統一モデリング言語 (UML) とは?
統一モデリング言語 (UML) とは、ソフトウェア アーキテクチャやデータベースなどの複雑なシステムを視覚化する方法を標準化したものであり、これを利用すると構成要素の関係、特性、振る舞いを理解しやすくなります。
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ソフトウェア開発
開発プロセスを効率化するために、ソフトウェア開発者は UML 図を使用して複雑なソフトウェア システムのアーキテクチャ、設計、実装を視覚的に表現してからコーディングを開始します。このことは、不要な再作業をなくすのに役立ち、技術専門とそれ以外のチーム メンバーの認識を初日から確実にそろえることができます。
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データベース モデリング
UML はデータベースのモデリングの方法としてよく利用されるようになりました。この図はブレーンストーミングとコラボレーションのための有益な視覚化ツールであるだけでなく、階層、ネットワーク構造、およびその他の属性を描くのにも役立ちます。UML 図を利用すると、自由形式での作図がシンプルになり、計画の変更に合わせて図解を簡単に進化させることができます。
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ビジネス プロセス
UML を利用すると抽象的な概念 (たとえば、あるオブジェクトが時間の経過とともにどう変化するか) を図解することができますが、このことはビジネスにおける多数の場面にも役立ちます。関連付け、依存関係、コミュニケーション、順序、存続期間のすべてを 1 つのダイアグラムの中で描くことができ、計画の変更に合わせて調整するのも簡単です。
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プロジェクト マネジメント
プロジェクト マネジメントでの UML 図の用途は、新しいプロジェクトに着手するときにビジネス要件を理解して伝達するとともに、考えられるシナリオへの計画を立てることです。これで、プロジェクト マネージャーは慎重にスコープを管理し、早期に賛同を獲得し、将来の予期しない出来事のリスクを縮小することができます。
UML 図を使う理由
複雑なシステムやプロセスを簡単にモデリング
UML を利用すると、巨大で複雑なシステムを理解しやすくなります。把握しやすい小さなコンポーネントに分解して、それぞれがどう接続されているかを図解できるからです。必要な情報がすべて 1 つの場所に表示されるので、チームでの問題解決を効果的に行うことができ、それまでは見えていなかったギャップを特定することができます。
状況の進展に合わせてダイアグラムをカスタマイズ
UML 図では、きわめて柔軟な文書化が可能です。計画が変更されたときや要件が変化したときも、UML では新しい情報の取り込みが簡単であるため、反復も簡単にでき、構築済みの内容が覆される心配はありません。
アイデアを目の前で形に
UML を利用すると、抽象的な概念をより具体的にすることができます。また、チームで問題を視覚化し、アイデアをブレーンストーミングし、解決策を詳細に策定することができます。技術サポート プロセスを図解するには UML アクティビティ図を作成し、バグ追跡を行うには UML コミュニケーション図を作成します。UML では、選択肢は無限です。
完璧に磨き上げたダイアグラムを簡単に作成
UML は当初、ソフトウェア開発者が複雑なシステムを視覚化できるようにという目的で作られましたが、他にも多数の場面で日常的に使用されています。多彩な UML の図形と機能にアクセスできるので、ビジネス プロセスやワークフローのモデリングを数分で完了して、その結果をオープンなコラボレーションのために共有できます。非常にシンプルです。
UML 図の種類
UML 図の種類は大きく分けて、構造図と振る舞い図の 2 つがあります。構造図はシステムの静的な構造を表すものであり、これにはその属性や、実装のレベルも含まれます。振る舞い図は、システムの動的な振る舞い (たとえば、時間の経過とともにどう変化するか) を表すものです。
UML のこの 2 つのカテゴリの間で、アナリスト、設計者、コーダーなど、図を作成する人々はそのシステムを視覚的に描く方法を 14 の選択肢から選ぶことができます。そこからのバリエーションは無限です。
振る舞い図
UML アクティビティ図
UML アクティビティ図は、開始と終了が明確であるステップバイステップのプロセスを描くものです。アクティビティ図はビジネスのさまざまな場面で有意義であり、具体的なゴールへの到達を目指すチームにとって優れたツールとなります。
コミュニケーション図
UML コミュニケーション図は、どの要素が他の要素と相互作用するかを表すものであり、具体的には順序付きのメッセージとして視覚化します。このようなモデルが特に有益となるのは、複数の複雑な反復と分岐を持つシステムの図を作成するときです。
シーケンス図
UML シーケンス図は、さまざまなアクターとオブジェクトによる相互作用と、これらによって生成されるイベントを表すものであり、これらは時間の進行 (シーケンス) に従って並べられます。設計者以外にもよく利用されているこの図は、あらゆる種類のビジネス プロセスを表すのに適しており、マルチタスキングを表現することも可能です。
状態機械図
UML 状態機械図は、オブジェクトがそのライフサイクルを進む中で内外の刺激に反応してどう変化するかを表すのに役立ちます。この図は、複雑で詳細なプロセスを図解するのに最適です。
ユース ケース図
UML ユース ケース図は、システムが何を行うかを表すものであり、どう行うかは表現しません。開発プロジェクトの初期の段階でユース ケース図を使用すると、アクターが実世界での目標を達成するためにどのようにそのシステムを使用するかを図解することができ、さらにはユーザー インターフェイスと設計の詳細を説明することもできます。
相互作用概要図
UML 相互作用概要図とは、多数の小さなモデル (一般的には時間図、シーケンス図、コミュニケーション図) で構成されるアクティビティ図です。複雑ではありますが、この概要図は 1 つのシステムのさまざまな部分がどのように相互作用するかをすべて一度に図解するのに最適です。
タイミング図
