業の従業員からよく寄せられる質問を集めた FAQ。
- SharePoint のエキスパートとして登録したフリーランサーと連絡を取るのに役立つ業務依頼テンプレート。
詳細については、SharePoint コミュニケーション サイトのインフォグラフィックをご覧ください。
チーム全体でのコラボレーション
大企業のフリーランス プロジェクトではその性質上、チーム メンバーが複数のファイルで共同作業することが必要になり、他にも多岐にわたるタスクの管理や、複数のタイムゾーンにまたがるコミュニケーションも必要です。機能横断型で複数の地域に分散するチーム メンバーが常に同じ方向を向いて進めるように、Microsoft 365 フリーランス ツールキットには Microsoft Teams の使い方のガイダンスも含まれています。Microsoft Teams はチームワークのための強力なハブとして、チャット、会議、通話、ファイル、アプリを 1 つの共有ワークスペースに集めることができます。
フリーランスとのコミュニケーションや共同作業のニーズの管理には、Teams の次のような機能が役立ちます。
- コミュニケーション: パブリックまたはプライベートのチームでメンバーが議論に参加します。
- タスク管理: 1 つの場所で進行状況を把握して各チーム メンバーのワークフローを並行管理できるように、Microsoft Planner などのプロジェクト管理ツールと統合されています。
- ファイル ストレージ: 共有ファイルを 1 つの場所にまとめて保管します。そのファイルをインテリジェントな検索で取り出すことができます。
- 外部ゲストのアクセス: 外部ユーザーが世界のどこからでもフリーランス プロジェクトのあらゆる面で共同作業できるように、Teams の無料版が用意されています。
- セキュリティ: 外部ゲストはそのプロジェクトに関係するチームだけにアクセスするので、情報を安全に保つことができます。すべてのものへのアクセスを許可する必要はありません。
詳細については、Teams のインフォグラフィックをご覧ください。
データ分析
大企業がフリーランス プログラムの規模を拡大するときの大きな課題の一つが、パフォーマンス KPI の捕捉、追跡、伝達です。Microsoft 365 フリーランス ツールキットでは、Microsoft Power BI が活用されています。このビジネス分析サービスは、リアルタイム データを複数のソースから収集し、シンプルな処理でデータを準備し、カスタマイズされたわかりやすいレポートとダッシュボードを生成します。
Power BI は、大企業のプログラム マネージャーが次のことを行うのに役立ちます。
- データに基づいて意思決定を行う。
- フリーランス プログラムの成果を、従来の人材派遣によるソリューションと比較する。
- 組織内で現在フリーランス人材を活用しているチームを分野別に特定し、社内での今後の活用機会創出に役立てる。
Power BI の中核機能をフリーランス環境に合わせて補強するために、フリーランス ツールキットには次のものが含まれています。
- Power BI テンプレート (視覚化のサンプル付き)。
- さまざまなソースからのデータをダッシュボードに取り込むための Power BI コネクタ。
- Power BI の人材プールに登録したフリーランサーと連絡を取るのに役立つ業務依頼テンプレート。
詳細については、Power BI のインフォグラフィックをご覧ください。
ワークフローの自動化
大企業のフリーランス プログラムでは、プロビジョニング、コンプライアンス、モニタリングが必要ですが、従業員がこれらをスムーズにできることも求められます。繰り返し型のタスクを手作業で行う必要をなくすために、Microsoft 365 フリーランス ツールキットは Microsoft Flow を使用してアプリやサービスを結ぶワークフローを自動化し、通知の送信、ファイルの同期、データの収集を行います。
たとえば、ビジネス上の意思決定に関する次のようなシナリオの自動化に Microsoft Flow が役立ちます。
- 従業員のトレーニングとコンプライアンス。 フリーランス プログラムのパイロットへの参加を申し込む従業員は、プログラムの SharePoint コミュニケーション サイトにアクセスしてビデオによるコンプライアンス研修を受けます。このビデオの配信には Microsoft Stream を使用します。
- 社内コミュニティへのサインアップ。 ビデオによるコンプライアンス研修を修了した従業員を、自動的に社内の Teams チャネルに追加します。このチャネルで、プログラムに参加した従業員どうしが共同作業し、経験を共有することができます。
- Upwork アカウントの作成。 従業員が Teams チャネルに追加されると、その従業員のアカウント情報 (氏名とメール アドレスなど) が Upwork に送信されて Upwork のプラットフォーム上にアカウントが作成されます。これで、Upwork に求人情報を掲載できるようになります。
Microsoft Flow の中核機能に加えて、フリーランス ツールキットでは次のものも用意されています。
- Microsoft Flow をどのように大企業のフリーランス プログラムの中で利用できるかを示すケース スタディ。
- Microsoft Flow の人材プールに登録したフリーランサーと連絡を取るのに役立つ業務依頼テンプレート。
詳細については、Microsoft Flow のインフォグラフィックをご覧ください。
Microsoft の経験と学んだこと
多くのお客様と同じように、Microsoft 自身もフリーランスへの業務委託をエンタープライズ環境にいかに取り入れていくかを模索中です。この 1 年間に、2,000 件を超えるプロジェクトでフリーランスが執筆、調査、ビデオ編集、翻訳、デザイン、データ サイエンスに活躍し、これにかかわった社内チームの数は 25、従業員は数百人に上ります。
しかし、ここに到達するまでの道のりは平坦ではありませんでした。社内で自らを変革しなければならず、エンタープライズ フリーランス プログラムの複雑さを支えることのできるインフラストラクチャ作りも必要でした。このことが、Microsoft 365 フリーランス ツールキットの開発につながりました。このツールキットは Microsoft の大企業向け生産性ツールを土台として、エンタープライズ フリーランス プロジェクト特有のニーズに合わせて選んだツール、テンプレート、成功事例を組み合わせたものです。この取り組みは成功し、これまでに時間とコストを大幅に削減することができました。
始めましょう
Microsoft 365 フリーランス ツールキットは Office 365 Enterprise または Microsoft 365 Enterprise のサブスクリプションに含まれており、追加料金なしで利用できます。詳細については、Microsoft 365 フリーランス ツールキットと Microsoft 365 Enterprise サブスクリプションの説明をご覧ください。
ご注意ください: データの取り扱いやコンプライアンスなどに関する要件は会社ごとに異なります。自社固有の要件を評価し、特定したうえで、既存の Microsoft 365 への投資を活用し、適切かどうかを判断してください。
フリーランス ツールキットに関する Upwork との提携の経緯については、こちらをご覧ください。