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株主、顧客、パートナー、従業員各位

2003 会計年度は、当社にとって画期的かつ革新的で重要な年でした。このことは、「世界中の人々や企業に潜在能力を完全に発揮していただく」という使命の下に、マイクロソフトが提供している数多くの新製品に表れています。

 

厳しい経済状況にもかかわらず、売上高は 38 2,000 万ドル増の 321 9,000 万ドルに、営業利益は 13 1,000 万ドル増の 132 2,000 万ドルにまで成長いたしました。当社の 7 つの事業部門の収益は、それぞれ 11 % 以上も増加しています。

 

この 1 年、当社の経営陣は、これまでの成長と成功を未来につなげるための戦略を練り上げてきました。目の前に広がる可能性に対する当社の取り組みを理解していただくために、以下に業務計画の概要をご説明いたします。

 

厳しい局面

現在、マイクロソフトでは、統合コンピューティング プラットフォームの能力と価値を高めるために相当な投資を行っており、長期的な成長の可能性については不安はありません。しかし、他のすべての企業と同じように、短期的または中期的には困難な状況が待ち受けています。これに対して、私たちは真っ向から取り組むつもりです。

 

大きな課題の 1 つとして、企業のお客様の要求を満たすことが挙げられます。近年、2000 年問題への対応とインターネットに投資してきた企業は、これからのテクノロジへの投資に対して、低コストで多くの見返りが得られることを求めています。多くの企業は、UNIX オペレーティング システムを実行する専用のハードウェアから、Intel マイクロプロセッサ上に構築されたより安価なシステムへと、サーバー ネットワークを移行しつつあります。この動きは、包括的でエンド ツー エンドのテクノロジ ソリューションと、比類なき価値を提供しているマイクロソフトにとっては追い風となるでしょう。実際に、昨年、当社のサーバーおよびツールの収益は 16 % 増加しました。

 

UNIX から移行する企業の中には、Linux OpenOffice のような非営利ソフトウェアの導入を検討しているところもあります。必要最小限の機能だけを含み、自分で保守を行うオペレーティング システムの初期導入コストは魅力的かもしれませんが、第三者機関の調査結果によると、当社の統合プラットフォームの方が高機能であるだけでなく、業務全般において、総保有コスト (TCO) を低く抑えられることがわかっています。

 

現在、Windows プラットフォームは、単純さ、安全性、豊富なアプリケーション、そして総合的なビジネス価値の面で傑出しています。今後も当社が革新のために投資し続ける限り、競合製品に対する Windows の優位は揺るがないでしょう。

 

とはいえ、Linux やその他の非営利ソフトウェアが脅威であることに変わりはなく、現状に満足しているわけにはいきません。当社の製品とサービスを改良し続け、新たな価値を追求するお客様の要望を満たすために懸命に努力いたします。また、製品の信頼性、安全性、技術力については、お客様の期待を上回るよう全力を尽くしています。

 

お客様のコンピューティング環境をさらに 1 つ上のレベルに進めるために、当社の業務計画では、次の 6 つの目標を定めています。

 

.           革新的で高品質な統合ソリューションを提供する。

.           お客様の声に敏感に対応する。

.           開発者にとって最良のプラットフォームを開発する。

.           シンプルで価値の高い環境とサービスを提供する。

.           お客様の関心を促し、当社の姿勢を伝える。

.           有能な人材を集め、生産性を向上させる。

 

統合ソリューション

コンピューティング環境から複雑さを排除した、本当の意味で統合された低価格のソフトウェア プラットフォームにこそ、お客様は大きな価値を認めると当社では考えています。マイクロソフトは、このビジョンの実現を目指して前進し続けます。2004 会計年度には、研究開発の革新に 68 億ドルの投資を計画しています。

 

マイクロソフトの事業価値をいっそう高めるために、次の目標を掲げています。

 

.           エンタープライズからデスクトップ、ワイヤレス モバイル デバイスへと、ハードウェアとソフトウェアをシームレスに統合するエンド ツー エンド テクノロジ プラットフォームの開発を推し進める。

.           安全性、管理容易性、信頼性を高める。

.           カスタマイズをほとんど (またはまったく) 行うことなく、初期設定のままでお客様の環境をサポートする、高価値で使いやすいテクノロジを提供する。

.           補助的なハードウェア、ソフトウェア、サービスを提供するパートナー様の協力の輪を世界中に広げ、成長を促進する。

.           相互運用と XML Web サービスの規格を通じて、当社の製品、サービス、アプリケーションを他のシステムと密接に統合する。

.           自らが生み出した知的財産を守り、そこから価値を引き出す。

 

 