UML タイミング図の用途は、主たる焦点が時間であるときのオブジェクトどうしの関連を表現することです。タイミング図を使用すると、オブジェクトとアクターを直線の時間軸に沿って視覚化し、イベントの存続時間の長さを表現することに加えて、特定の時間制約が理由で発生する変化も表すことができます。
構造図
UML クラス図
UML クラス図とは、システムの階層、属性、関係を指定することによってアプリケーションの構造をモデル化するものです。この図は、システムの論理的と物理的両方の設計を描くものであり、ソフトウェア開発において非常によく利用されています。
コンポーネント図
UML コンポーネント図では、コンポーネントが論理的なクラスターにまとめられて、その間の関係が視覚化されます。この図は、複雑なシステムを小さなコンポーネントに分割して理解しやすくするのに適しています。
複合構造図
UML 複合構造図は、使用頻度は低いものの、はっきりとした目的のあるダイアグラム スタイルです。多くの UML 図ではシステムが詳細に視覚化されますが、複合構造図ではシステムの図解が可能な限り単純になります。その焦点は最上位のコンポーネントに置かれており、その詳細ではなく、コンポーネントが互いにどうコミュニケーションを取るかが主眼となります。
データベース表記図
UML データベース表記図の用途は、データベースの構造をモデル化することです。この図の種類としては、階層、リレーショナル、およびネットワーク (あるいはツリー) としてグラフ化されるものがあり、ブレーンストーミングや自由形式のコラボレーションのための視覚化ツールとして適しています。
配置図
UML 配置図とは、1 つのアプリケーションを構成するハードウェアとソフトウェアの要素がどのように構成されて配置されるかを伝えるものです。実行時システムの構造を表すこともできます。
オブジェクト図
UML オブジェクト図は、抽象的なクラス スタイルの具体的なインスタンスを表現するものです。ソフトウェア開発者はオブジェクト図を使用して、自分の当初のシステム構造が限定性の追加後も持ちこたえるかどうかを確認します。
パッケージ図
UML パッケージ図では、モデル ダイアグラムが組織化されて、関連するオブジェクトのグループ (つまりパッケージ) としてまとめられます。プログラマーはこれを利用すると、多数のコンポーネントを集めたグループどうしがどのように関連するかを表すことができます。
プロファイル図
UML プロファイル図は従来型のダイアグラムの種類の 1 つではなく、UML 図のための新しいセマンティクスの作成に使用されるメカニズムです。この機能を利用すると、UML 作図ツールで一般的にできることを越えて、値やキーワードにタグを付ける、条件と制約を追加する、またはまったく新しい UML 要素を設計するといったことも可能になります。
UML 図を作成する方法
UML を最大限に活用するために、プロフェッショナルなデザインの UML 図の作成、共有、編集を可能な限りシンプルに行うことができるツールを選びましょう。
最適なツールで始める
プロフェッショナルな UML 図を簡単に作成できる作図ツールを利用すると、共同作業を効果的に行うことができます。数十もの既製テンプレート、スターター図面、ステンシルから選べる Visio なら、誰でも理解できる視覚化を簡単に作成できます。
リアルタイムで共同作業
チームメイトと共同でダイアグラムを作成し、リアルタイムで変更を加え、作業結果をビジネス関係者全員と共有することで、より効果的な意思決定が可能になります。柔軟性の高いプラットフォームと多様な統合が特長の Visio なら、プロフェッショナルな UML 図の作成、閲覧、編集、共有がきわめてシンプルになります。
ビジョンを形にする
適切にデザインされた UML 図を作成することは、アイデアを現実にするための第一歩です。デザイン プロセスをシンプルにして、問題と解決策を視覚化してから、構築を始めましょう。軌道修正が必要になった場合も、Visio をブレーンストーミングに利用してより良い方向を目指すことができます。
UML と Visio に関するその他の情報
よく寄せられる質問
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統一モデリング言語 (UML) とは、ソフトウェア アーキテクチャやデータベースなどの複雑なシステムを視覚化する方法を標準化したものであり、これを利用すると構成要素の関係、特性、振る舞いを理解しやすくなります。
UML は 1990 年代に Grady Booch、Ivar Jacobson、James Rumbaugh の 3 人のソフトウェア エンジニアによって作られました。その理由は、ますます複雑になるソフトウェアを図で表すための、より混乱の少ない方法を開発するとともに、方法論とプロセスを分けたかったからです。
今日でも、UML は開発者にとって頼りになる作図ツールであるだけでなく、あらゆる業界のプロジェクト マネージャー、テクノロジ系起業家、ビジネス プロフェッショナルに利用されています。
UML 図の種類と、それぞれがどのように使用されるかについては、この UML 図作成とデータベース モデリングのガイドをご覧ください。
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統一モデリング言語 (UML) とは標準化された、汎用のモデリング言語であり、プログラマーがソフトウェア システムを詳述し、視覚化し、構築し、文書化するのに使用されます。
UML そのものはプログラミング言語ではありませんが、一般的なプログラミング言語のコードを、UML 図を使用して生成することができます。それよりも、概念的でオブジェクト指向のモデリング ツールとしての用途の方が一般的です。
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UML 図のカテゴリは大きく分けて、構造図と振る舞い図の 2 つがあります。この 2 つのカテゴリの中に、14 のダイアグラム サブタイプがあります。
構造図ではシステムの静的な面が表現され、これには属性や階層が含まれます。振る舞い図は、システムの動的な振る舞い (たとえば、時間の経過とともに発生するプロセス、影響、変更など) を表すものです。
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