革新的な統合ソリューションに価値を見出せる顕著な例として、Windows XP Tablet PC Edition があります。昨秋にリリースされた Windows XP Tablet PC Edition では、Windows XP の能力と真のモバイル性を、高度なペン入力機能、音声認識機能と統合することにより、より動的で柔軟なコンピューティング環境を実現しました。現在、タブレット PC を提供するコンピュータ メーカーは 40 社以上あり、独立ソフトウェア ベンダがタブレット PC 向けに画期的なアプリケーションを開発しています。

 

もう 1 つのすばらしい例が Windows Server 2003 です。これは当社が提供する企業向け統合プラットフォームのフラッグシップ モデルであり、企業の敏捷性、生産性、安全性を向上させるのに役立ちます。安全性および信頼性に関する重要な新機能が組み込まれており、随一の拡張性は言うまでもなく、管理、アプリケーション プラットフォーム、およびインフォメーション ワーカーのサポートという点でも秀でた存在です。

 

6 30 日にリリースされた Exchange Server 2003 では、サーバー機能とクライアント機能がさらに統合されており、社内だけでなく社外でも簡単に業務上のコミュニケーションを確立し、管理することができます。Office System の新しいアプリケーションを加えて今秋リリースされる Microsoft Office 2003 によって、通信、共同作業、情報管理の方法は根本から変わることでしょう。

 

将来に目を向けると、次世代の Windows である Longhorn は、コンピューティング環境に新しい波を引き起こす大きな投資です。新しいアプリケーション プラットフォーム、新しいエンドユーザー機能とサービスを含み、開発、アップグレード、管理、信頼性、安全性、パフォーマンスの面で大きく前進します。

 

新しい製品、サービス、ソリューションなど、他の分野における一貫したアプローチと、Windows および Office の革新によって、当社はお客様のために革新を進めていけるものと期待しています。その例の 1 つが新しい Microsoft Business Solutions CRM であり、中規模の企業に対して、顧客との有益な関係の構築、売り上げの増進、効率的なサービスの提供などを行うための強力なツールを提供します。

 

ゲームや教育用ソフトウェアに加えて、電話用ソフトウェアや、家の中のさまざまな電子機器、個人向けソフトウェアなどを使って、自宅にいるときや移動中に人々がテクノロジを利用する方法にも、改良のチャンスは広がっています。昨年、当社は、Windows Powered Smart DisplayWindows XP Media Center EditionWindows Powered SmartphoneMSN 8Xbox Live など、数多くの重要な新しいコンシューマ向け製品をリリースしました。

 

お客様に対する姿勢

お客様に価値を提供するということは、優れた製品を生み出すということだけではありません。お客様の声に慎重に耳を傾け、すばやく対応し、何事も包み隠さず、説明責任を果たすということも含まれます。

 

ライセンス プログラムに関する企業のお客様の懸念に対しては、新しいソフトウェア アシュアランス プログラムによって応えました。最近はその内容をさらに拡充し、これまでにない手厚い補助、多様なサポートとトレーニング オプション、確実な見通し、これまで以上の価値を提供しています。

 

当社は、製品品質に関するお客様の声に耳を傾け、信頼性、安全性、プライバシ、およびビジネスの健全性を絶えず向上させることを目的とした「Trustworthy Computing」を全社的に推し進めることによって、これに応えました。大きな前進を果たしましたが、この重要な作業は今後も続けていきます。

 

製品の信頼性だけではなく、互換性、拡張性、管理容易性をも高めるために、揺るぎない技術力の確立に努めています。問題の自動検出、診断の実行、既知のソリューションの適用、将来的な問題の回避を行うことができるように、各製品の機能拡張に取り組んでいます。製品サポート業務の改善という点でも前進を続けてきました。また、一貫したドキュメントと豊富な Web サービスによってお客様の問題解決のお役に立てると考えています。

 

当社は、当社の製品とサービスに対するお客様の満足度を高めるために、あらゆる努力を続けてきました。最近では、この方針を徹底させるために、シニア リーダー クラスの報奨制度を改定し、獲得したお客様の数や満足度に応じて株式報酬の大部分を決定するようにしました。

 

開発者のサポート

Windows の普及は、さまざまな分野のアプリケーションのサポートに大きく依存しています。マイクロソフトは長い間、Windows プラットフォーム用の開発を簡単で価値あるものにするための最新のツールやサービスをプログラマに提供してきました。

 

当社の新しい Visual Studio .NET 2003 は、最も先進的なソフトウェア開発ツール セットです。PC アプリケーション、モバイル アプリケーション、Web アプリケーションに対して共通のプログラミング モデルを使用できるため、開発者は生産性を大きく向上させることができます。Visual Studio .NET 2003 は、.NET Framework Webサービスを構築するための究極のツール セットです。

 

また、開発者との間に深い関係を築くための努力も重ねています。たとえば、開発者の要望をよく理解し、問題解決を図るために、開発者が同じ業界の仲間と情報を交換する場を提供しています。また、学生や初心者、趣味でプログラミングを行う人々、その他のプロではないプログラマを含めて、あらゆるプログラマにとって、Windows 開発を利用しやすいものにしています。

 

アプリケーションのプラットフォームを Windows 以外にも広げることによって、開発者と独立ソフトウェア ベンダ (ISV) に対して新しい機会を提供しています。Office やその他の製品 (Microsoft Business Solutions の製品など) に対するアドオンやアプリケーションの開発についても、ISV を援助していく予定です。

 

当社独自のアプリケーション開発計画については、ISV が最良の機会を活かすことができるように、事前に ISV に連絡しています。また、ISV との共同マーケティングや販売を促進しています。ISV の顧客獲得を助けること、そしてお客様に ISV の存在を知らせることは、当社にとっても、パートナー様やお客様にとっても大きな利益となります。

 

シンプルさ、価値、相互理解

統合プラットフォームを革新する当社の大きな目標の 1 つは、対象となるお客様に対して、シンプルかつ魅力的で完璧な作業環境を提供することです。既存の製品の機能拡張や製品のセグメント化を行うことにより、顧客層 (中小企業、学生、家庭ユーザー、在宅勤務者など) ごとに最もシンプルで価値の高いテクノロジ パッケージを適正価格で提供いたします。

 

適切なテクノロジ (必要な製品セグメントのサービス群) だけを組み合わせて提供することにより、お客様に与える価値を大きく高めることができます。

 

多くのお客様とパートナー様は、マイクロソフトとその従業員についてもっと知ることができれば、マイクロソフトの努力の成果をより高く評価できるだろうと考えていらっしゃいます。そこで、当社の開発者には各自が担当する製品に関するコミュニティに参加するように勧め、安全性、プライバシ、権限管理などの重要な分野において、当社の業務を幅広く告知するようにしています。

 

経営陣も、お客様の声を聞くために、より多くの時間を割いています。これはテクノロジ マネージャだけにとどまらず、IT ユーザー、開発者、学生のご意見も伺っています。

 

また、当社とパートナー様の懸命な努力をさまざまな方法で伝え、人々に各々の潜在能力を認識していただくという私たちの使命を広めるために、広報予算も増やしました。

 

優れた人材とプロセス

 

知的財産を主な資産とする企業として、当社はそれを生み出す業界最高レベルの人材の確保と維持に常に力を注いでいます。昨年は、製品開発、マーケティング、経理、営業、運営などの主要分野で、新規採用とキャリア開発を拡張することにより、大きな成功を収めました。

 

マイクロソフトの成功は従業員のすばらしいアイデアに完全に依存しているため、従業員がリラックスでき、技術を高める機会や、新しい興味深い経験が得られる多様な職場を提供し続けるために努力しています。

 

7 月には、従業員の報酬引き上げに着手しました。ストック オプション制度は廃止しましたが、代わりに数年にわたる株式報酬を実現しました。これによって、従業員はより安定した株式報酬を得ることができ、従業員および株主としての利益のバランスを適正に保つことができます。

 

将来への投資を続ける一方で、諸経費を削減し、効率を上げるための方法も模索しています。最近では、財務管理をさらに向上させるために、7 つの事業部門それぞれに最高財務責任者 (CFO) を設けました。

 

将来への指針

この業務計画は、当社の目的を確実に達成するための指針となるものだと信じています。私たちのすべての活動は、お客様を第一に考えることを目的としています。成功し続けるためには、このことこそが重要だというのが私たちの信念です。

 

20 年前、マイクロソフトがパーソナル コンピュータ用のグラフィカル ユーザー インターフェイス (GUI) を発表したときには、テクノロジをお客様にとって簡単かつ優れたものにすることが目標でした。この GUI Windows という名前を付け、コンピューティング環境に変革をもたらしました。現在、当社では広範囲にわたる統合製品を開発しています。これによって、再び、人々が作業し、学習し、通信し、楽しむ方法が変わろうとしています。当社は、「世界中の人々や企業に各々の潜在能力を認識していただく」という使命のために尽力いたします。私たちの努力にご支援いただいている皆様に深く感謝いたします。

 

 

ビル ゲイツ

会長兼チーフ ソフトウェア アーキテクト

 

 

スティーブン A. バルマー

最高経営責任者 (CEO)

 

 

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